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石井造園株式会社

https://www.ishii-zouen.co.jp/

〒247-0006神奈川県横浜市栄区笠間4-11-5

045-891-1501

ステークホルダーとの対話会の理想モデル!石井造園CSR報告会レポ

サステナブルな取り組み SDGsの取り組み ステークホルダー資本主義 イベント
ステークホルダーVOICE 地域社会
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CSR報告会の最後は残っている人たちでの集合写真を 撮影:加藤俊

世界中でトレンドとなっているサステナブル認証「B Corp」や横浜市SDGs認証制度の「Y-SDGs」で最上位認証を受けている石井造園は、「企業活動を通して、幸せを共有する企業を目指す」という経営理念を掲げ、地域志向のCSR方針を打ち立てて事業を展開しています。

2023年6月24日、横浜市栄区笠間の石井造園において、取引企業・地域・関係者への社会的責任を説明する「CSR報告会」が開催されました。来場者に向けて、代表取締役の石井直樹社長や各活動を担当している社員から、昨年度の報告と本年度の目標が説明されたほか、9団体に緑化基金が贈呈されました。

長年にわたり社会貢献に取り組み、横浜市の発展に尽力

イベント会場を開始30分前に訪れたが、すでに多くの方が来場していました。地域住民や協力会社など多様なステークホルダーが、石井造園の社員たちと楽しそうに対話していました。来場者には本年度のCSR報告書とうちわが配布されました。

会場には、美味いビール(横浜ビール提供)や食事の用意が。多様なステークホルダーにこのイベントを楽しんでもらおうという石井造園の心配りをしかと受け止め、取材者は早々に数杯のビールで、のどを潤すことができました。

横浜ビールの方たち。本当に美味しいビールでした。

2022年度のCSR報告会がスタートしました。

初めに石井社長から決算報告がなされ、2022年度は売上目標までわずかに届かなかったが、経常利益目標は超えることができ、まずまずの成績であったことが語られました。

また、環境への取り組みについては、4年前までは平均65tだったCO2排出量が、2022年度は53tとなり、カーボンオフセット100%で全事業を遂行できたことが報告されました。

SDGsのゴールに関する取り組みでは、「4.質の高い教育をみんなに」、「7.エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」、「11.住み続けられるまちづくりを」、「14.海の豊かさを守ろう」、「15.陸の豊かさも守ろう」、「17.パートナーシップで目標を達成しよう」に関して、全部で20個の活動を展開できたと紹介されました。

さらに、休日を97日から105日に増やすことができたので、来年こそは110日休める会社にして、働きやすい職場を実現したいと、熱く語りました。

来賓あいさつでは、笠間連合町内会長、栄区長、横浜市経済局中小企業振興課長、同市温暖化対策総括本部SDGs未来都市推進課長、同市教育委員会事務局小中学校企画課長の5名が登壇し、地域社会に貢献する石井造園の功績をたたえました。

横浜市長の山中竹春氏からも祝賀メッセージが届きました。山中市長は、平成19年に横浜型地域貢献企業認定制度を創設した当初からの認定企業である石井造園に対し、「高い志の下、企業活動に加えて、長年にわたり社会貢献に取り組み、横浜市の発展に尽力いただいたことに深く感謝申し上げます」と述べました。

地域の緑化活動資金として寄贈する基金で過去最高額を更新

活動報告では、2022年に行った20の活動の中で代表的な5つについて、それぞれの担当社員から説明がなされました。

オリジナルコースターコンテストは、伐採材を利用したコースター作りにより、小学生のSDGsに関する教育を手助けする目的で始まったものです。コースターの質を高めるために表面を磨くことが必要なので、地域作業所に委託することで障害者の雇用の後押しにもつながります。

2022 年度は栄区内の小学校5年生を対象に開催しました。626点の作品が届き、最終的に5点のテーマ賞、9点の優秀作品が決まりました。合計14点の作品は、鎌倉芸術館と栄区社会福祉協議会で展示し、イベントを広く伝えました。

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新百合ヶ丘駅周辺の公園緑のポテンシャルを生かし、街の魅力やにぎわいを創出するために行われた川崎市主催の万福寺檜山公園でのイベントでは、材木の端材を使ったゲームスペースやワークショップを担当し、行列ができるほど人気を集めました。

