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株式会社トリーカ

https://www.torica-inc.co.jp/

〒567-0012 大阪府茨木市東太田3丁目2番10号

072-626-7341

乳がん検診啓発に取り組む株式会社トリーカ バディアートのラッピングカーで検診会場へ

サステナブルな取り組み SDGsの取り組み
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株式会社トリーカ バディアートカーと検診車
バディアートカーと検診車(画像提供:株式会社トリーカ)

乳がんは日本の女性がもっとも多く罹患するがんであり、生涯でおよそ9人に1人がかかるとされる。一方で早期発見の要となる検診の受診率は、40代から60代の女性で5割に満たない。命を守る一歩は、検診会場の手前でためらう人の背中をどう押すかにかかっている。

ワコールグループの縫製企業として乳がん用下着を含むインナーウェアを手がける株式会社トリーカは、その一歩を後押しする場に立った。乳がんを経験したアーティストの作品をまとった一台の車を、検診に向かう人々の動線に置くという方法で。

 

女性の美を支える会社が、なぜ啓発へ向かうのか

株式会社トリーカは、1961年に繊維製品の製造・販売を主力事業として創業した。ワコールグループの一員として、現在は鳥取県を中心に佐賀県、鹿児島県を含む7か所の生産拠点で事業を展開している。手がけるのは乳がん用下着を含むインナーウェアであり、その根底には「女性美支援のものづくり事業を通して社会に貢献する」という経営理念が置かれている。女性の身体に直接触れる製品をつくる会社であることが、乳がんという主題と同社を分かちがたく結びつけている。

同社にとって乳がんは、事業の外側にある社会貢献のテーマではない。製品を通じて女性の身体と向き合ってきた延長線上に、身体そのものを守る取り組みがある。その意識は社内にも向けられており、従業員に対しては乳がん検診費用の全額負担や受診時間の有給化といった制度を設け、検診を受けやすい環境づくりを進めてきた。まず自社で働く人々の健康を支える。その姿勢が、社外へ向けた乳がん検診の普及という活動へとつながっている。

背景には、検診をめぐる日本の現実がある。乳がんは早期に発見できれば治療の選択肢が広く、予後も比較的良好とされる。それにもかかわらず、検診受診率は国が掲げる目標に長く届かない状態が続いている。欧米では受診率が7割から8割に達する国も多いなか、日本の水準はその半分ほどにとどまる。検診の重要性は知られていても、実際に足を運ぶ行動へと結びつきにくい。この隔たりをどう埋めるかという問いに、同社は製品づくりで培ってきたものとは異なる手立てで応えようとしている。

検診会場でバディアートについて説明している様子
検診会場でバディアートについて説明している様子
 

バディアートのラッピングカーで乳がん啓発

同社が乳がん啓発の手立てとして選んだのが、「バディアート」をまとったラッピングカーである。バディアートは、山陰パナソニック株式会社(同社の登録商標)が事務局を務めるバディアートプロジェクトから生まれた表現である。プロジェクトは、障がいのある方が持つ独自の感性や視点とクリエイターの経験を掛け合わせ、両者が「バディ」となって作品を生み出す試みである。多様性や包括性を社会へ広げ、誰もが豊かに生きられる持続可能な社会を目指すという理念を掲げている。

同社はこのバディアートを乳がん啓発のテーマと重ね合わせ、作品をラッピングした社用車を鳥取県倉吉市や米子市を中心に走らせている。制作にあたったのは、乳がんを経験した障がいのある方と、プロのクリエイターである。両者が「バディ」となり、自らの経験を通した視点と、色彩や表現に込められた強い想いを一台の車の上で結び合わせた。女性美を支えるものづくりという同社の理念と、多様な感性を社会へ届けるプロジェクトの理念が、乳がん啓発という一点で交わっている。

街を走る車は、それ自体が動く啓発の媒体になる。ポスターやチラシと違い、日常の風景のなかで不意に人々の目に触れ、乳がんという主題を意識の外にいた人へも届ける。製品という形で女性の身体に寄り添ってきた同社が、今度は製品の外側から、より多くの人の目に触れる方法で検診の大切さを伝えようとしている。

株式会社トリーカ 検診車とバディアートカー
 

検診会場で、受診者の動線に立つ

こうした取り組みが、大阪府茨木市の目に留まった。同市が実施する子宮がん・乳がんの集団検診の会場で、ラッピングカーを展示してほしいという依頼である。初めての展示は2026年6月11日、茨木市立南市民体育館で行われた検診の会場で実現した。

当日は朝から晴天に恵まれた。検診車のすぐ横に並べられたラッピングカーは、正面玄関の前で受診者の目に自然と触れ、検診に訪れた多くの市民が足を止めるきっかけとなった。会場には、同社がこの車を制作した経緯や、作品を描いた乳がん経験者である画家の想いを紹介するパネルも設置され、同社の社員が受診者へ一つひとつ説明を行った。検診を受けに来た人が、その動線の途中で乳がんへの理解を深める。啓発のための特別な場ではなく、すでに検診へ向かおうとする人の傍らに立つという形が、この取り組みの特徴である。

初展示を終えて、同社は確かな手応えを得ているという。限られた会場の中ではあっても、乳がん啓発と理解促進という想いが、地域へ届き始めている。今回の展示は茨木市が本年度に予定する複数回の取り組みの第1回にあたり、同社は秋以降も市内の会場で展示を重ねていく予定である。社員から地域へ、そして地域からより広い社会へと、バディアートを通じた啓発の輪を広げることを見据えている。

 

検診の手前に立ち続ける

乳がんは、早く見つけられれば治療の道が大きく開けるがんである。それでも検診受診率が国の目標に届かない現状において、必要なのは、検診の重要性を知らせる情報だけではない。知識と行動の間にある距離を縮める、具体的な手立てである。バディアートのラッピングカーは、その距離に働きかける一つの試みだといえる。

トリーカにとって、この活動は本業から離れた社会貢献ではない。女性の身体に寄り添う製品をつくることと、その身体を守る検診を後押しすることは、女性美支援のものづくりという理念のもとで地続きにつながっている。製品を届けるだけでなく、製品を身につける一人ひとりが健やかであるために、会社としてできることを探し続けてきた延長に、いまの取り組みがある。

一台の車が街を走り、検診会場の傍らに立つ。その積み重ねが、乳がんという主題を身近なものへと変え、検診へ向かう一歩を後押ししていく。製品で女性を支えてきた会社は、これからも検診の手前に立ち続ける。

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ライター:

Sacco編集・ライター。企業に直接出向く取材が中心。扱う記事はサステナビリティ、ウェルビーイング関係が多め。

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