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サステナビリティ用語集 関連用語を解説 2024年最新版

コラム&ニュース Tips
サステナブルな取り組み SDGsの取り組み
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SDGsやESGなどサステナビリティに関する用語をまとめました。
2024年最新版の単語をそれぞれわかりやすく紹介します。

用語集 索引

ア行

アウタルキー

ドイツ語で「自給自足経済」を意味する。

一国または特定の経済圏が、その国内または域内で必要な物資を自給自足している経済状態を指す。歴史的には、江戸時代の鎖国政策を取っていた日本がアウタルキーを実現していた例として挙げられる。

現代においても、アウタルキーを実現している国家が存在する。たとえば、インドの隣国であるネパールは、その国内で必要な物資の多くを自給しているため、アウタルキー国家とされる。

アウタルキーは、外部からの経済的な影響を最小限に抑え、国内の経済安定を図るための一つの手段であるが、グローバル化が進む現代においては、実現が難しい場合も多い。

アジェンダ21

1992年にリオデジャネイロで開催された国連環境開発会議(地球サミット)で採択された文書であり、21世紀に向けて持続可能な開発を実現するための具体的な行動計画。

前文と以下の4つのセクションから構成され、全40章は英文で約500ページに及ぶ。

第1部「社会的/経済的側面」
第2部「開発資源の保全と管理」
第3部「NGO、地方政府など主たるグループの役割の強化」
第4部「財源/技術などの実施手段」

持続可能な開発を推進し、地球環境の保全と経済成長の両立を図ることを目的としている。
行動計画として政府、企業、NGO、地方政府など、すべてのステークホルダーが協力して実施することを求めている。

アップサイクル

今あるものを利用して別の用途のものに作り替え、付加価値を与えること。

廃棄物や不要になった製品を新たな製品に変えることで、資源の有効活用を図るだけでなく、環境負荷を低減し、持続可能な消費と生産を促進する取り組み。

1994年頃、ドイツで住宅の解体事業における建築物の再利用などに取り組んでいたライナー・ピルツが、「SalvoNEWS」というメディアのインタビューの中で言ったことが始まりとされる。

クリエイティブな視点から廃棄物に新たな価値を見出し、サステナブルな社会を実現するための重要な手段となり、廃棄物の削減と資源の再利用を通じて、環境保護と経済価値の創出を両立させることができる。

アップサイクルの例具体
・古い家具をリメイクして新しいデザインの家具に変える。
・廃材を利用して新たな建築素材を作り出す。

アップサイクルに関連する記事一覧

伊藤レポート

2014年8月に会計学者の伊藤邦雄教授が座長を務めた経済産業省の「『持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~』プロジェクト」の最終報告書の通称。
伊藤邦雄教授の名前にちなんで名付けられた。

伊藤レポートは、企業価値を向上させるために長期的な視点からの投資と企業経営の重要性を強調しており、特に以下のポイントに焦点を当てている。

資本効率の向上:企業が資本を効率的に活用し、投資家に対して持続的なリターンを提供すること。
企業と投資家の対話:企業と投資家が長期的な視点で対話を深めることで、企業価値の向上を図ること。
ガバナンスの強化:企業のガバナンスを強化し、透明性と説明責任を確保すること。

【関連サイト】
伊藤 邦雄(イトウ クニオ)氏 経歴(一橋大学 研究者情報より)

イニシアチブ

イニシアチブ(Initiative)は、英語で主導権や計画を意味するが、ESGやサステナビリティ用語としては、「新たな取り組み」や「構想」「戦略」を意味する。

具体的には、持続可能な開発や社会的責任を推進するための新しい取り組みやプロジェクトを指す。
代表的なイニシアチブとしては、以下のものが挙げられる。

SDGs(持続可能な開発目標):国連が採択した2030年までに達成すべき17のグローバル目標
国連グローバル・コンパクト:企業の持続可能な成長と責任あるビジネス慣行を推進するためのイニシアチブ
国際労働機関(ILO):労働条件の改善や社会的正義の推進を目的とする国際機関
CDP(Carbon Disclosure Project):企業の環境影響に関する情報開示を促進する非政府組織
RE100:100%再生可能エネルギーの使用を目指す企業のグローバルイニシアチブ
国際経済フォーラム:経済、環境、社会問題に関する議論と解決策を提供する国際的なフォーラム

インパクト投資

投資リターンと社会的、環境的インパクトを同時に生み出すことを意図する投資手法であり、ESG投資手法の1つ。

投資家が経済的利益を追求しながら、社会や環境に対してポジティブな影響を与えることを目指す投資手法。

インパクト投資の対象となる社会課題は、以下のように多岐にわたる。

貧困問題:貧困層への経済的支援や生活改善を目指すプロジェクト
食料問題:持続可能な農業や食料供給システムの構築
気候変動:再生可能エネルギーの推進や炭素排出削減の取り組み
教育:教育機会の提供や教育環境の改善
医療:医療アクセスの向上や公衆衛生の促進

インパクト評価

事業が社会にもたらした変化(インパクト)を定量的・定性的に把握し(可視化)、当該事業や活動について評価する方法。
社会的事業や活動の真の効果を把握し、その価値を測るための重要な手段。

インパクト評価は、以下のプロセスで測定する。

インパクトの定義:評価対象となる社会的変化や成果を明確に定義する。
データ収集:定量的・定性的なデータを収集し、変化の証拠を集める。
分析と評価:収集したデータを分析し、事業の効果や影響を評価する。
報告と改善:評価結果を報告し、事業の改善や戦略の見直しに活用する。

従来、社会的事業は「対象者に対して、何人くらいの規模でどんなサービスを提供したか」といった「アウトプット」(結果)について報告することが一般的だったが、近年は「その事業実施を通じて、どのような変化が社会に起きたのか」という「アウトカム」(成果)を評価する国際的な潮流となっている。

英国現代奴隷法(Modern Slavery Act 2015)

イギリスで成立した奴隷禁止法。

サプライチェーン上での奴隷制排除を目的としており、年間売上高が一定規模を超え、英国で活動する営利団体・企業に対し、奴隷労働や人身取引がないことを声明として公表することを義務付けている。

年間売上高が3,600万ポンド以上の英国で事業を行うすべての企業が対象であり、以下の事項を含む声明を公表する必要がある。

・組織構造、事業、サプライチェーン
・奴隷・人身取引に関するポリシー
・事業・サプライチェーンで奴隷・人身取引が発生するリスクと、当該リスクを評価、管理する手段
・事業・サプライチェーンでの奴隷・人身取引に関するデューディリジェンスのプロセス
・従業員が利用可能な奴隷・人身取引に関する訓練や能力開発
・事業・サプライチェーンでの奴隷・人身取引に関する組織の長期的な取り組みと進捗を評価するための目標と重要業績評価指標(KPI)

エコアクション21

中小事業者などの幅広い事業者に対して、自主的に「環境への関わりに気づき、目標を持ち、行動することができる」簡易な方法で、環境マネジメントシステム、環境パフォーマンス評価、環境報告を1つに統合したもの。

事業者が持続可能な経営を実現するための手助けをするものであり、環境に配慮したビジネス活動の促進と社会的責任の履行を支援する制度。

中小事業者でも自主的・積極的に環境配慮に対する取り組みを展開でき、取り組み結果を「環境経営レポート」として取りまとめて公表できるように工夫されている。

主な目的は、以下の通り。

環境マネジメントシステムの導入:事業者が環境への影響を管理し、改善するための仕組みの整備する。
環境パフォーマンス評価:事業活動の環境パフォーマンスを定量的に評価し、目標達成に向けた進捗を測定する。
環境報告の作成と公表:環境配慮の取り組み結果を「環境経営レポート」として取りまとめ、ステークホルダーに公表する。

エコシステム

もともとは自然界の生態系を意味する生物学用語。1990年代頃からビジネスにおいても用いられるようになり、企業間のサプライチェーンや連携、協業などのさまざまな関係性やステークホルダーとの関係を自然界の生態系に模して呼ぶようになった。この用語は「経済圏」などとも呼ばれる。

単一の企業では達成できない複雑な問題解決や新たなビジネス機会の創出を可能にし、持続可能な成長を支える重要なコンセプト。

エコツーリズム

自然環境や文化遺産を楽しみながら、環境保護と地域社会の持続可能な発展を促進する旅行形態。
自然や文化を学び、理解し、保護に貢献することが目的。

旅行を通じて、自然資源の保全と生態系の維持を優先し、環境への負荷を最小限に抑えることに加え、旅行者への教育、地元経済への貢献につながる。

エコマーク

製品やサービスが環境に配慮していることを示す環境ラベル。
日本環境協会が運営し、消費者が環境に優しい商品を選びやすくすることを目的としている。

エコマークが付与される製品やサービスは、厳しい環境基準を満たしており、資源の節約、リサイクルの促進、有害物質の削減などの環境保護に寄与することが求められる。

エコマークは、消費者の環境意識を高め、企業に対しても環境に配慮した製品開発を促進する役割を果たす。

エシカル採用

環境、社会、人に配慮した就職活動方法の1つ。
学生が企業を選ぶ際、ビジネスモデルや会社として環境・社会・人に配慮されているかを企業選びの判断軸とすること。

エシカル消費

消費者が商品やサービスを選ぶ際に、人権や環境、社会的公正などの倫理的な基準を重視する消費行動。

エシカル消費者は、労働環境の改善、公平な取引、環境保護、動物福祉などに配慮された製品を選ぶことで、社会や環境に対する責任を果たすことを目指している。

対象商品として、フェアトレード商品やオーガニック製品、再生可能エネルギーを使用した商品などが挙げられる。

温室効果ガス(Greenhouse Gas、GHG)

太陽光で暖まった地表面からの放射熱(赤外線)を宇宙へ逃がさず、大気中に吸収する性質を持つガスのこと。

産業活動や農業、廃棄物の処理など人間の活動によって排出され、地球温暖化の主要な原因とされており、排出量の削減が国際的な気候変動対策の重要な課題となっている。

温室効果ガスの主な種類と排出削減の対象になっているものは以下のとおり。

・二酸化炭素(CO2)
・メタン(CH4)
・一酸化二窒素(N2O)
・ハイドロフルオロカーボン類(HFCs)
・パーフルオロカーボン類(PFCs)
・六フッ化硫黄(SF6)
・三フッ化窒素(NF3)

カ行

カーボン・オフセット

企業や個人が削減しきれないCO2などの温室効果ガスを、他の場所での削減・吸収するプロジェクト(植林や再生可能エネルギーへの投資など)に資金提供することで埋め合わせし、地球全体として(GHG)の排出量を実質ゼロに近づける考え方。