苗木の無料配布では、2つの新たな取り組みを行いました。1つ目は、石井造園がスポンサー企業として協賛している女子プロサッカーリーグ「ノジマステラ神奈川相模原」のホームゲームでの苗木配布で、国際女性デーに実施しました。2つ目は万福寺檜山公園でのイベントにおける苗木配布です。横浜市市外での活動は今までなかったので、とても実りのある活動になりました。 2022年度の年間配布目標は1,500本を掲げて活動し、実績は2,112本と、達成率140%でした。

活動を始めてから16年目で、総数1万792本を配付しました。2030年までに3万本配布の目標としています。2023年度の目標は2,500本とし、季節に応じたさまざまな品種の苗木配布を検討するとともに、SNSを用いた情報の発信も計画しています。

郷土愛を醸成するための事業では、栄区主催のイベント「本郷台駅前MACHI 音広場」で、にぎわい創出のお手伝いをしました。音楽が流れている場所で、ブルーベリーの苗木を配付することで、昨年社長が「音楽と芸術に携わり、郷土愛を醸成する」と宣言したことが実現されました。
石井造園が協賛している「はまっ子未来カンパニープロジェクト」で携わった小学6年生が、中学1年生になり、今回ダンサーで出演していました。コロナ禍で発表する場がなかったので、本人も親御さんも大変感謝していました。

継続活動としては、緑化基金の報告がありました。地域の緑化活動資金として、学校や団体に寄贈する石井造園オリジナルの基金で、2008年からスタートし、2002年度で15年目を迎えました。

基金の仕組みは、2つあります。1つ目は、例えば10万525円の工事の場合、下3桁の525円、石井造園から同額の525円を出資し、合計1,050円が1件の工事の緑化基金となります。2つ目は、会社入り口に設置した自販機で購入した場合、1本当たり5円が基金になります。

昨年度の基金は、お客さまと石井造園から25万8,353円ずつ、自販機から2万5,805円、合計54万2,511円となり、過去最高額更新しました。15年間の合計は446万4,979円となりました。

続いて、2022年度緑化基金贈呈式が行われました。今回は、横浜市立大学学生ボランティア団体「one by ONE」、紫陽花の会、横浜市栄区、大通公園水の広場愛護会、湘南桂台みどりの会、大船パークタウンボランティアの会、NPO法人 游風、花まちプロジェクト、かんきょうデザインプロジェクト、これら9団体に基金が贈呈されました。

CSR目標達成に向けて赤裸々に語る公開マネジメントレビュー

1、社員の家族を巻き込んだ活動を行う:95点

公開マネジメントレビューでは、石井社長と造園部長の佐藤一将氏が登壇し、2022年度の目標に向けた活動を振り返って点数を付けるとともに、2023年度の目標達成に向けて、赤裸々に語る場が持たれました。

2022年度のCSR目標に関する活動は下記のとおりです。

2、環境経営として「つくる責任・つかう責任」を果たす:92点

カーボンオフセットでは53tを実現しました。再生可能エネルギーと伐採材の再利用では、上郷・森の家でバーベキューの薪としていただく仕組みができています。チェーンソー、ブロワーなど、音の出る機械にバッテリー式を導入しました。音があまり出ないので、朝の現場作業にも適しています。

3、各現場で緑化啓蒙活動を実施し、コロナに負けず苗木配布を1,500本する:120点

16のイベントに参加し、2,112本を配布、目標に対して140%を達成しました。相模原や川崎など、範囲が広がってきています。

4、CSR活動をSDGsの目標と関連付けて展開する:80点(合格だが厳しめ)

オリジナルコースターコンテスト、万福寺檜山公園でのイベント、「ノジマステラ神奈川相模原」のホームゲームで、国際女性デーに絡める苗木配布を行いました。地域貢献に軸足を置いた活動をしていく中で、SDGsが掲げるターゲットにひも付いてきています。

その後発表された2023年度のCSR目標は以下のとおりです。

1、社員の家族を巻き込んだ活動を行う
2、環境経営として「つくる責任・つかう責任」を果たす
3、各現場で緑化啓蒙活動を実施し、2,500本苗木配布を行う
4、郷土愛を醸成するため、芸術・文化活動を支援する。
5、CSR活動をSDGsの目標と関連付けて神奈川県に展開する

社会貢献をする際のストーリー性・物語性が今後の課題

最後に、横浜市立大学都市社会文化研究科CSR&サステナビリティセンター長、影山摩子弥教授より講評がありました。

影山教授は、石井造園のCSR活動は、自社にとってのメリットもきちんと考えている点が素晴らしいと述べました。この観点は、最近になって国連が発信している自己評価の基準「SDG Impact Standards」の核心部分、「会社の付加価値がSDGsの取り組みでどれだけ上がったか」ということに通じており、この観点で先んじて取り組んでいる点を高く評価しました。

