
BTSのジミンを「偽物」と自称して活動する人物が、BTSと韓国食品メーカーが共同で企画したブランドの日本イベントに招待されていた。さらに、その人物の投稿を日本公式アカウントがリポスト。公式側は謝罪したものの、ファンからは「謝る相手を間違えている」との声まで上がった。日本初上陸したばかりのブランドで、一体何が起きたのか。
BTS共同企画の食品ブランドで何が起きた?
8月20日、日本のコンビニに新たな韓国フードブランドが登場した。ブランド名はARIH(アリ)。韓国の食品メーカーhy、PALDOとBTSが共同で企画したグローバルブランドで、日本では8月20日から全国のセブン-イレブンで順次販売が始まった。発売に先立ち、8月19日から23日まで東京・渋谷のZeroBase渋谷ではポップアップイベントも開催された。日本初上陸のタイミングで、商品だけでなくブランドそのものを知ってもらうための展開が進められていた。
ところが、その公式イベントをめぐり、商品とは別のところから思わぬ批判が噴き出すことになる。発端となったのが、BTSのJIMINをめぐって活動するパチ・ジミンと呼ばれる人物だった。
「偽物」を名乗る人物が公式イベントに
日刊スポーツによると、パチ・ジミンはジミンのニセモノを自称して活動し、グッズなどを販売している人物。今回、ARIHのプロモーションイベントに参加したとSNSに投稿したところ、ARIH JAPANの公式SNSがその投稿をリポストした。これを見たBTSファンから批判が相次いだ。SNSでは、ジミンの特徴を誇張して笑いにしている、BTSやJIMINの名前を利用して商業活動をしている人物を、BTSが企画から関わったブランドが招待するのは問題ではないか、といった趣旨の投稿が広がった。
さらに、ジミンの名前を利用してフォロワーを増やし、利益を得てきた人物を公式イベントに招待した経緯について説明を求める声も出ている。ここで重要なのは、今回の騒動について、ファンが単純に「似ている人がイベントに来た」と受け止めているわけではないことだ。「パチ・ジミン」という名前を使った活動が以前から存在し、実際に同名義でステッカーやマグカップ、トートバッグなどのグッズが販売されていることも確認できる。
つまり問題の焦点は、イベント会場にいた人物の容姿だけではない。JIMINを想起させる名前やキャラクターを使って活動している人物を、BTSと共同企画したブランドが公式イベントに招待し、その投稿を公式アカウントで紹介したことにある。
公式は謝罪、それでも批判が止まらない
批判を受け、ARIH JAPANは8月26日に公式Xで謝罪した。日刊スポーツによると、ARIH JAPANは今回のイベントに関する投稿について、招待対象者への事前確認が十分でなかったと説明。公式イベントに関するコミュニケーションは、より慎重かつ責任を持って行うべきだったとして、招待対象者の確認手順や社内の確認プロセス全般を見直し、再発防止を徹底するとした。
企業側が問題を認め、謝罪した格好だ。
しかし、ファンの反応はそこで終わらなかった。SNSでは「謝る相手を間違っている」「ジミンを嘲笑している人間を招待したのだから、ジミンに謝罪すべきではないか」といった批判も出ている。ARIH側が謝罪したのは、あくまで招待対象者の事前確認が十分でなかったことについてだ。一方、ファンが問題視しているのは、その確認不足によって何が起きたのかという部分にまで及んでいる。
パチ・ジミンは一時の「そっくりさん」ではなかった
では、今回イベントに招待されたパチ・ジミンとは、どのような人物なのか。パチ・ジミンは今回突然SNSに現れた人物ではない。2022年には、BTSのJIMINに似せた姿で活動する人物としてネット上で紹介され、当時からSNSを中心に話題になっていた。ファンをPachiARMYと呼ぶなど、単なる一度きりのコスプレではなく、自身のキャラクターとして活動していたことがうかがえる。現在もパチ・ジミン名義のグッズ販売ページが存在し、ステッカーやマグカップ、トートバッグなどが販売されている。また2026年8月には、東京・新大久保で開催されたファンミーティングのMCとしてパチ・ジミンの名前が掲載されている。
つまり、今回ARIHのイベントに登場した人物は、突然現れた一般客ではない。少なくとも数年前から「パチ・ジミン」という名前で活動し、現在もその名前を使ってイベントやグッズ販売などを行っている人物だった。だからこそ、今回の騒動で浮かび上がる疑問は一つだ。ARIH側は、招待する段階でこの活動を把握していなかったのか。公式が「招待対象者への事前確認が十分でなかった」と説明しているだけに、ファンがその点を気にするのも無理はない。
問われているのは「なぜ招待したのか」
今回の騒動で最も気になるのは、実は謝罪文そのものではない。なぜ、その人物がARIHの公式イベントの招待対象になったのか。そして、なぜその人物が投稿したイベント参加の内容を、日本公式アカウントがリポストするところまで進んだのか。ARIHはBTSと韓国食品メーカーが共同で企画したブランドだ。しかも日本での展開が始まったばかりで、渋谷でポップアップイベントまで開催していた。そうしたブランドの公式プロモーションであれば、招待する人物や公式SNSで紹介する投稿について、通常以上に慎重な確認が求められると考えるのは自然だろう。もちろん、現時点でARIH側が意図的にJIMINを利用したと断定することはできない。公式発表でも、あくまで事前確認が十分でなかったことを問題として説明している。だからこそ、今回残っている疑問はシンプルだ。
誰が招待を判断したのか。どのような基準で招待対象者を選んだのか。そして、公式アカウントによるリポストはどのような確認を経て行われたのか。現時点で公表されている謝罪文からは、そこまでの具体的な経緯は分からない。
日本初上陸のARIH、思わぬところに注目が集まる
ARIHは8月20日に日本での販売を開始したばかりだ。韓国フードの新ブランドとしてコンビニに並び、東京・渋谷ではポップアップイベントも開かれた。本来なら、話題の中心になるのは商品そのものだったはずだ。
ところが発売からわずかな期間で、ブランドの公式SNSをめぐって注目されたのは、誰をイベントに招待したのかという問題だった。SNS時代のプロモーションでは、公式アカウントによるリポストも単なる紹介では終わらない。企業が発信した情報として受け取られるからだ。ましてBTSの名前が関わるブランドとなれば、その一つの投稿に向けられる視線も大きくなる。ARIH JAPANはすでに確認手順の見直しと再発防止を表明している。今後問われるのは、謝罪したかどうかだけではなく、今回の招待とリポストがどのような判断で行われたのか、その説明がどこまで具体的に示されるかだろう。日本初上陸したばかりのブランドにとって、思わぬ形でBTS・JIMINの名前が注目を集めることになった今回の騒動。ファンが抱いた疑問は、まだ一つ残っている。なぜ、よりによってこの人物だったのか。



