韓国の人気グループBTSのJUNG KOOK(ジョングク)をはじめとする著名人や資産家を狙い、総額380億ウォン(約40億円)以上を不正に奪ったとされる国際ハッキング組織の主犯格の中国籍の男が5月13日、タイから韓国へ送還された。
中央日報日本語版や聯合ニュースによると、送還されたのは40代の中国人男性で、タイ・バンコクで身柄を確保された後、仁川国際空港に到着した。韓国警察は今後、情報通信網法違反や特定経済犯罪加重処罰法違反(詐欺)などの容疑で本格的な取り調べを進める方針だ。

BTSジョングクのHYBE株84億ウォンが標的に 実際の被害は?
中央日報日本語版によると、ジョングクの証券口座は不正アクセスを受け、84億ウォン相当の HYBE 株が第三者に移転されそうになった。
ただし、金融機関が異常な取引を検知し、所属事務所が迅速に支払い停止措置を講じたことで、実際の金銭的被害は発生しなかった。
つまり、「84億ウォンを盗まれた」のではなく、「84億ウォン相当の株式が奪われかけたが未遂に終わった」というのが正確な状況である。
ジョングクの総資産はいくら? 株式だけでも数十億円規模
ジョングクの正確な総資産は公表されていない。ただ、HYBE株、不動産、音楽収益、著作権収入、広告契約などを含めると、数百億ウォン規模に達するとみる向きが多い。
今回標的となった84億ウォン相当のHYBE株は、1株32万5000ウォン(2025年12月24日時点の毎日経済報道)で計算すると約2万5800株に相当する。ジョングクは2020年のHYBE上場時に、他のメンバーとともに6万8385株の普通株を受け取っており、84億ウォンという金額は保有株式の相当部分にあたる可能性がある。
BTSメンバーはなぜ狙われた? 韓国屈指の若手株式富豪だった
今回の事件で注目されたのは、「なぜジョングクが標的になったのか」という点だ。背景にあるのが、BTSメンバーの莫大な株式資産である。
毎日経済によると、2025年の「30歳以下の上場企業株式長者ランキング」で、V、JIMIN、JUNG KOOK がそろって28位にランクインした。3人のHYBE株の持分価値は、それぞれ214億ウォン(約23億円)に達したとされる。また、J-HOPE、RM、JIN も100億ウォン以上の株式資産を保有していると報じられている。
BTSで一番お金持ちは誰? 推定資産ランキング
BTSメンバーの正確な総資産は公開されていない。
一方、公開されている株式保有状況や著作権収入、不動産取得報道などをもとにすると、J-HOPEやジョングクが資産上位に位置するとみられている。ただし、正式な資産ランキングは存在せず、あくまで市場関係者やメディアの推定に基づく見方である。
HYBE株の現在値は? BTS完全体復帰への期待で上昇
BTSメンバーの資産を支えているのが、所属会社 HYBE の株価である。毎日経済によると、2025年12月24日時点のHYBE株は1株32万5000ウォンで取引された。市場では、BTSの完全体での活動再開やワールドツアーへの期待が、HYBE株の追い風になるとみられている。
HYBE株はBTSカムバック後に急落 「材料出尽くし」の見方も
BTS完全体復帰への期待で上昇してきたHYBE株だが、カムバック直後には大きく下落する場面もあった。中央日報日本語版によると、BTSが2026年3月21日にソウル・光化門広場でカムバック公演を行った後、HYBE株は3月23日に前営業日比15.55%安の29万500ウォンで取引を終えた。市場では、5作目のアルバム『ARIRANG』の発売やカムバック公演といった好材料がいったん出尽くし、短期的な利益確定売りが広がったとの見方が出ている。
また、現地会場の観客数が事前予想を下回ったことも投資家心理に影響したとみられる。英BBCは、厳格な群衆統制や190カ国への Netflix 生配信が現地の集客に影響した可能性があると報じた。もっとも、株価の下落はBTSの人気低下を意味するものではない。株式市場では、期待先行で上昇した銘柄がイベント終了後に調整する「材料出尽くし」は珍しくない。
ジョングクらBTSメンバーの株式資産は、日々の株価変動によって大きく増減する。HYBE株が15%下落すれば、200億ウォン超の株式を保有するメンバーの評価額は1日で30億ウォン以上変動する計算になる。
ハッキング手口はSIMスワップ 一般の人も注意が必要
犯行グループが用いたのは、いわゆる「SIMスワップ」と呼ばれる手口だ。
被害者の個人情報を使ってUSIMを不正に開通し、その電話番号で本人認証を突破。証券口座や暗号資産口座にログインし、資産を移転していた。
今すぐできるSIMスワップ対策
- 携帯電話会社の回線変更に暗証番号を設定する
- 証券口座・銀行口座で二段階認証を有効にする
- SMS認証だけに依存しない
- スマートフォンが突然圏外になった場合は、すぐ通信会社に連絡する
BTSのブランド価値がサイバー犯罪の標的になる理由
ジョングクが狙われたのは、単に世界的スターだからではない。犯罪者にとって重要なのは、「短時間で換金できる高額資産」を持っていることだ。HYBE株は流動性が高く、市場で売却しやすい。さらにBTSメンバーは広告収入や音楽収益によって継続的に資産を増やしている。BTSという世界的ブランドと、換金性の高い資産の組み合わせが、今回の標的選定につながったとみられる。
中国籍ハッカー組織の主犯送還 韓国当局が国際捜査を強化
韓国警察庁と法務部は、インターポール と連携し、組織メンバー16人を摘発した。主犯格2人は2025年5月にタイで検挙され、1人はすでに韓国で起訴されて公判中だ。法務部は「今後も関係機関と協力し、ハッキングやオンライン詐欺などの国際犯罪に厳正に対応する」としている。
ジョングクの84億ウォン未遂事件が示したもの
世界的スターであるジョングクが標的となった今回の事件は、BTSメンバーの資産規模の大きさと、国際サイバー犯罪の巧妙さを改めて浮き彫りにした。84億ウォン相当のHYBE株が狙われた背景には、BTSの圧倒的なブランド価値と、流動性の高い株式資産の存在があった。
芸能ニュースであると同時に、資産管理とサイバーセキュリティの重要性を示す象徴的な事件といえる。