カーボン・クレジット

温室効果ガスの排出削減や吸収に成功した分を、他者がその分の排出を埋め合わせるために購入できる取引可能な証書(クレジット)。「炭素クレジット」とも呼ばれる。

主に企業間で温室効果ガスの排出削減量を売買できるクレジットのことを指す。
企業が自社の温室効果ガス排出を削減しきれない場合に、不足分を他の削減活動によって相殺するためにクレジットを購入する。クレジットを購入した企業は企業全体の排出削減を促進し、地球規模での温室効果ガス排出の抑制に貢献することができる。

【カーボン・クレジットのプロセス】

削減活動の実施:企業が森林保護、植林、省エネルギー機器の導入、再生可能エネルギープロジェクトなどを実施し、GHGの削減や吸収を行う。
削減量の認証:実施した削減活動によるGHGの削減量や吸収量が第三者機関により認証される。
クレジットの発行:認証された削減量に基づいてカーボン・クレジットが発行される。
クレジットの取引:発行されたカーボン・クレジットは市場で取引可能となり、他社が自らの排出量を相殺するために購入することができる。

カーボン・ニュートラル

二酸化炭素(CO2)をはじめとする温室効果ガスの排出量から、植林や森林管理などによる吸収量を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを指す。

気候変動対策の一環として、地球温暖化の進行を抑制するための重要な目標であり、国際的な合意や国内の政策に基づいて推進されている。

日本では、2013年度を基準として2030年度までにGHGの排出量を46%削減することが目標とされている。

カーボン・ネガティブ

二酸化炭素(CO2)の排出量よりも吸収量が多い状態のこと。
気候変動対策の一環としての重要な目標であり、持続可能な未来に向けた先進的な取り組みを示すもの。カーボン・マイナスと同じ意味で使われることが多い。

カーボン・ネガティブのきっかけは2020年にマイクロソフトが「2030年までにカーボンネガティブを実現する」と宣言から。

カーボン・フットプリント

商品・サービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまで(ライフサイクル)の間で排出された温室効果ガスの量」をCO2量に換算して表示する仕組み。
商品の製造、輸送、使用、廃棄に至るまでのすべての段階で排出されるGHGを定量的に把握することがが可能となる。

主に以下の目的で活用される。

環境負荷の見える化:消費者や企業が商品の環境影響を理解しやすくする。
持続可能な選択の促進:消費者が環境に配慮した商品を選びやすくし、企業に対しても環境負荷削減の取り組みを促す。
温室効果ガス削減の推進:GHG排出量のデータを基に、削減目標を設定し、効果的な対策を実施する。

カーボン・フットプリントに関する記事は以下からも読むことができます。

カーボン・プライシング

企業などが排出する二酸化炭素(CO2)に価格をつけ、それによって排出者の行動を変化させるために導入する政策手法。
CO2排出にコストを課すことで、排出者に対して温室効果ガスの削減を促進する。

気候変動対策の一環として、経済活動と環境保護を両立させるための重要な政策手段であり、世界各国で導入が進められている。

カーボン・プライシングの具体的な手法には、以下のようなものがある。

カーボン税:CO2排出量に対して直接的に課税する手法
排出権取引:企業が排出権を売買する市場を設け、排出量を市場メカニズムで調整する手法

カーボン・ポジティブ

排出する温室効果ガスよりも多くの温室効果ガスを削減・吸収することで、地球全体にプラスの影響を与える状態や取り組みのこと。

カーボン・マイナスやカーボン・ネガティブがGHGの排出量に着目しているのに対し、カーボン・ポジティブは吸収量に着目した取り組み。

以下のような活動を通じて達成される。

植林活動:大規模な植林や森林再生プロジェクトを実施し、CO2を吸収する能力を高める。
土壌改良:農業や土地管理の方法を改善し、土壌がより多くの炭素を吸収できるようにする。
再生可能エネルギーの普及:再生可能エネルギーの利用を拡大し、化石燃料に依存するエネルギー消費を減少させる。
カーボンキャプチャー技術:CO2を直接大気中から取り除き、地下や他の場所に安全に貯蔵する技術を導入する。

カーボン・マイナス

地球上の二酸化炭素(CO2)総量を減少させること。
カーボン・ネガティブとも言われることがある。

カーボン・ニュートラルがCO2の排出量と吸収量をイコールにするのに対して、カーボン・マイナスはCO2排出量をマイナスにする、より意欲的な取り組み。

化石燃料

英語ではFossil fuelsという。
過去の植物や動物の遺骸が地下で分解・変成されて形成された燃料のことで、限りある資源。
主に石炭、石油、天然ガスを指し、電力・熱・交通・産業などの主要なエネルギー源として利用されている。

燃焼時に二酸化炭素(CO2)やその他の温室効果ガスを排出し、地球温暖化や大気汚染の原因となる。また、化石燃料の採掘・輸出入は経済や国際政治に大きな影響を与える。

持続可能なエネルギー供給を実現するため、化石燃料から太陽光、風力などの再生可能エネルギーへの転換が求められている。

価値協創ガイダンス

企業がステークホルダーと共同で価値を創出するための指針や基準を示すガイドライン。

主に企業の経営戦略や活動において、顧客、社員、取引先、地域社会などのステークホルダーと連携し、相互に利益を生むプロセスを重視する。

価値協創ガイダンスを採用することで、企業はステークホルダーとより良い関係を築き、持続可能な成長と社会的責任を果たすための実践的な手法を導入することができる。

ガバナンス

企業が法令や規則を遵守するための管理体制のこと。

企業の持続可能な成長と発展を支え、株主や従業員、顧客、地域社会など、すべてのステークホルダーにとって公正で信頼性の高い企業運営を実現するための基盤となる。

企業の経営方針や倫理基準の確立、透明性の確保、リスク管理の強化、取締役会や監査機関の機能強化などが含まれる。

ガバナンスコード

上場会社が株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等の立場を踏まえ、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための枠組み。

企業が健全で持続可能な成長を実現するための指針となっており、企業の社会的責任を果たすための重要な枠組みとなっている。

ガバナンスコードの主な目的は以下の通り。

不祥事の防止:上場企業における不正行為や不祥事を未然に防ぐための管理体制を強化する。
国際的な競争力の強化:日本企業の国際的な競争力を高めるため、ガバナンスの質を向上させる。
透明性と公正性の確保:企業の経営における透明性と公正性を確保し、株主やステークホルダーの信頼を得る。

環境経営

環境対応や環境保全を企業活動を行う上での当然の責務と位置づけながら、同時に経済的価値を生み出し、企業価値を高めていく経営方法。

日本では高度成長期に起こった公害の対策のためにさまざまな環境技術が誕生し、環境対応の先進国となったが、現在は公害対策のみならず、温暖化対策や資源の保存、生態系の維持なども含むようになっている。

環境経営の具体例として、以下の企業が挙げられる。

トヨタ自動車
トヨタは「環境チャレンジ2050」という長期ビジョンを掲げ、二酸化炭素(CO2)排出量の削減や水資源の効率的な利用、生態系の保全に取り組んでいる。ハイブリッド車や燃料電池車などのエコカーの開発・普及にも力を入れている。

リコーグループ
リコーは環境会計を導入し、事業活動における環境保全のコストとその効果を、可能な限り定量的に測定して公表している。また、リコーは「リコー環境宣言」を掲げ、資源のリサイクルや省エネルギー、環境負荷の低減に向けた様々な取り組みを進めている。

ユニリーバ
ユニリーバは「持続可能な生産・消費」を目指し、製品のライフサイクル全体で環境負荷を削減する取り組みを進めている。また、パーム油などの原材料調達においても持続可能なサプライチェーンの構築を推進している。

パタゴニア
アウトドア衣料品メーカーのパタゴニアは、環境保護活動を企業の中核に据えている。リサイクル素材の使用や、製品の修理サービスを提供することで、消費者が製品を長く使用できるよう支援している。また、売上の一部を環境保護団体に寄付している。

環境保全支出

企業活動などに伴って発生する環境負荷を低減させることを目的とした費用や、それに関連した費用のこと。「環境コスト」とも言われる。

企業が持続可能な経営を行うための重要な要素であり、環境負荷の低減と同時に企業の社会的責任を果たす手段でもある。

主に、以下のような費用が含まれる。

・環境汚染防止装置の導入や維持管理費用
・廃棄物処理やリサイクルに関連する費用
・環境保護活動や環境教育にかかる費用
・エネルギー効率の向上や再生可能エネルギーの利用促進に関する費用

企業価値

会社の経済的価値を指す。具体的には、会社が将来にわたって生み出すキャッシュフローの現在価値を指すことが多い。

しかし、誰に帰属するかによって異なる価値概念が存在する。そのため、企業価値の算定の際には注意が必要である。

例えば、株主と事業に帰属して考える場合は以下のようになる。

株主価値:株主にとっての価値を示すもので、企業の純資産や将来の利益から生み出される配当などが評価基準となる。
事業価値:事業全体の価値を示すもので、事業の将来のキャッシュフローや収益性などが評価基準となる。

気候変動枠組条約(UNFCCC)

地球温暖化などの気候変動問題に対処するための国際条約。
1992年のリオデジャネイロ地球サミットで採択され、1994年に発効。

条約の目的は、大気中の温室効果ガス濃度を安定させることで、気候システムへの人為的影響を防止し、持続可能な開発を支援すること。

UNFCCCは、締約国会議(COP)を定期的に開催し、国際的な気候変動対策の枠組みを協議・決定する場を提供している。

代表的な条約には、1997年の京都議定書や2015年のパリ協定があり、温室効果ガス削減目標や各国の行動計画を定めている。

キャップ・アンド・トレード

温室効果ガスの排出量を削減するための市場ベースの制度。
市場メカニズムを活用して環境保護と経済成長を両立させるための重要な政策手段。

政府が全体の排出量に上限(キャップ)を設定し、その上限内で企業や団体に排出権を配布する。

企業は自らの排出量を管理し、必要に応じて排出権を売買(トレード)することができ、全体の排出量が抑制されるとともに、企業間で効率的に排出削減が促進される。

強制結婚

処罰の脅威の下に強要され、かつ自らの自由意思ではない一切の結婚を指す。

2021年時点で世界中で2,800万人が強制結婚の被害を受けているとされる(「Global Estimates of Modern Slavery: Forced Labor and Forced Marriage」より)。

ILO(国際労働機関)で採択された「強制労働に関する条約(第29号)」では、強制労働を基本的人権の侵害と定めており、日本もこの条約に批准している。

強制結婚は強制労働の一形態と見なされることが多く、特にグローバルな事業展開を行っている企業にとっては、サプライチェーン上で起こる大きな人権問題の一つとして注目されている。

企業は、自らのサプライチェーンにおいて強制結婚を含む人権侵害が発生しないよう、デューデリジェンスを強化し、適切な対応策を講じることが求められる。

共同物流

複数企業の物流諸機能(保管・荷役・輸送・配送など)を共同で行うことを指す。
共同物流は、大きく次の3つに区分することができる。

同業種による共同化:同じ業種の企業が共同で物流機能を運営することで効率化を図る。
サプライチェーン全体の連携による共同化:製造から販売までのサプライチェーン全体で連携し、物流を共同で運営する。
物流ネットワーク資産の活用による共同化:既存の物流ネットワークや資産を複数の企業で共有し、効率的に利用する。

