
オルタナティブロックバンドのGEZANが2026年7月29日、ボーカル兼ギターのマヒトゥ・ザ・ピーポーによる性加害を受け、一定期間活動を休止すると発表した。マヒトゥ本人もXに声明を出し、泥酔状態の被害者に対して「不同意性交にあたる行為」をしたと認めた。
GEZANは7月14日、予定していた公演の中止とイベント出演のキャンセルを「諸般の事情」とだけ伝えていた。それから15日後、理由が性加害だったことを公表した。
泥酔状態の被害者に不同意性交 コンドーム装着も偽る
本人のX投稿によると、性加害があったのは2026年5月下旬。被害者は正常な判断や自由な意思決定が困難なほど泥酔していたという。
マヒトゥは、自身の高圧的な態度と両者の力関係の不均衡により、被害者が自由な意思で同意できる状態ではなかったにもかかわらず性行為に及んだと認めた。
さらに、コンドームを装着していなかったにもかかわらず、装着したと虚偽の説明をしたという。本人は、被害者の自己決定権を侵害し、望まない妊娠や性感染症への不安を与えたほか、PTSDや裂傷など心身に傷を負わせたと述べている。
後日、被害者から申告を受けた後も、自身の加害性を理解できず、気付かなかった、認識がなかったとの趣旨を繰り返し伝えた。被害者に出来事を何度も説明させ、自分の認識を訂正させる負担まで負わせたことも、二次的な加害だったと認めた。
刑法177条は、アルコールの影響などによって同意しない意思の形成や表明、全うが困難な状態に乗じた性交等を「不同意性交等罪」の対象としている。マヒトゥは自らの行為を不同意性交にあたると明言したが、警察への相談や被害届、捜査など刑事手続きの有無には触れていない。
「他にも被害者がいる」全公演中止から15日後に認める
マヒトゥは声明で、今回に限らず、相手を対等な人格として尊重せず、自分の欲求や都合を優先して性的対象として扱う行為を繰り返してきたとした。自身の暴力性が常態化していたと認めたうえで、ほかにも被害者がいることを認識していると明かした。具体的な人数や個別の事案は公表していない。
今後は性暴力加害者プログラムへの参加を含め、専門家の支援を受けながら再発防止に取り組むとしている。マヒト個人は活動を自粛し、GEZANも期間を定めず休止する。
GEZANは7月14日、宮城・darwin、岡山・YEBISU YA PRO、大阪・GORILLA HALL OSAKA、東京・EX THEATER ROPPONGIで予定していたツアー4公演を中止。大阪・難波ベアーズでの「BUG ME TENDER Vol.28」も中止した。
長野の「Sunny “A SUMMER DAY”」、北海道の「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2026 in EZO」、千葉の「氣志團万博2026」への出演もキャンセルしている。ツアーと難波ベアーズ公演のチケットは、8月11日午後11時59分まで払い戻しを受け付ける。
バンド側は、被害者への対応を優先して協議を続けると表明した。再発防止に向けて運営体制も見直すとしているが、具体的な実施内容や活動再開の条件は示していない。
痴漢には「社会的制裁」と発信 武道館公演から4カ月で休止
マヒトゥは2024年5月、Zepp DiverCityで行われたGEZAN出演イベントの客席で痴漢行為が発生した際、激しい怒りを表明していた。
本人のXでは、今後同様の行為があればスタッフへ知らせるよう呼びかけ、演奏を止めて加害者に「社会的制裁」を負わせるとの考えまで示していた。2024年の発信と、自身の性暴力が常態化していたとする今回の声明が、同じ人物の言葉として並ぶことになった。
GEZANは2009年に大阪で結成され、自主レーベル「十三月」を主宰してきた。2026年3月14日には初の日本武道館単独公演「独炎」を開催。7月1日には同公演のDVDとBlu-rayを発売したばかりだった。
GEZAN史上最大規模となった武道館公演から4カ月余りで、バンド活動は停止する。GEZANとマヒトゥは、被害者の特定や誹謗中傷、詮索、憶測の拡散に加え、加害を擁護、正当化する発信もやめるよう呼びかけている。



