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白鶴酒造、酒蔵×畜産×農業の「サケ炭」資源循環モデルがSXアワード財務大臣賞を受賞

サステナブルな取り組み SDGsの取り組み
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白鶴酒造株式会社 サケ炭
提供:白鶴酒造株式会社

日本酒づくりで出る廃棄物が、牛の飼料となり、巡り巡って再び酒米を育てる。そんな資源循環の仕組みが、高い評価を受けた。白鶴酒造の「サケ炭」を使ったアップサイクルモデルが、第9回SXアワードの財務大臣賞を受賞。酒蔵と畜産、農業をつなぐ地域循環型の取り組みが認められた。

 

酒造りの副産物を牛の飼料に

同社によると、「サケ炭」は、清酒をろ過する工程で使った後の活性炭を再利用した飼料だ。活性炭でのろ過は清酒づくりの標準的な方法だが、使い終えた活性炭は全国で発生し、その大半が産業廃棄物として処理されてきた。推定で年間1000トン以上にのぼり、処理の費用と環境への負荷が課題となっていた。白鶴酒造は、この処理後の活性炭に着目し、兵庫県内の飼料会社や畜産農家と共同で研究を進めた。2022年に飼料としての開発に成功し、2025年7月14日に特許を取得した。

日本酒づくりでは、米や水のほかにも、製造の過程でさまざまな副産物が生まれる。酒粕のように活用が進んだものもあるが、ろ過に使う活性炭のように、これまで再利用の道が乏しかったものもある。捨てるしかなかった素材に新たな価値を見いだすことは、コストと環境負荷の両面で、酒蔵にとっても利点がある。

 

「酒造り→サケ炭→養牛→堆肥→米」の循環

サケ炭が描くのは、一つの循環だ。酒造りで生まれたサケ炭を牛に与え、その牛の糞を堆肥にして酒米を育て、その米で再び酒を造る。「酒造り→サケ炭→養牛→牛糞堆肥→米作り→酒造り」という流れが、地域の中で回る仕組みである。同社によると、サケ炭は子牛の腸の健康維持に役立ち、牛糞由来の悪臭を抑える効果もあるという。牛が好んで食べ、安価で栄養価も高い。穀物価格の上昇で配合飼料が高騰し、糞の悪臭対策にも費用がかかる畜産農家にとって、こうした飼料は経営上の助けにもなる。廃棄物の削減と、畜産・農業の課題解決を同時に進める点に特徴がある。

一つの工程で出た不要物が、次の工程の資源になる。そうしたつながりを地域の中で閉じた輪にできれば、外部への廃棄も、外部からの購入も減らせる。サケ炭のモデルは、酒蔵、畜産農家、稲作という異なる担い手が、それぞれの困りごとを補い合う形で成り立っている点に強みがある。

 

灘五郷に広がる地域連携

取り組みは、白鶴酒造一社にとどまらない。同社によると、1日時点で、灘五郷の清酒製造会社4社と県内の飼料会社1社が参画している。白鶴の農業法人である白鶴ファームは、サケ炭を与えた牛の堆肥を酒米の圃場に施している。審査では「生産から廃棄、再利用までを一体的につなぐことで、資源循環と新たな価値創出を実現」した点や、「畜産分野における課題解決やコスト低減、地域ブランド価値の向上に寄与」する点が高く評価された。多様な関係者が連携して持続可能な仕組みを築いたことが、特に評価されたという。一社だけの取り組みでは生まれにくい広がりが、地域の連携によって実現した形だ。

 

灘五郷全体の循環を目指して

白鶴酒造は、1927年創業の清酒メーカーだ。酒づくりで生まれる副産物を有効に使い、資源循環型の社会の実現に向けた取り組みを進めるとしている。長く地域に根ざしてきた酒蔵ならではの、つながりを生かした試みといえる。

今回のSXアワードは、環境に配慮した優れた製品や取り組みを表彰するもので、財務省や農林水産省、経済産業省などが後援する。その財務大臣賞に選ばれたことは、サケ炭のモデルが社会的にも意義を認められたことを示す。

食や農にまつわる資源循環は、言葉で描くのはたやすいが、実際に回し続けるのは難しい。関わる事業者それぞれに利点がなければ、仕組みは長続きしない。サケ炭が広がってきた背景には、各者にとっての確かな実利がある。 同社は、地域の企業や畜産農家との連携をさらに強め、環境負荷の低減と地域価値の創出の両立を目指す。将来的には、灘五郷全体での循環型の利用を見据える。一つの酒蔵から始まった試みが、地域全体の循環へと育つのかが注目される。

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ライター:

Sacco編集・ライター。企業に直接出向く取材が中心。扱う記事はサステナビリティ、ウェルビーイング関係が多め。

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