共同物流が注目される背景には、量的な拡大が望めない社会や経済環境の中での以下の問題がある。
以下の課題に対処するため、企業間での物流機能の共同化が進められている。

・コストダウン要求
・トラックドライバー不足
・燃料費高騰
・GHG削減
・荷待時間の長期化問題

京都議定書(Kyoto Protocol)

1997年に京都で開催された国連気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)で採択された国際条約。
温室効果ガスの排出削減を目指し、先進国に法的拘束力のある削減目標を設定した。

2005年に発効し、2012年までの第1約束期間で主要な温室効果ガス(二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素、フロン類など)を1990年比で平均5.2%削減することを求めた。

各国が相互に協力しながら、温室効果ガス削減に取り組む枠組みが形成されたため、京都議定書は気候変動対策における歴史的な第一歩とされ、その後のパリ協定へと繋がる重要な基盤となった。

グリーンウォッシュ

環境に配慮した、またはエコなイメージを思わせる「グリーン」と、ごまかしや上辺だけという意味の「ホワイトウォッシュ」を組み合わせた造語。

企業や製品が実際には環境に優しくないにもかかわらず、あたかも環境に配慮しているかのように見せかけるマーケティング手法を指す。

例えば、従来の成分と変わらない清涼飲料水がラベルを緑に変えたり、特に明確な根拠もなく「環境にやさしい」「エコ」などを謳った商品などが挙げられる。

グリーンビルディング

環境に配慮した設計、建設、運用、維持管理を行う建築物のこと。
エネルギー効率の向上、資源の節約、廃棄物の削減、健康的な室内環境の提供などを目指す。

具体的な特徴として、再生可能エネルギーの利用、高性能断熱材や窓の採用、雨水の再利用、自然光の活用、持続可能な建材の使用などが含まれる。

グリーンビルディングは、LEED(Leadership in Energy and Environmental Design)やBREEAM(Building Research Establishment Environmental Assessment Method)などの認証システムを通じて評価されることが多く、建築物の環境性能を客観的に評価し、持続可能な建築を推進する。

グリーンボンド

環境保護や気候変動対策を目的とするプロジェクトの資金調達に特化した債券。

再生可能エネルギーの開発、エネルギー効率の向上、クリーンな交通システムの構築、持続可能な水管理、廃棄物管理など、環境に配慮したプロジェクトに使用される。

資金の使用目的やプロジェクトの進捗状況について定期的な報告が必要で、高い透明性が求められる。

また、多くの場合、第三者機関による認証を受け、国際的なガイドラインに準拠することが推奨される。

グリーン購入

商品やサービスを選ぶ際に、環境への負荷が少ないものを優先的に購入する行動。
製品のライフサイクル全体を考慮し、製造、流通、使用、廃棄に至るまでの環境影響を最小限に抑え、環境負荷の軽減、資源の節約、持続可能な社会の実現に寄与する。

再生可能資源の使用、省エネルギー設計、リサイクル可能な素材の使用、有害物質の削減などが評価基準となる。

くるみんマーク・プラチナくるみんマーク

子育て支援に積極的に取り組む企業が「子育てサポート企業」として厚生労働大臣の認定を受け、与えられる認証マーク。
プラチナくるみんマークは、くるみんマークの上位認証で、さらに高い基準を満たした企業に授与される。
企業が取得することで、育児と仕事を両立しやすい環境が整っていることを示すことができる。

育児休業や子育て支援制度の充実、男性の育児休業取得促進、多様な働き方の推進など、働く親を支援する取り組みが評価される。

【関連サイト】
くるみんマーク・プラチナくるみんマーク・トライくるみんマークについて(厚生労働省)

グローバルサウス

主に新興国・発展途上国・第三世界の国々や地域を指す用語。
この名称は、先進工業国の多くが北半球に位置し、新興国や発展途上国の多くが南半球に位置することに由来している。

グローバルサウスは、経済成長や開発の段階が異なる国々を包括し、社会的・経済的課題に直面している地域を指す際に使用される。

現代の奴隷

明確な定義はないものの、脅迫、暴力、強制、欺瞞、権力の濫用によって、本人が拒否することも離れることもできない搾取の状態にある人々を指す。強制労働や強制結婚が代表例。

ILO(国際労働機関)と国際人権団体ウォーク・フリー、国際移住機関(IOM)が2022年に発表したレポート「Global Estimates of Modern Slavery: Forced Labor and Forced Marriage」によると、2021年時点で世界で約5,000万人(強制労働:2800万人、強制結婚:2800万人)が現代奴隷として生活しているとされる。また、強制労働の86%は民間部門で発生していると報告されている。

現代奴隷がクローズアップされたのは、2015年に英国で成立した「英国現代奴隷法」からであり、この法律が国際的な関心を集め、企業や政府がサプライチェーンや労働環境における人権侵害を防止するための取り組みを強化する契機となった。

国際フェアトレード認証ラベル

フェアトレード国際基準に基づいて生産された製品に付与されるラベル。
製品が環境に配慮しつつ、労働者の権利や生活水準の向上に貢献していることを示す。

認証基準には、公正な賃金の支払い、労働条件の改善、児童労働の禁止、環境保護などが含まれ、生産者は基準を満たすことで認証を取得することができる。

消費者は、ラベルが付いた製品を購入することで、公正な貿易を支持し、発展途上国のコミュニティの持続可能な発展に貢献することができる。

国連環境開発会議(地球サミット)

1992年にブラジルのリオデジャネイロで開催された国際会議。
正式名称は「国連持続可能な開発会議(UNCED)」。
目的は地球環境問題に対処し、持続可能な開発を推進するために、世界各国が協力すること。

地球サミットでは、持続可能な開発に関する基本理念と行動計画を示す「アジェンダ21」、気候変動枠組条約(UNFCCC)、生物多様性条約、森林原則声明などの重要な文書を採択。

環境保護と経済発展を両立させるためのグローバルな取り組みの出発点となり、各国政府、NGO、企業、市民社会が協力して持続可能な開発目標を追求するための基盤を築いた。

国連グローバル・コンパクト

国連と民間企業・団体が手を結び、健全なグローバル社会を築くための世界最大のサステナビリティイニシアチブ。

署名する企業・団体は、企業トップ自らのコミットメントの下、次の4分野、10原則に賛同し、その実現に向けて努力を継続することが求められる。

【人権】
・原則1:企業は、国際的に宣言されている人権の保護を支持、尊重すべきである
・原則2:企業は、自らが人権侵害に加担しないよう確保すべきである

【労働】
・原則3:企業は、結社の自由と団体交渉の実効的な承認を支持すべきである
・原則4:企業は、あらゆる形態の強制労働の撤廃を支持すべきである
・原則5:企業は、児童労働の実効的な廃止を支持すべきである
・原則6:企業は、雇用と職業における差別の撤廃を支持すべきである

【環境】
・原則7:企業は、環境上の課題に対する予防原則的アプローチを支持すべきである
・原則8:企業は、環境に関するより大きな責任を率先して引き受けるべきである
・原則9:企業は、環境に優しい技術の開発と普及を奨励すべきである

【腐敗防止】
・原則10:企業は、強要や贈収賄を含むあらゆる形態の腐敗の防止に取り組むべきである

国連グローバル・コンパクト4 分野 10 原則の解説より抜粋

コレクティブインパクト

社会課題に対して、単一セクターの経営資源や組織能力により解決するのではなく、企業、非営利組織、行政、市民など多くのセクターが境界を越え相互に強みやノウハウを持ち寄りながら社会課題に対する働きかけを行うことで、課題解決や大規模な社会変革を目指すアプローチ。

2011年にKania、J. とKramer、M(カニアとクラマー)により提示され、多様なセクターが協力して社会的な課題に取り組むための効果的なアプローチであり、持続可能な社会変革を実現するための強力な手段となっている。

日本語の協働に近い言葉だが、コレクティブインパクトは目的・手段・道筋・具体的な達成のポイントを明示していることや、達成状況や現状が客観的にわかる数値データを用いて進捗がわかるようにすることなど、手法や進捗が可視化され、客観的に把握できる点で異なる。

クラマーは、コレクティブインパクトによる成功条件として以下の5つの要素を挙げている。

共通のアジェンダ:全ての参加者が共有する目標と戦略。
共通の測定(評価)システム:進捗を測定し、成果を評価するための一貫したデータ収集と報告の仕組み。
相互支援活動:参加者間での協力とサポート。
継続的なコミュニケーション:参加者間の定期的な情報共有と対話。
活動を支援するバックボーン組織:全体のコーディネーションを担当する専門の組織。

昆虫食

食料としての昆虫のこと、昆虫を栄養源として食べること。
昆虫食が注目される背景には、地球規模の人口増加と、それにともなう食料不足の懸念がある。

昆虫は牛肉や豚肉に比べて生産に必要な場所も取らず、コストも安いため、肉の代替食として注目され、フランスでは2010年に昆虫の養殖、加工、販売を推進する団体FFPIDIが立ち上がっており、EU内で認可を受けた昆虫食が流通している。

国連食糧農業機関(FAO)が2013年5月に発表した報告書によると、全世界で約20億人が1,900種類を超える昆虫を食べているという。

サ行

サーキュラーエコノミー

3R(リデュース、リユース、リサイクル)を進めながら、新たなビジネスモデルを創出し、環境と経済成長の両立を図る考え方。
資源の無駄を最小限に抑え、製品や材料の使用期間を最大限に延ばすことを目指す。

サーキュラーエコノミーの構想は、1990年代から日本において「エコタウン構想」などで進められてきたが、近年は気候変動対策が強化される中で、カーボンニュートラルとともに特に強調されるようになっている。

サーキュラーエコノミーに関する記事はこちら

再生可能エネルギー

自然環境に存在する資源を利用し、持続的にエネルギーを供給できるものを指す。

再生可能エネルギーは持続可能な形で利用することが可能であり、環境負荷を低減し、化学燃料に依存しないエネルギー供給を実現するための重要な要素となる。

【再生可能エネルギーの例】
・太陽光
・風力
・水力
・地熱
・太陽熱
・大気中の熱その他の自然界に存する熱
・バイオマス

サステナビリティ

日本語で「持続可能性」を意味する。
「持続可能な」という意味でサステナブル(Sustainable)という形容詞も使われる。

サステナビリティという言葉は、環境と開発に関する世界委員会(ブルントラント委員会)の報告書から広がり始めたが、概念自体は1970年代から存在しており、現在では、経済・社会・環境の三つの側面から持続可能な発展を追求するための重要な概念として広く認識されている。

サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)

