同仁グループHPより。社長の顔写真はいつのまにか消えていた……
熊本県のイオンモール熊本で起きた大規模な爆発事故で、世間の疑念はついに最悪の形で裏付けられた。亡くなった雑貨店「ハビタ」の従業員2人が、地震後に一度避難したにもかかわらず、会社側から館内に戻るよう指示されていたことを、ハビタの幹部が報道陣の取材に対し明確に認めたのである。
2日夜、亡くなった大竹玖瑠美さん(22)の通夜に訪れた幹部は遺族に謝罪し、ハビタの営業部長は「今から考えると、命に代えるものではない」と語ったという。しかし、愛する娘を突然奪われた母親の「帰ってこないんですよ」という悲痛な叫びが示す通り、失われた命は決して戻らない。
SNS上でも人災を疑う怒りの声が溢れている。確かに日々の売上金や会社の資産は大切かもしれない。しかし、人命よりも優先されるべきものなど、この世に存在するはずがないのである。
謝罪の裏で進む保身。同仁グループの異常に素早い写真削除
会社側は遺族への謝罪に動いた一方で、首を傾げざるを得ない不可解な行動も取っている。ハビタの親会社である「同仁グループ」が自社ホームページからハビタへのリンクを早々に削除したことは既報の通り(詳細は下記記事)だが、それに加えて、グループ代表取締役の顔写真までもが8月2日21時現在確認するに急遽ウェブサイトから消し去られたのだ。
災害という極限状態での安全確保の判断は致命的に遅れて誤ったにもかかわらず、自らの保身に関わる判断や、隠蔽ともとれるウェブサイトの修正作業だけは迅速である。
事故自体は仕方のないことであり、売上を金庫に戻せという指示もよもや爆発が起きることまで想定できるかというと、企業側に同情できる余地はあるが、なぜHPからこのタイミングで情報を削除していくのか。これは保身以外のなにものでもなく、こうしたタイミングには逃げも隠れもせずに、真正面から向き合う姿勢こそ企業の在り方としての誠実な姿なのではないか。
企業の情報開示の在り方として悪手そのものであり、この点をもってしてもこの企業の醜悪さが見て取れるといえよう。このような不誠実な対応を目の当たりにすれば、世間がお金優先で社員を犠牲にした企業というレッテルを貼るのは当然の流れだろう。
HPから消えてしまった同仁グループ社長(代表取締役上野 景真氏)の御尊顔(同仁グループHPより)
避けられない法的責任。これは明確な労働災害では?
今回の事故は単なる不運な自然災害として片付けられるものではない。業務中の明確な労働災害(労災)であり、会社側は今後、遺族に対する心からの謝罪はもちろんのこと、誠意ある損害賠償を行う義務がある。専門家からも企業の責任を問う厳しい指摘が相次いでいる。
元特捜部主任検事の前田恒彦氏は、避難マニュアルと真逆の指示を出した幹部らが業務上過失致死罪に問われる可能性が高いとSNSで指摘する。さらに、企業が従業員の安全を最優先する安全配慮義務違反に基づく損害賠償責任も免れないという。
また、経済評論家の門倉貴史氏も、これは上司の致命的な判断ミスであり、目先の利益を追求して従業員の安全を後回しにする企業は信頼を失墜させると厳しく批判している。現場の独断だったのか、会社ぐるみの指示だったのか、組織全体の徹底的な検証と責任追及が不可欠である。
ネットで拡散された誤情報。「同仁堂」が異例の声明を発表
一方、ネット上での怒りの矛先が広がる中、熊本の老舗薬局「株式会社同仁堂」が2日、自社の公式ホームページに異例のリリースを掲載した。SNS等で同仁堂と同仁グループおよびハビタとの関係について、事実と異なる情報が拡散されている事態を受けたものだ。
同仁堂の公式発表によると、ハビタは同仁堂の創業家と関係のある企業として設立された過去の経緯はあるものの、現在は同仁堂との間に資本関係、経営関係、業務提携等は一切ないという。また、同仁堂と同仁グループは代表者同士に親族関係はあるものの、それぞれ独立した法人を経営しており、両社の間にも一切の関係がないことを強く明記している。
なお、イオンモール熊本内に出店している同仁堂嘉島店の従業員については、全員無事であったことも併せて報告された。
同仁グループの不透明な対応や隠蔽体質が、懸命に地域医療を支える別企業にまで深刻な風評被害を及ぼしかけている現実を、経営陣は重く受け止めるべきである。