
鏡を見るのが、少し楽しみになる。そんな「前向きな自信と笑顔」を、口の内側から支えようとしているのがライオンの口腔起点美容事業「inquto(インキュット)」だ。オーラルケアで培った知見を、食べる・話す・笑うといった口腔機能へ広げた背景には、一度は本格販売に至らなかった挑戦と、それを惜しんだ社内メンバーの再始動があった。
「お口の中からとは盲点だった」から始まる新しい美容
「お口の中からとは盲点だった!」
ライオンが25年秋に発売した「インキュット口内美顔器VRインナーリフト」に、お客様から寄せられた声だ。美容のためのアプローチと聞けば、肌の表面から行うものを思い浮かべる人も多い。そのなかで同社が提案したのは、口の内側から表情筋にアプローチするという方法だった。
製品を口に入れて使うことに対しては、「オーラルケアの専門家が作ったからこそ、安心して口に入れて使える」という声も届いた。意外性だけではなく、ライオンが長年培ってきたオーラルケアの知見への信頼が、製品を受け止める理由の一つになっている。
「インキュット口内美顔器VRインナーリフト」は、口腔起点美容事業「inquto(インキュット)」の第一弾製品だ。忙しい日々の中でも「自分らしく輝きたい」と願う人に向け、口内からの表情筋アプローチを提案する。目指しているのは、鏡を見るのが楽しみになるような「前向きな自信と笑顔」へと導くことだ。
発売したばかりながら、販売は社内計画の約4倍で推移している。美容業界の方から一般のお客様まで、多くの人から好評を得ているという。
インキュットが起点とするのは「口腔」であり、ライオンが100年以上にわたり知見と技術を培ってきた領域でもある。その蓄積を活かしながら、従来の「歯や歯ぐきなどの健康・衛生習慣」に加え、表情筋へのアプローチという新たな提案へ広げている。
同社が目指しているのは、忙しい日々の中でも「自分らしく輝きたい」と願う人を、鏡を見るのが楽しみになるような「前向きな自信と笑顔」へと導くことだ。口内からの表情筋アプローチを通じ、オーラルケアの知見から新たな価値を生み出そうとしている。

「歯や歯ぐき」から「食べる・話す・笑う」へ
ライオンは、「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する(ReDesign)」をパーパスに掲げ、日々の暮らしに寄り添う商品を届けている。
1918年に設立されたライオンは、ハミガキやハブラシだけでなく、石けん、洗剤、ヘアケア・スキンケア製品、薬品等の製造販売、海外現地会社への輸出も行っている。暮らしのさまざまな場面に関わる事業を展開してきた同社が、次の領域として着目したのが、口腔と美容を結びつける取り組みだった。
近年、その対象は「歯や歯ぐきなどの健康・衛生習慣」から、さらに先へと広がっている。同社が新たな価値創造の対象として捉えているのは、「食べる・話す・笑うというような口腔機能そのもの」だ。口腔起点美容事業「inquto(インキュット)」も、その挑戦の一つに位置づけられる。
背景にある社会課題は、超高齢社会における「健康寿命の延伸」と、多様化する現代人の「心身のウェルビーイング」の実現だ。同社は、従来の「予防歯科」という枠を超え、お口の健康が全身の健康やQOL向上に直結していると捉えている。
加えて、マスク生活の長期化などを経て、「表情の硬さ」や「見た目の変化」に悩む声が多く寄せられたことも、開発へ踏み出す大きな契機になった。美容業界における「肌表面をこすらないスキンケア」や「摩擦レス」といった潮流も、同社自身が経験として実感していた。
そこで立ち返ったのが、「生活者を誰よりも見つめる」という原点である。健康で若々しく、活力に満ちた社会を創りたい。その思いから生まれたのが、口の内側から摩擦レスでアプローチする口内美顔器「インキュット」だった。
一度は本格販売に至らなかった、2度目の挑戦
「お口の中から美容」という着眼点への挑戦は、ライオンにとって今回が初めてではない。かつてクラウドファンディングで挑戦したものの、その後の本格販売には至らなかった経緯がある。
その挑戦を惜しんだのが、社内のメンバーだった。メンバーがボトムアップで立ち上がり、再び「お口の中から美容」の事業化に挑んだ。今回の「inquto(インキュット)」は、過去の取り組みを知る人たちによる、2度目の挑戦でもある。
再挑戦に奮闘するメンバーには、社内の関連部門や取引先から温かい応援の言葉が数多く寄せられた。製品の発売後には、お客様から驚きや信頼の声も届いた。社内から始まった再挑戦が、関連部門や取引先、そしてお客様へとつながっていった。
同社はこの出来事を、伝統を守るだけではなく、生活者の幸せのために変わり続ける姿勢が、社内外のステークホルダーに伝わり、期待されていると実感した瞬間として受け止めている。
創業から100年以上にわたって蓄積してきた知見を、そのまま守るだけではない。寄せられた「信頼」を土台に、現代の潮流に合わせて価値をアップデートし、周囲へ「ワクワク」を届けていく。その実感が、取り組みを前へ進める原動力になっている。

口内からのヘルス&ビューティケアを「新習慣」に
ライオンが描いているのは、誰もが自然体で、生き生きとした笑顔で暮らせる社会だ。5年後、10年後には、「インキュット」が提案するオーラルケアとビューティケアを融合した「口内からのヘルス&ビューティケア」が、一過性のブームではなく、世界中の人々にとって当たり前の「新習慣」として定着する未来を目指している。
同社がこれまで暮らしを支えてきた方法も、ハミガキなどの「毎日の習慣」を通じたものだった。そして今、その知見を活かした「口腔起点美容事業・インキュット」によって、笑顔あふれる未来を創る一歩を踏み出している。
ライオンが信じているのは、社会を良くするイノベーションは、日々の小さな「習慣の変革」から始まるということだ。既存の事業領域の枠に捉われず、一人ひとりの心と身体の健康に寄り添う取り組みを続ける。人々の毎日に小さな幸せをもたらし、社会全体のウェルビーイング向上に貢献することを目指す。
オーラルケアで積み重ねてきた伝統と、「お口の中から美容」という2度目の挑戦。その先に描くのは、心も身体も健やかに、誰もが自分らしく輝ける社会である。