企業のサステナビリティ(企業の稼ぐ力の持続性)と「社会のサステナビリティ」(将来的な社会の姿や持続可能性)を同期化させる経営や対話、エンゲージメントを行っていくこと。

英語ではSustainability Transformationと表記され、略字には変革を意味する「X(エックス)」を充ててSXと表される。

企業が短期的な利益追求にとどまらず、長期的な視点から持続可能な成長を目指すべく、環境・社会・経済の3つの側面を統合的に考慮することが求められる。

【SXに求められる3つの側面】
環境への配慮:企業活動が環境に与える影響を最小限に抑え、持続可能な資源利用を促進する。
社会的責任:企業が社会の課題に取り組み、コミュニティやステークホルダーに対して責任を果たす。
経済的持続可能性:長期的な成長と収益を確保するための持続可能なビジネスモデルの構築。

SXに関する記事は以下からもご覧になれます。

サステナビリティ・リンクローン

借り手のサステナビリティ・パフォーマンスの向上を促すために、借り手のESG戦略と整合した取組目標(サステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPTs))を設定し、その達成状況に応じて、借入人にインセンティブやディスインセンティブが発生するローンのことであり、企業が持続可能な経営を推進し、環境・社会的課題への取り組みを強化するための金融ツール。

借り手が設定したサステナビリティ目標を達成することで、金利が下がるなどのメリットが得られ、目標が達成されない場合には、金利が上がるなどのペナルティが課される。

サステナビリティ・リンクローンの核となる5つの要素は以下の通り。

KPI の選定:借り手のサステナビリティ・パフォーマンスを評価するための具体的かつ関連性の高い指標(KPI)を選定する。
SPTs の測定:選定されたKPIに基づき、サステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPTs)を設定し、その達成状況を定量的に測定する。
ローンの特性:目標達成の有無に応じて金利やローン条件が変動する仕組みを設ける。
レポーティング:借り手は、設定された目標に対する進捗状況を定期的に報告し、透明性を確保する。
検証:第三者機関が設定された目標および達成状況を検証し、信頼性と透明性を担保する。

サステナビリティレポート

持続可能な社会の実現につながる企業の取り組みを開示する目的で作成された報告書。

企業が環境、社会、ガバナンス(ESG)に関する情報を公開し、ステークホルダーとのコミュニケーションを図るための重要なツールの1つ。

サステナビリティレポートに関する内容は以下からも確認できます。

サプライチェーン

原材料の段階から、製造した商品が消費者に届くまでの一連の流れのこと。
使う原材料の種類が多く、最終製品までのプロセスが多い場合、サプライチェーンは長くなる。

資源が限られている日本においては、多くの企業のサプライチェーンは海外まで延びていることが多い。

具体的には、以下の一連のプロセスを含む。

調達:原材料や部品を選定し、供給元から購入するプロセス
製造:原材料や部品を組み立て、最終製品を製造するプロセス
在庫管理:製品や部品の在庫を管理し、適切な供給を維持するプロセス
物流・流通:製品を倉庫から出荷し、消費者まで配送するプロセス
販売・製品を市場に提供し、消費者に販売するプロセス

サプライチェーンの管理は、企業の効率性や競争力を高めるために重要であり、コスト削減やリードタイムの短縮、品質の向上などを通じて、企業の競争力を強化する重要な要素となる。

三方よし

「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」の三方が納得・満足する商売の考え方。
中世から近代にかけて日本中を行商し、各地の需要に合わせた商売を展開した近江商人の考え方とされる。

三方すべてが満足することを目指すことで、持続可能な商売が成り立ち、信頼関係が築かれると考えられており、現代のCSR(企業の社会的責任)やサステナビリティの概念とも通じるものであるため、多くの企業が「三方よし」に基づいた経営を行っている。
代表的な例として、伊藤忠商事株式会社が挙げられる。

売り手よし:商売を行う側(売り手)が利益を得ること。
買い手よし:商品やサービスを購入する側(買い手)が満足すること。
世間よし:社会全体に対しても良い影響を与えること。

ジェンダー平等

すべての人々が性別に関わりなく、教育、雇用、政治参加、健康、家庭生活などのあらゆる分野で平等な権利を持ち、尊重され、自分のことを自分で決められる状態を指す。

ジェンダー平等は、持続可能な開発目標(SDGs)のターゲットの1つであり、特にSDG5「ジェンダー平等を実現し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る」の中で強調されている。

この目標は、性別による差別や暴力をなくし、男女が平等に機会を享受できる社会を実現することを目指している。

自然資本

企業や人類の経済活動、社会的な生活に必要な自然界から得られる資源やサービスを指す概念。
また、自然環境は事業活動を支える資本の1つであるという考え方。

具体的には、森林、水、土壌、空気、生物多様性など、地球の環境が提供する要素が含まれる。
自然資源は、企業活動や人々の生活において、物理的な資源の供給や気候の調整、汚染の浄化などの重要な役割を果たしている。

自然資本は「経済資本」と同様に、管理と持続的な利用が求められる。
乱用や劣化が進むと、企業活動や人類の生活基盤が脅かされ、長期的な持続可能性が損なわれるため、自然資本を守りながら価値を最大限に引き出すことが重要。

児童労働

子どもの教育機会や健全な成長を妨げる労働のこと。
ILO(国際労働機関)では、義務教育を妨げる15歳未満の子どもの労働と、18歳未満の危険で有害な労働を児童労働と定義している。

具体的には、以下のような労働が児童労働に該当する。

・劣悪な環境での長時間労働
・親の借金の形に無給で働かせる債務労働
・人身売買による性産業での強制労働
・子ども兵として軍事行動に参加させること

ユニセフとILOが2021年6月に発表した「Child Labor: Global estimates 2020, trends and the road forward」によれば、全世界で働く子ども(5〜17歳)の数は、途上国を中心に1億6,000万人(男子9,700万人、女子6,300万人)いると推計されている。

うち、約半数の7,900万人が建設や解体現場、砕石場をはじめ、人身売買や子ども兵など、健康や安全が脅かされる危険有害労働(ILOが1999年に制定した182号条約において最悪の形態とされる労働)に従事しているとされる。

社会的弱者

社会のなかで構成員として存在しながら、大多数の他者と比較して著しく不利な状況や不利益な状態に置かれる個人あるいは集団を指す。

身体的特徴や学歴、ジェンダー、所得、健康、年齢、生活形態、社会的スキルの有無など、さまざまな要因によって社会的弱者が生じる。

社会的弱者は発言力が限定され、他の多くの人々に比べて生活の質において著しく不利な立場に置かれる場合があるため、これらを是正するための社会的な支援や政策が求められている。

シングル・マテリアリティ

企業の財務パフォーマンスに直接的な影響を与える要素に焦点を当てた評価基準のこと。

企業の経済的健全性や投資家の意思決定に重要な影響を及ぼす財務情報やリスクを主に評価対象とする。
具体的には、売上高、利益、コスト、資産、負債、キャッシュフロー、リスク管理など、企業の経済的パフォーマンスに関連する項目がシングル・マテリアリティの評価対象となる。

シングル・マテリアリティは、従来の財務報告や企業評価の基本的なアプローチであり、企業の短期的および長期的な経済的成功を測るための重要な指標となっており、投資家や金融機関が企業の経済的価値を評価し、投資や融資の意思決定を行う際に使用される。

しかし、近年の持続可能性や社会的責任の重要性が高まる中で、シングル・マテリアリティだけでは企業の全体像を十分に評価できないとの指摘もあり、環境・社会的視点も含めたダブル・マテリアリティの概念が注目されるようになっている。

人的資本

個人が持つ資質(倫理観、協調性、リーダーシップなど)や能力(知識、技術・技能など)を、企業の付加価値を生み出す資本とみなしたもの。

人的資本は企業にとって重要なリソースであり、従業員のスキルや知識、経験が企業の競争力や成長を支える要素となるため、資質や能力を適切に活用し、育成することで、企業は持続的な発展を遂げることができる。

人的資本に関連する記事一覧

人的資本経営

人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方。

当初は、個人が後天的に習得した知識や専門的技能によって生み出される経済的収益性に注目した考え方が一般的だったが、徐々に生まれ持った能力や資質まで資本としてみなされるようになった。

たとえば、OECD(経済協力開発機構)は人的資本の定義を拡大し、2001年の報告書では人的資本を「個人的、社会的、経済的厚生の創出に寄与する知識、技能、能力及び属性で、個々人に備わったもの」と定義している。

人的資本経営は、人的資本を戦略的に管理し、育成することで、企業の競争力を高め、持続可能な成長を実現することを目指す。

また、2023年3月期の決算から、有価証券報告書にサステナビリティ情報の記載欄が新設されており、対象企業は人材育成や環境整備の方針・指標・目標などを明記する義務がある。
義務化された項目は以下の「サステナビリティに関する考え方及び取組」と「従業員の状況」の2分野6項目。

【サステナビリティに関する考え方及び取組】
1.人材育成方針:企業がどのように従業員の能力を育成するかについての方針
2.社内環境整備方針:従業員が働きやすい環境を整備するための方針
3.上記1, 2の指標・目標:人材育成方針と社内環境整備方針に関連する具体的な指標と目標

【従業員の状況】
4. 女性管理職比率:企業内での女性管理職の割合
5. 男性育休取得率:男性従業員が育児休業を取得する割合
6. 男女間賃金格差:男女間の賃金の差

人的資本経営についての記事は以下からも確認できます。

水平リサイクル

使用済み製品を原料として用いて、再び同じ種類の製品を製造するリサイクルのこと。
資源の有効利用と廃棄物の削減を同時に実現するもので、環境負荷を低減するための持続可能なアプローチとして注目されている。

具体例として、使用済みのペットボトルを回収し、新たなペットボトルとして再生するプロセスなどが挙げられる。

スクリーニング

投資において環境、社会、ガバナンス(ESG)の基準を用いて企業や事業を評価・選別する手法。
社会的責任を果たしつつ、リスク管理を強化し、長期的なリターンを追求できる。

主に投資ファンドや機関投資家が持続可能で倫理的な投資を行うために用いる。

ESG投資においては、以下の2種類の手法が有名。

・ネガティブスクリーニング:武器製造や化石燃料産業など問題のある業種を除外する手法
・ポジティブスクリーニング:再生可能エネルギーや労働者の権利保護を重視する企業を選定する手法

スコープ1、スコープ2、スコープ3

温室効果ガス(GHG)の排出量の算定・報告のために定められた国際的な基準「GHGプロトコル」で示されているカテゴリー区分。

スコープ1(自社での直接排出量)
企業・組織が燃料の燃焼や製品の製造などを通じて「直接排出」する温室効果ガス(GHG)を指す。
企業自身の活動に起因する排出であり、例えば工場のボイラーでの燃料燃焼や車両の使用などが含まれる。

スコープ2(自社での間接排出量)
他社から供給された電気・熱・蒸気を使用することで「間接的に排出」される温室効果ガス(GHG)を指す。
企業が消費するエネルギーの供給過程で発生する排出であり、購入した電力の使用による排出などが該当する。