今後は、SDGsの17のゴールの下にある169のターゲットについて、どのように貢献しているか説明できるようになってほしいと述べました。

さらに、社会貢献をする際のストーリー性・物語性を考え、ホームページやCSR報告書に掲載することで、さらに多くの人に考え方や活動が広まるとアドバイスをしました。こういった取り組みは大企業できていないので、ぜひ石井造園に先駆けてチャレンジしてほしいと期待を込めて語りました。

CSR報告会 第二部

CSR報告会の1部が終了した後、2部では、ピアノ、バイオリン、フルートの演奏会が開かれました。ニュー・シネマパラダイスのテーマが奏でられると、取材者が大好きな映画だったこともあり、郷愁の念に駆られました。

最後に、石井社長から閉会の挨拶があり、CSR報告会は終了しました。

石井造園株式会社のCSR報告会に参加して

加藤 俊

株式会社Sacco

地域住民をはじめとしたマルチ・ステークホルダーとの対話会の開催は、本来プライム市場に上場している各社にこそ求められるサステナビリティ対応だ。企業の社会的責任に関する規格ISO26000や内閣府が出しているSDGs実施指針でも、このステークホルダーとの関係づくりを「原則」として重要視している。

ところが企業一般にステークホルダーとの対話会が浸透しているとは言い難い。株主や社員、協力会社といった特定のステークホルダーとの対話の機会を設けている企業はあれども、地域住民・市民をはじめとしたマルチ・ステークホルダーとの対話の機会を設けている企業、およびその模様を情報開示している企業となると、殆どないのが現実だ。

ここまで誠実に、ステークホルダー・ダイアローグを実施している石井造園に学べる点は多い。参加者にしてみると、一年間の企業活動の成績を聞くだけではなく、きちんと企業が社会のお役に立っていることをさまざまな角度から聞くことのできる対話会は、単なるIR報告という枠を越えて、ステークホルダーの立場から企業を応援しようという気持ちを芽生えさせてくれる機会として機能していた。

もちろん、その裏にはさまざまな「仕掛け」がしかけられている。

横浜ビール提供による美味しいお酒や食事といった、地域住民にリラックスして1年間の活動報告を聞いてもらうための「場づくり」や、社員一人ひとりが参加者に積極的に声かけする傾聴の姿勢、目標未達の部分は素直に反省する姿勢、はたまた今期の目標へのコミット宣言まで飛び出す対話会なのだ。一つのエンターテインメントに昇華されていた。これはひとえに、石井造園が参加者に本気で「楽しんでもらおう」という意識があるからこそ成り立つものだろう。事実、会場は笑いに包まれていた。

次年度以降、願わくば、地域住民からの質問などを受け付ける時間的余裕がイベントに盛り込まれると、よりステークホルダーの輪が共鳴し合い、拡がりを持つのではないかと感じた次第である。

自社のサステナビリティ対応を担う担当者は、一度見学に行った方がいい。

SDGs実施の主要原則(3)参画型
脆弱な立場におかれた人々を含む一人ひとりが、施策の対象として取り残されないことを確保するのみならず、自らが当事者として主体的に参加し、持続可能な社会の実現に貢献できるよう障壁を取り除き、あらゆるステークホルダーや当事者の参画を重視し、当事者の視点を施策に反映するための手段を講じ、全員参加型で取り組む。

◎企業情報
石井造園株式会社
URL:http://www.ishii-zouen.co.jp/
代表者:石井直樹
所在地:〒247-0006 神奈川県横浜市栄区笠間4-11-5
TEL:045-891-1501 FAX:045-891-2785
設立:昭和40年3月26日
資本金:4,000万円
従業員数:13名

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ライター:

1964年生まれ、群馬県出身。国立群馬高専卒。専攻は水理学と水文学。卒業後、日刊紙『東京タイムズ』をはじめ、各種新聞・雑誌の記者・編集者を務める。その後、映像クリエーターを経て、マルチメディア・コンテンツ制作会社の社長を6年務める。現在は独立し、執筆と映像制作に専念している。執筆は理系の読み物が多い。 研究論文に『景観設計の解析手法』、『遊水モデルによる流出解析手法』、著書に科学哲学啓蒙書『科学盲信警報発令中!』(日本橋出版)、SFコメディー法廷小説『科学の黒幕』(新風舎文庫、筆名・大森浩太郎)などがある。

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