スコープ3(Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出))
上流・下流含めたサプライチェーン全体にわたり排出される温室効果ガス(GHG)を指す。
具体的には、仕入れた原料から販売後の利用、その後の廃棄に至るまでの間に排出される温室効果ガス(GHG)などが該当する。

スチュワードシップコード

投資先企業の持続的成長を促し、顧客や受益者の中長期的なリターンを拡大することを目的とした機関投資家の行動原則。

機関投資家が責任ある投資行動を通じて企業の持続可能な成長を支援し、広範なステークホルダーに対して透明性と信頼性を提供するための指針。

最初に策定されたのは2010年の英国で、「日本版スチュワードシップコード」は2014年に安倍政権の成長戦略の一環として、金融庁によって策定された。

法的拘束力はないが、「コンプライ・オア・エクスプレイン(Comply or Explain)」ルールを採用しており、各原則を順守するか、順守しない場合はその理由を説明することが求められている。

日本版スチュワードシップコードは、機関投資家が実行すべき以下の7つの原則から成る。

【7つの原則】
1. スチュワードシップ責任を果たすための明確な方針を策定し、公表する。
2. スチュワードシップ責任を果たす上で管理すべき利益相反について、明確な方針を策定し、公表する。
3. 投資先企業の持続的成長に向けてスチュワードシップ責任を適切に果たすため、当該企業の状況を的確に把握する。
4. 投資先企業との建設的な「目的を持った対話」を通じて、投資先企業と認識の共有を図るとともに、問題の改善に努める。
5. 議決権の行使と行使結果の公表について明確な方針を持つとともに、議決権行使の方針については、単に形式的な判断基準にとどまるのではなく、投資先企業の持続的成長に資するものとなるよう工夫する。
6. 議決権の行使も含め、スチュワードシップ責任をどのように果たしているのかについて、原則として、顧客・受益者に対して定期的に報告を行う。
7. 投資先企業の持続的成長に資するよう、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解に基づき、当該企業との対話やスチュワードシップ活動に伴う判断を適切に行うための実力を備える。

ステークホルダー・ダイアログ

企業や組織が関係するさまざまな利害関係者(ステークホルダー)と意見交換を行い、相互理解を深めるためのプロセスであり、企業の持続可能な成長と社会的価値の創出に寄与し、長期的な視点での企業価値向上を目指す重要な手段。

企業はダイアログを通じて、ステークホルダーの期待に応え、持続可能な未来を共に築くためのパートナーシップを強化する。

特にESG経営の観点では以下のような重要な役割を果たす。

【環境(E)の観点】
企業の環境負荷削減や持続可能な資源利用に関する取り組みについて、ステークホルダーの意見を収集し、改善策を講じることができる。

【社会(S)の観点】
労働環境の改善や人権の尊重、地域社会への貢献についての対話を通じて、企業が社会的責任を果たすための具体的なアクションを導き出すことが可能。

【ガバナンス(G)の観点】
企業の透明性や倫理的な経営、コンプライアンス体制についての意見交換が行われ、信頼性の向上やリスク管理の強化につながる。

ステークホルダーエンゲージメント

企業がステークホルダー(株主、従業員、顧客、地域社会など)のことをよく理解し、ステークホルダーの関心事を事業活動と意思決定プロセスに組み込んで組織的な行動として展開する取り組みを指す。

企業が持続可能な成長を遂げるために重要な取組みであり、以下のような利点がある。

信頼関係の構築:ステークホルダーとのコミュニケーションを通じて、相互の信頼関係を構築する。
リスクの管理:ステークホルダーの意見や懸念を取り入れることで、事業活動に関連するリスクを早期に発見し、適切に対処する。
イノベーションの促進:ステークホルダーからのフィードバックを活用し、新しいアイデアやソリューションを生み出す。
企業価値の向上:ステークホルダーとの良好な関係を維持することで、企業のブランド価値やレピュテーションを高める。

ステークホルダーエンゲージメントについては以下の記事からも確認できま

スマートシティ

ICTなどの新技術を活用しながらマネジメント(計画、整備、管理・運営等)の高度化により、都市や地域の抱える諸課題を解決し、かつ新たな価値を創出し続ける、持続可能な都市や地域のこと。

内閣府・総務省・経済産業省・国土交通省が合同で取りまとめた「スマートシティガイドブック」によれば、次の4要素を満たした都市や地域と定義されている。

①コンセプト: 3つの基本理念と5つの基本原則

【3つの基本理念】
1. 市民(利用者)中心主義
2. ビジョン・課題フォーカス
3. 分野間・都市間連携の重視

【5つの基本原則】
1. 公平性、包摂性の確保
2. プライバシーの確保
3. 相互運用性・オープン性・透明性の確保
4. セキュリティ・レジリエンシーの確保
5. 運営面、資金面での持続可能性の確保

手段:新技術やデータを活用したサービス提供やマネジメントの高度化
動作:都市や地域の課題解決や価値創造を行う
状態:持続可能かつSociety5.0へ接続される

スマートシティにはさまざまな先端技術とデータが統合されたイメージがあるが、現在進められているスマートシティは、それぞれ地域の特性を持っている。

日本でもすでにスマートシティは誕生しており、各省庁、経済団体、企業、大学、公共機関などを会員構築されたスマートシティは、都市の効率性や住民の生活の質を向上させるための重要な取り組みであり、持続可能な未来の都市づくりを目指している。

ソーシャル・ボンド

社会的課題の解決を目的とするプロジェクトの資金調達に用いる債券のこと。
主に教育、医療、低所得層支援、雇用創出など、社会的な利益をもたらすプロジェクトに資金を提供する。

発行体は、資金の使用目的やプロジェクトの成果について定期的に報告することが求められ、高い透明性が確保される。

第三者機関による認証を受けることが多く、国際的なガイドラインに基づいて発行される。

ソーシャルグッド

社会的に良い影響を与える活動やプロジェクトを指す概念。
ソーシャルグッドの活動は、社会の問題を解決するために設計され、持続可能で公平な社会の構築を目指し、企業や団体が社会的責任を果たしながら、地域社会や環境への貢献を行うことが求められる。

具体的には、貧困削減、教育支援、環境保護、健康促進など、社会全体の利益や福祉の向上を目指す取り組みなどが挙げられる。

ソーシャルデザイン

社会的な課題やニーズを解決するためにデザインの力を活用するアプローチ。

コミュニティの改善、社会的な公平性の促進、環境保護など、広範な社会的問題に対応するために、デザインが戦略的に活用され、単なる製品やサービスの創造にとどまらず、社会全体にポジティブな影響を与えることを目指す。

具体例として、地域社会の参加を促すプロジェクト、環境に配慮した製品の開発、または社会的に意義のあるプログラムの設計などが挙げられる。

ソーシャルビジネス

社会的課題の解決を目的としながら、持続可能なビジネスモデルで運営される事業。
営利企業のように収益を上げつつ、社会や環境に対するポジティブな影響を提供することを重視し、収益の一部または全てが社会的な目的の実現に使われることが多い。

具体例として、教育機会を提供する事業、環境保護に取り組む企業、貧困層を支援するプロジェクトなどが挙げられる。

タ行

ダイナミック・マテリアリティ

企業の重要課題(マテリアリティ)が時間とともに変化し、環境や状況の変化に応じて柔軟に対応する必要があるという概念。

ダイナミック・マテリアリティの主な特徴は以下の通り。

①変化への対応
企業は、環境変化、規制の変更、社会的トレンド、技術革新などに迅速に対応する必要がある。これにより、企業は持続可能な成長を実現できる。

②継続的な評価
企業は定期的にマテリアリティの評価を行い、重要課題が適切に認識されているかを確認する。これには、ステークホルダーとの対話やデータ分析が含まれる。

③戦略的柔軟性
企業の戦略は、ダイナミックな環境に対応するために柔軟でなければならない。これにより、企業は新たなリスクや機会に対して効果的に対処できる。

④統合的アプローチ
財務的視点と非財務的視点の両方を統合して評価することで、企業の全体的なパフォーマンスと持続可能性を包括的に把握する。

ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(Diversity, Equity & Inclusion(DE&I))

従来企業が取り組んできた「ダイバーシティ&インクルージョン」に公正性を加えた概念で、多様な人材を適切に生かす人的資本経営のあり方として広がっている。

企業や組織が持続可能な成長を遂げるために不可欠な要素であり、多様な視点や経験を持つ人々が協力し合うことで、革新や競争力の向上が期待される。

Diversity(多様性):性別、人種、年齢、宗教、障害の有無、性的指向など、さまざまな背景や特性を持つ人々が存在すること。
Equity(公正性):個々のニーズや状況に応じて、公平な機会や支援を提供すること。平等(Equality)が同じ条件を提供することを意味するのに対し、公正性は個々の違いを認識し、それに応じた支援を行うことで不平等を是正することを目指す。
Inclusion(包摂性):多様な人々が受け入れられ、尊重され、組織やコミュニティの一員として参加できる状態を確保すること。

ダイベストメント(Divestment)

企業や組織が特定の事業や資産から投資を撤退すること。
主に化石燃料産業や人権侵害を行う企業など、社会的・環境的に有害とされる事業からの撤退を目的とする。

気候変動対策や社会的公正の追求として行われ、企業に対して持続可能なビジネスモデルへの転換を迫る手段となる。

ダブル・マテリアリティ

企業の持続可能性や長期的な価値創造において、以下の2つの視点からマテリアリティ(重要課題)を評価する概念。

財務的マテリアリティ
企業の経済的パフォーマンスや投資家の意思決定に重要な影響を与える要素。これには、収益、コスト、資産、リスク管理など、企業の財務健全性や競争力に直接関連する項目が含まれる。

環境・社会的マテリアリティ
企業の事業活動が環境や社会に与える影響。これには、環境保全活動、社会貢献、労働慣行、人権尊重、ガバナンスなどが含まれ、企業が社会的責任を果たすために重要とされる要素である。

企業が自らの持続可能性を高めるために、財務的視点だけでなく、社会的・環境的視点からも重要な課題を認識し、対策を講じることが可能となる。

炭素国境調整措置

気候変動対策を強化している国が、気候変動対策が不十分な国からの輸入品に対し、水際で炭素課金を行うことを指す。

輸入品に含まれる炭素排出量に応じて追加の税金を課すことで、国内の産業が気候変動対策のために負担しているコストとの差を埋め、公平な競争環境を維持することを目的としている。

また、自国からの輸出に対しても、水際で炭素コスト分の還付を行う場合がある。この措置により、企業が排出する炭素の量に対して経済的なインセンティブが働き、グローバルな気候変動対策の推進が期待される。

炭素税

石炭・石油・天然ガスなどの化石燃料に、炭素の含有量に応じて税金をかける環境税の一つ。
消費者や企業に対して炭素排出のコストを直接的に意識させることで、より環境に配慮した行動を促進することを目的としている。

環境税を課すことで化石燃料や化石燃料を利用した製品の製造・使用の価格を引き上げ、需要抑制を促し、CO2排出量を抑える効果が狙うことができ、日本では「地球温暖化対策のための税」として、2012年に導入されている。

統合報告書

企業の財務情報(売上や利益、資産など)に加え、企業統治や社会的責任(CSR)、知的財産などの非財務情報(企業理念、ビジョン、ビジネスモデル、技術、ブランド、人材、ガバナンス、CSR、SDGsなどの取り組み)を統合的にまとめた報告書。

近年では、サステナビリティについての取り組みをアピールすることで、ESG投資を呼び込んだり、投資撤退を回避する目的がある。

統合報告書は、企業の持続可能な成長と社会的責任を示す重要なツールとなっており、投資家やその他のステークホルダーに対して企業の総合的な価値を伝える手段として広く利用されている。

統合報告書に関する記事は以下からもご覧になれます。

トライセクターリーダー

民間、公共、市民社会の3つのセクターの垣根を越えて活躍し、協働するリーダーのこと。
トライセクター・アスリートとも呼ばれる。

異なるセクター間での協力を通じて価値を創出するCSV(Creating Shared Value)のような取り組みを推進するために重要な役割を果たす。

ナ行

なでしこ銘柄

日本の上場企業の中で、特に女性の活躍推進やダイバーシティに優れた取り組みを行っている企業に対し、東京証券取引所が選定する銘柄。
企業の女性活躍推進の取り組み、職場環境の改善、リーダーシップの機会提供など、多様な評価基準に基づき、選ばれる。

銘柄に選ばれた企業は、女性の雇用やキャリア開発に積極的に取り組んでおり、ダイバーシティの推進が評価され、女性の活躍を支援し、持続可能な成長を目指している企業ということを示すことができる。

【関連サイト】
女性活躍に優れた上場企業を選定「なでしこ銘柄」(経済産業省)

ネイチャーポジティブ

ノーネットロスの考えをポジティブな方向に転換し、損失傾向にある自然を回復基調にさせる考え方。

自然環境に対する損失をゼロにすることを目指すだけでなく、積極的に自然を回復させることを重視するアプローチ。

GHG排出削減のカーボンポジティブと同様の考え方で、自然環境の保護と回復を目指す。

ノーネットロス

企業などの事業活動が生物多様性に与える負の影響を最小化しながら、生物多様性の復元に向けた活動を行い、生態系全体での損失を相殺する考え方で、実質的に自然損失をゼロにする概念。

GHG削減におけるカーボンゼロと同様の考え方で、事業活動による環境への影響を中和し、持続可能な環境保護を目指すもの。

ノーマライゼーション

障害の有無に関わらず、全ての人々が平等に社会生活を送ることができるようにする理念。
考え方は、教育、就労、住環境など多岐にわたり、バリアフリーなインフラ整備や合理的配慮の提供などが含まれる。

ハ行

バーゼル条約

国際的に有害廃棄物の越境移動とその処理に関する規制を定めた条約。
1989年にスイスのバーゼルで採択された。

国際的に有害な廃棄物の不適切な処理や違法な移動を防ぐためのルールを設定しており、有害廃棄物の輸出入に関する許可制度や、処理方法に関する基準を定めており、発展途上国への有害廃棄物の押し付けなどを防ぐことができる。

パーパス(Purpose)

英語で目的や意図を意味するが、サステナビリティ用語では企業の「存在意義」を指す。
企業が持続可能な社会を目指す上での指針となり、全ての活動の基盤となる重要な概念。

「自社は何のために存在するのか」「その事業をやる理由は何か」といった根源的な問いに対する答えであり、企業の「志」と表現されることもある。

パーパスに関する記事は以下からもご覧になれます。

ハーマン・デイリーの3原則

米国の経済学者ハーマン・デイリーが提唱した「持続可能な発展の3原則」のこと。
環境保護と経済成長を両立させるための基本的なガイドラインとなっており、以下の3つの原則から成る。

再生可能な資源の消費ペースは、その再生ペースを上回ってはならない
 自然界に存在する再生可能な資源(森林、魚類、地下水など)は、その再生速度を超えない範囲で利用することが求められる。

再生不可能な資源の消費ペースは、それに代わりうる持続可能な再生可能資源が開発されるペースを上回ってはならない
 石油や石炭などの再生不可能な資源の消費は、将来的にそれに代わり得る持続可能な再生可能資源が開発される速度を超えないように管理する必要がある。

汚染の排出量は、環境の吸収能力を上回ってはならない
 排出される汚染物質(CO2、廃棄物、化学物質など)は、自然環境がそれを吸収し無害化する能力を超えない範囲で管理しなければならない。

バイオマスエネルギー

動・植物に由来する有機性資源であるバイオマスを原料として得られるエネルギーを指す。
バイオマスエネルギーには、以下のような利用方法がある。

直接燃焼やガス化:バイオマスを直接燃焼させたり、ガス化することで得られた熱をそのまま利用したり、発電に利用する。
メタン発酵:家畜の糞尿などの有機物をメタン発酵させてガスを取り出し、燃焼させて熱利用する。
バイオ燃料:植物から取り出したバイオエタノールやバイオディーゼルなどのバイオ燃料として利用する。

バイオマスは有機物で燃焼させると二酸化炭素(CO2)が発生するが、成長過程での光合成によって大気中の炭素を吸収しているため、結果的にバイオマスの自然循環の過程では二酸化炭素(CO2)の排出はゼロとみなされ、カーボンニュートラルなエネルギー源として評価されている。

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バリューチェーン

1985年に米国の経営学者、ハーバード・ビジネススクールのマイケル・E・ポーターが著書『競争優位の戦略』の中で提唱したフレームワーク。

企業活動を以下の「主活動」と「支援活動」に分けて分析し、価値を生み出す各プロセスの効率性を高め、競争優位を築くための戦略を立案することができる。

主活動:製品やサービスの物理的な創造、販売、納品、およびアフターサービスに関する活動

・購買物流(原材料の受け入れ、保管、配送)
・製造(製品の製造や組立)
・出荷物流(製品の保管と配送)
・販売・マーケティング(製品の販売促進と販売)
・サービス(顧客サービスやアフターサービス)

支援活動:主活動を支える管理的な活動

・全般管理(インフラストラクチャー)(全般的な管理、財務、計画)
・調達活動(原材料や部品の購入)
・技術開発(研究開発、製品設計)
・人事・労務管理(従業員の採用、訓練、報酬)

非財務情報

企業の財務状況や業績に関する情報(売上高、利益、資産負債など)以外の情報を指し、企業の社会的責任(CSR)、ESG活動、企業文化、経営方針、リスク管理、人材育成、知的財産などが含まれる。

非財務情報は企業の持続可能性や長期的な価値創造を評価するために重要であり、投資家やステークホルダーが企業の全体像を理解するのに役立つ。

非財務情報の開示は透明性と信頼性を高め、企業の評判やブランド価値を向上させることができる。
具体的には、企業の環境保全活動、社会貢献活動、従業員の多様性とインクルージョン、ガバナンスの強化などが含まれ、統合報告書やサステナビリティレポートなどを通じて公表されることが多い。

ビジネスと人権に関する指導原則

2011年に国連の人権理事会で全会一致で支持された文書であり、「人権を保護する国家の義務」、「人権を尊重する企業の責任」、「救済へのアクセス」の3つの柱から構成され、国家や企業に対し、規模や業種、所在地などに関係なく、人権を保護し尊重することを求めている。

人権を保護する国家の義務
 国家は、自国の領土内および管轄内での人権侵害を防止し、保護するための法的および政策的措置を講じる義務を負う。
人権を尊重する企業の責任
 企業は、自らの事業活動が人権に与える影響を認識し、人権を尊重する責任を果たすための対策を講じる必要がある。これには、人権デューデリジェンスの実施や、人権侵害の防止・軽減が含まれる。
救済へのアクセス
 被害者が効果的な救済を受ける権利を確保するために、国家および企業は、救済メカニズムの提供と改善を行うべきである。

指導原則作成の背景には、多くの人権を守るためのルールや協定があるものの、人権侵害が続いていたことにあった。特に、企業が国境を越えて行う活動での人権侵害が問題視され、被害者が救済されないケースが多く、批判が集まっていた。この人権問題に対処するため、ハーバード大学のジョン・G・ラギー教授を中心に国連が作成した。

ビジョン(Vision)

企業経営において、企業が事業を通じて将来的に「目指すべき方向性」や「未来像」、「目指すゴール」を指す。

持続的な成長を遂げるための指針となり、従業員やステークホルダーに共通の目標を提供することで、一体感やモチベーションを高める役割を果たす。

ミッションやバリューとセットで考えられることが多い。

ミッション(Mission):企業の使命や存在意義
ビジョン(Vision):企業が目指す未来像やゴール
バリュー(Value):企業が大切にする価値観や行動基準

フードロス

本来食べられるのに捨てられてしまう食品のこと。
事業系フードロスと家庭系フードロスに分けることができる。

農林水産省が公表した推計値によると、2021年度は日本全体で年間523万トンのフードロスが発生しており、事業系フードロスが279万トン、家庭系フードロスが244万トンであった。(※)

日本は事業系食品ロスを2030年度までに2000年度比で半減(273万トン)する目標を立てており、その達成に向けた取り組みが進められている。

食品ロス量(令和3年度推計値)を公表(農林水産省)

フェアトレード

発展途上国の生産者や労働者が公正な取引条件で取引され、持続可能な発展を支援するための貿易の仕組み。
生産者は公正な価格で取引され、労働環境の改善、社会的権利の尊重、環境保護が促進される。

フェアトレード製品には、コーヒー、茶、カカオ、バナナ、綿などがあり、フェアトレード認証ラベルが付与されることで消費者に信頼性を提供する。

消費者はフェアトレード製品を選ぶことで、倫理的な消費行動を実践し、グローバルな公正貿易を支持することができる。

プラネタリー・バウンダリー

人類が生存できる安全な活動領域とその限界点のことを指し、地球限界や惑星限界とも訳される。

2009年にスウェーデンの環境学者ヨハン・ロックストロームらが提唱した概念で、地球の持続可能性を保つために超えてはならない限界を示している。

超えてはならない限界には、次の9つの要素で構成されている。

・気候変動
・オゾン層破壊
・海洋酸性化
・生物圏の健全さ
・淡水利用
・土地利用変化
・新化学物質
・生物地球化学的循環
・大気エアロゾルによる負荷

ブルーカーボン

藻場・浅場等の海洋生態系に取り込まれた炭素のこと。
2009年10月に国連環境計画(UNEP)の報告書で命名された。

ブルーカーボンを隔離・貯留する海洋生態系は「ブルーカーボン生態系」と呼ばれ、二酸化炭素(CO2)の吸収・貯留能力が高く、地球温暖化の緩和に貢献している

【ブルーカーボン生態系の例】
・海草藻場
・海藻藻場
・湿地・干潟
・マングローブ林

ブルーカーボンに関する記事は以下からもご覧になれます。

ブルントラント委員会

1984年に国連に設置された「環境と開発に関する世界委員会」(WCED=World Commission on Environment and Development)のこと。

当時の委員長が後にノルウェーの首相となったグロ・ハーレム・ブルントラント女史であったことから、その名前をとってブルントラント委員会と呼ばれるようになった。

委員会は、委員個人の自由な立場で討議を行う21人の世界的な有識者で構成されており、1987年までの約4年間で合計8回の会合が開かれた。

委員会は環境保全と開発の関係について議論し、「将来世代のニーズを損なうことなく現在の世代のニーズを満たすこと」という「持続可能な開発」の概念を打ち出した。

マ行

マイクロプラスチック

一般に5mm以下のプラスチック類を指す。
マイクロプラスチックが海洋環境や生態系に及ぼす影響は深刻であり、海洋生態系だけでなく、人間の健康にも影響を及ぼす可能性があるため、その削減と管理が重要視されている。主に以下のような問題が懸念されている。

物理的影響:マイクロプラスチックがサンゴに取り込まれ、サンゴと共生関係にある褐虫藻(かっちゅうそう)が減少することでサンゴの健康や成長が妨げられる。
化学的影響:マイクロプラスチックには、製造時に添加される化学物質が含まれている場合が多く、有害性が懸念される。また、マイクロプラスチックは化学物質を吸着しやすい性質があり、海洋環境中で有害物質を吸着し、生物に取り込まれることで、化学的な影響を引き起こす可能性がある。

マテリアリティ

組織にとっての「重要課題」のこと。
もともとはアニュアルレポートなどの財務情報の開示用語として使われてきたが、近年はESG分野の非財務情報の重要な取り組みに対しても用いられるようになった。

マテリアリティの特定および開示に関しては、国際的なガイドラインに沿って行われることが多いが、複数のガイドラインが存在し、それぞれのガイドラインによってマテリアリティの定義が異なるため、何を参考にすべきかが明確でないという声もある。

こうした混乱を解消するために、2021年11月に国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が設立され、統合の方向に向かいつつある。

マテリアリティに関する記事は以下からもご覧になれます。

マテリアルフローコスト会計(Material Flow Cost Accounting、MFCA)

原材料や資材などのマテリアルのロスを物量とコストで“見える化”する環境管理会計手法の一つ。
ドイツのIMU(国際数学連合)で開発され、日本には2000年に導入された。

以下のような特徴を持つ。

ロスの可視化:原材料の使用量や購入量を詳細に追跡し、それに伴うロスを明確にする。
コスト削減:ロスを削減することで、原材料費の低減に直結する。
環境負荷低減:資源効率を高めることで、環境への負荷を低減する取り組みとなる。

MFCAは、環境管理とコスト管理の両方を実現するための有効な手法として、規格化が進められ、2011年にISO14051として国際規格化された。
この手法を導入することで、企業は環境保護と経済的効率性の向上を両立することができる。

ヤ行

予防原則

将来生じる可能性のある悪影響を未然に防止することで、科学的不確実性を理由に取るべき措置を延期しないことを指す。

環境保護や公衆衛生の分野で特に重要とされ、リスクが完全に証明されていなくても、潜在的な危害がある場合には積極的に対策を講じることを求める。

予防原則の適用により、未然に問題を防ぐことで、長期的なリスクやコストを低減し、持続可能な発展を促進することが期待されている。

ラ行

ライツホルダー

人権の主体となる人を指す用語。
企業が取り組むべき「ビジネスと人権」において、重要となる概念。

2022年に開催された国連人権理事会の「ビジネスと人権ワーキンググループ」が主催した「国連ビジネスと人権フォーラム」では、「ライツホルダーを中心に~次の10年における人と地球を大切にするビジネスの促進のための責任の強化」がテーマとされた。

このテーマは、企業がその活動においてライツホルダーの権利を尊重し、保護する責任を果たすことの重要性を強調している。

リジェネラティブ(Regenerative)

英語で「再生的」を意味する言葉で、生命を再生し、その生命が他の生命を再生するつながりをつくることを指す。

主に、農業、林業、漁業など直接的に自然とかかわる分野で使われ、従来の環境を破壊し資源を奪う形の活動から、自然の力を借りて環境を再生し、命が繁栄する形の活動へと転換することを目指す。

例えば、リジェネラティブ農業では、草木や微生物の力を借りて土壌を養い、環境全体を豊かにする農業を行うことが挙げられ、農業以外にも以下の分野で応用されている。

林業:森林の再生と持続可能な管理
漁業:海洋生態系の回復と持続可能な漁業
建築:建物が環境に与える負荷を最小化し、再生可能な資源を利用する建築方法
観光:観光地の環境と文化を保護し、持続可能な方法での観光推進

リバースイノベーション

新興国内で開発されたイノベーションが先進国市場に流通することを指す。

従来は欧米や日本などの先進国が開発した製品や技術が、まず先進国内で普及し、価格が下がった後に新興国市場に流通することが一般的だった。しかし、近年ではアフリカなどの新興国で開発された技術やシステムが、先進国市場に広がる例が増えている。

この現象の背景には、新興国では先進国に比べて生活インフラが脆弱であるケースが多く、その改善策として新たなテクノロジーが受け入れられやすい傾向があることが挙げられる。

新興国での実績をもとに、先進国市場でもその技術や製品が評価され、採用されるようになることがリバースイノベーションの特徴。

B

B Corp認証(B Corporation認証)

企業が社会的および環境的パフォーマンス、透明性、説明責任において高い基準を満たしていることを証明する認証。

非営利団体B Labが運営しており、企業が利益だけでなく、社会全体の利益も追求することを目指している。

B Corp認証を取得するためには、以下の評価項目において厳格な基準をクリアする必要がある。

ガバナンス:企業の運営方針や倫理規範に関する基準
従業員の待遇:労働環境や従業員の福利厚生に関する基準
コミュニティへの貢献:地域社会やコミュニティへの貢献度
環境への配慮:環境保護や持続可能性に対する取り組み

B Corp認証を取得した企業は、持続可能なビジネスモデルを実践し、社会的責任を果たす企業として認識され、消費者や投資家は、倫理的で信頼性の高い企業を容易に識別することができる。

B Corp認証は、企業の社会的および環境的な影響を重視する現代において、その信頼性と持続可能性を証明する重要な指標となっている。

Bcorpに関する記事は以下からもご覧になれます。

【関連サイト】
B Lab Global Site

BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)

企業や組織が自然災害やテロ、感染症の流行などの緊急事態に直面した際に、事業の中断を最小限に抑え、迅速に事業を再開するための計画を指す。
BCPは、緊急時における企業の存続と顧客サービスの維持、従業員の安全確保を目的として策定される。

主な特徴は以下の通り。

リスク評価
 自然災害、火災、システム障害、感染症の流行など、企業が直面する可能性のあるリスクを特定し、評価する。

重要業務の特定
 緊急事態発生時に優先的に継続すべき重要業務を特定し、その業務に必要なリソース(人材、設備、システムなど)を明確にする。

対策の策定
 リスクに対応するための具体的な対策を策定する。これには代替作業場所の確保、データバックアップの実施、サプライチェーンの代替ルートの設定などが含まれる。

訓練と教育
 BCPを実行するために必要な訓練や教育を従業員に対して行う。定期的な訓練を通じて、緊急時における対応能力を向上させる。

コミュニケーション計画
 緊急時における従業員、顧客、取引先、メディアなどへの情報伝達手段を明確にする。

見直しと改善
 定期的に見直し、改善を行う。リスク環境の変化や組織の成長に応じて、計画を更新する。

BCPの策定と実行は、企業のレジリエンス(回復力)を高めるために重要であり、予期せぬ事態に直面した際にも事業を継続し、社会的信用を維持するために不可欠である。

BCPに関する記事は以下からもご覧になれます。

BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)

日本の建築物のエネルギー効率を評価・表示するための制度。
2016年に導入され、省エネルギー法に基づき、建築物の省エネルギー性能を客観的に評価し、星の数(1~5)で表示する。

建築物のエネルギー効率の向上を促進し、消費者や建築関係者がエネルギー性能を容易に比較・理解できるようにするが目的。

評価は第三者機関によって実施されるため、公正で信頼性の高い評価結果が提供される。
評価基準には、建物の断熱性能やエネルギー消費量などが含まれる。

評価結果は建物の設計・建設時に取得でき、新築・既存建物のいずれにも適用可能で、エネルギー効率の高い建物の普及を推進するための重要なツールとなっている。

BSCI(Business Social Compliance Initiative)

ブリュッセルに本拠を置くNPO。
企業の社会的責任を促進し、サプライチェーン全体における労働条件の向上を目的とする国際的なイニシアチブとして2003年に設立された。

BSCIの基準には、安全で健康的な労働条件、公正な賃金、労働者の権利保護などが含まれる。

加盟企業は、BSCIの基準を自社のサプライチェーン全体に適用し、定期的な監査や評価を受けることで、労働環境の改善を進める。

BSCIは、企業が持続可能なビジネス運営を実現し、倫理的な労働条件を確保するための重要なフレームワークを提供し、労働者の福祉向上を目指す。

C

CASBEE (Comprehensive Assessment System for Built Environment Efficiency:建築環境総合性能評価システム)

日本で開発された建築物の環境性能評価システム。

2001年に国土交通省の主導で開発され、建物の設計、建設、運用、維持管理において環境への影響を総合的に評価するための基準を提供する。
建築物の環境効率を評価し、環境負荷の低減と建物の快適性・機能性の向上を目指す。

評価項目には、エネルギー効率、資源の持続可能な利用、室内環境品質、地域環境への配慮などが含まれ、建物の設計段階から運用段階までの環境性能を評価する。

評価結果は、「S」、「A」、「B+」、「B-」、「C」の5段階で示され、建物の環境性能を客観的に表す。

地方自治体や民間企業によって広く採用されており、持続可能な建築物の普及と環境負荷の軽減を促進するための重要なツールとなっている。

CDP(Carbon Disclosure Project)

2000年に発足した英国の慈善団体が管理する非政府組織「Carbon Disclosure Project」の略で、世界的なESG評価機関の1つ。

投資家、企業、国家、地域、都市が自らの環境影響を管理するためのグローバルな情報開示システムを運営しており、日本では2005年に発足した。

開示要請を受託している投資家は全世界で680機関を超え、その運用資産総額は130兆米ドルを超える。

CDPを通じて、企業や自治体は気候変動、水資源管理、森林保護などの環境課題に関する情報を開示し、持続可能な経営を推進するための基盤を提供している。

CDPの情報開示システムは、企業が自社の環境パフォーマンスを評価し、改善するためのツールとして機能しており、温室効果ガスの排出量、水の使用状況、森林破壊リスクなどを開示することが求められる。

CDPに関する記事は以下からもご覧になれます。

【関連サイト】
CDP 公式サイト(日本)

CFP(Carbon Footprint of Products)

カーボン・フットプリントのこと。

CSR(Corporate Social Responsibility)

「企業の社会的責任」と訳される。
企業が社会的存在として果たすべき責任のことで、7つの原則から成り立っており、事業運営においては、3つのトリプルボトムラインに配慮しつつ、自然環境や社会の持続可能性を高めることが重要とされる。

【CSR 7つの原則】
説明責任:企業の行動や意思決定に対して説明を行う責任
透明性:企業の活動や財務状況を透明に開示する責任
倫理的な活動:企業が倫理に基づいた活動を行う責任
ステークホルダーの利害の尊重:顧客、従業員、株主、地域社会などの利害関係者の意見や利益を尊重する責任
法の支配の尊重:企業が法を遵守する責任
国際行動規範の尊重:国際的な行動規範や基準を尊重する責任
人権の尊重:企業が人権を尊重する責任

トリプルボトムライン
経済面:経済的業績、配当や内部留保、利益配分のあり方など。
環境面:環境経営、環境に配慮した商品開発など。
社会面:人権問題、地域社会との共生、製品の安全性、従業員の福利厚生など。

2010年11月には、企業以外のあらゆる組織に適用される国際規格のISO26000が発行され、CSRの実践を支援している。

この規格は、組織が社会的責任を果たすための指針を提供し、持続可能な社会の実現に寄与することを目的としている。

CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive:企業持続可能性報告指令)

EUが企業に対して持続可能性に関する報告義務を強化するために導入した指令。

CSRDは、従来の非財務報告指令(NFRD)を拡充・改訂する形で、企業の持続可能性に関する情報の透明性と比較可能性を高めることを目的としており、 企業の持続可能な成長を促進し、投資家やその他のステークホルダーに対して信頼性の高い情報を提供することで、持続可能な経済の構築に寄与することを目指している。

CSRDの主な特徴は以下の通り。

適用範囲の拡大
 従来のNFRDでは適用対象となる企業が限られていたが、CSRDでは中小企業も含めたより広範な企業に報告義務が課される。

・報告内容の詳細化
 企業は環境、社会、人権、ガバナンスに関する詳細な情報を開示する必要がある。これには、企業のサステナビリティ戦略、目標、リスク管理、パフォーマンス指標などが含まれる。

デジタル報告
 企業は報告をデジタル形式で提出し、デジタルアクセス可能な情報として公開することが求められる。これにより、投資家やその他のステークホルダーが情報を容易に取得し、比較できるようになる。

外部保証
 報告内容の信頼性を高めるために、外部の独立した保証機関による保証を受けることが義務付けられている。

統一された報告基準
 EUは、統一されたサステナビリティ報告基準を策定し、企業が共通の基準に基づいて報告を行うことを求めている。これにより、企業間の比較可能性が向上する。

CSRDに関する記事は以下からも確認できます。

CSV(Creating Shared Value)

「共有価値の創造」を意味し、これを軸とした経営をCSV経営という。

経済的価値と社会的価値の両立を図る経営理念であり、米国の経営学者マイケル・ポーターとマーク・クレーマーが2011年に提唱した。

CSV経営では、企業が利益を追求するだけでなく、社会的な課題を解決することを通じて新たな価値を創造することを目指す。

具体的には、以下のようなアプローチが取られる。

製品と市場の再定義:新しい製品やサービスを開発し、社会的なニーズに応えることで新市場を開拓する。
バリューチェーンの再構築:サプライチェーンや生産プロセスを見直し、環境負荷の低減や社会的な公正性を高める。
地域社会の発展:企業が活動する地域社会の経済発展や福祉向上に寄与する取り組みを行う。

企業はCSVのアプローチを通じて、ステークホルダーとの信頼関係を強化し、ブランド価値を向上させることができる。

D

DJSI(The Dow Jones Sustainability Indices)

1999年に米国のS&P Dow Jones Indices社とスイスのRobecoSAM社が共同開発した投資家向けのインデックス。

ESGの観点から世界の主要企業のサステナビリティを評価し、優れた企業をDJSI銘柄として選定している。
ESGインデックスとして歴史があり、世界的に知名度の高いインデックスの1つで、グローバル、地域別、および国別のインデックスで構成されている。

選定プロセスは厳格であり、企業は経済、環境、社会の各側面におけるパフォーマンスを総合的に評価され、持続可能な経営を実践する企業がDJSI銘柄として認定される。

DJSIは、投資家が持続可能な投資を行う際の指標として広く利用されており、企業のESGパフォーマンスを向上させる動機付けとなっている。

E

ECO-ECOマネジメント

環境経営の推進をサポートするために日本能率協会コンサルティング(JMAC)が開発したエコロジー(環境)とエコノミー(経済)を両立する考え方で、企業が環境負荷を低減しながら経済的な利益を追求するための総合的なアプローチのこと。

マネジメント手法として、以下の6つの革新軸に基づいて、エコロジーとエコノミーの両立を追求する。

管理能力革新:EMS(環境マネジメントシステム)を通じて管理の仕組みやレベルを変える。
生産革新:持続可能型生産システムへ転換し、生産プロセスの効率性と環境配慮を両立させる。
商品・技術革新:持続可能な商品や技術を創り出し、環境に優しい製品開発を推進する。
パートナー革新:調達先の環境意識や行動を変え、持続可能なサプライチェーンを構築する。
事業構造革新:事業構造を環境配慮型に変え、環境に配慮した事業運営を行うことで利益を上げる。
市場・顧客革新:市場や顧客の環境意識を高め、環境に配慮した消費行動を促進する。

EcoVadis

企業の「持続可能なサプライチェーン管理」を評価するフランスのエコバディス社が運営する評価プラットフォーム。

国際イニシアチブ(CDP、TCFD等)が機関投資家向けの開示に焦点を当てる一方で、EcoVadisは企業向けの情報開示に特化している。

EcoVadisの評価は、企業が持続可能性の観点からサプライチェーン全体をどのように管理しているかを評価するものであり、サプライヤー(仕入先)がバイヤー(買い手)に対して情報を開示する要素が強い。
評価項目には、環境・労働と人権・倫理・持続可能な調達の4つの主要なテーマが含まれる。

評価結果は、バイヤーがサプライヤーを選定する際の重要な指標となり、持続可能性に優れたサプライヤーとの取引を促進する。

【関連サイト】
EcoVadis 公式サイト(日本)

ESD(Education for Sustainable Development)

持続可能な開発のための教育を意味し、現在および将来の世代が持続可能な社会を構築できるようにするための教育アプローチ。

環境問題、社会的公平性、経済的発展など、持続可能性に関する広範なテーマを包括し、学習者に批判的思考や問題解決能力を育むことを目的とする。

ESDは、環境保護、貧困削減、人権の尊重、多様性の尊重などの価値観を教育カリキュラムに組み込むことで、持続可能な社会の実現に寄与する。また、学校、コミュニティ、職場などさまざまな場で実践され、学習者が地球規模の課題に対して行動を起こす意識を高める。

ESG

Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の3つの頭文字を取った略語であり、企業経営の重要項目を指す。

Environment(環境)
 企業が環境に与える影響を評価し、環境保護や持続可能性に関する取り組みのことを指す。
 具体的には、温室効果ガスの排出削減、資源の効率的利用、再生可能エネルギーの導入などが含まれる。

Social(社会)
 企業が社会に与える影響を評価し、社会的責任を果たす取り組みのことを指す。
 具体的には、労働環境の改善、人権の尊重、地域社会への貢献、ダイバーシティとインクルージョンの推進などが含まれる。

Governance(企業統治)
 企業が適切なガバナンス体制を整え、透明性と説明責任を確保する取り組みのことを指す。
 具体的には、取締役会の構成、経営の監督、リスク管理、倫理規範の遵守などが含まれる。

ESGの要素は、企業が持続可能な成長を実現するために欠かせないものであり、投資家やステークホルダーにとっても重要な評価基準となっている。

ESGを重視することで、企業は長期的な視野に立った経営を行い、社会全体の持続可能性に貢献することが期待されている。

ESGに関する記事は以下からもご覧になれます。

ESGインテグレーション

環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)に関する要素を投資プロセスに組み込む手法。
企業の持続可能性を評価し、長期的な価値創造に寄与する企業を選定するための重要な手法の1つ。

投資判断において、伝統的な財務指標だけでなく、企業の環境保護活動、社会的責任、企業統治の健全性などの非財務情報を考慮し、リスク管理の強化と長期的な投資リターンの向上を目指す。

ESGスコア

第三者機関により集計、分析された企業のESG情報をスコア化したもので、投資家(主に機関投資家)が企業に対してESG投資を行う際の判断基準となる数値。

企業の持続可能性や社会的責任を評価するための重要な指標であり、投資家が長期的な視点から持続可能な投資を行うための指針となっている。

ESGスコアの算出方法には特定の標準化された指数は存在せず、各第三者機関がそれぞれの得意分野に基づいて責任投資原則(PRI)の項目を設定し、指標を作成している。

ESG投資

環境(Environment)や社会(Social)に配慮して事業を行い、適切なガバナンス(Governance)がなされている会社を評価して行う投資のこと。

従来はキャッシュフローや利益率などの定量的な財務情報を基に投資が行われてきたが、ESG投資では財務情報に加えて非財務情報であるESGの要素を考慮して投資判断が行われる。

投資家は持続可能な企業に対して投資を行い、長期的な視点からリターンを追求することが可能となり、リスク管理やポートフォリオの多様化を図る上でも有効なアプローチとなっている。

ESG評価機関

企業のESGスコアを算出し、公開する機関。
世界中に約600の評価機関が存在するとされ、その形態もNGOから金融グループまで様々。

日本取引所では、企業のESG関連情報の収集、分析、評価等を行っているESG評価機関・データプロバイダとして、以下の機関を挙げている。

・アラベスクグループ
・グッドバンカー
・東洋経済新報社
・日本経済新聞社(日経NEEDS)
・ブルームバーグ
・エル・ピー
・リフィニティブ(ロンドン証券取引所グループ)
・CDP
・Fitch Solutions
・FTSE Russell
・ISS ESG
・Moody’s
・MSCI
・S&Pグローバル
・Sustainalytics
・Truvalue Labs

ESG評価機関は、企業のESGパフォーマンスを評価し、その結果を投資家に提供することで、持続可能 な投資の推進を支援している。

評価結果は、投資家が企業の長期的なリスクや機会を評価するための重要な指標となり、企業の持続可能性や社会的責任を強化するための重要な役割を果たしている。

F

FSB(Financial Stability Board:金融安定理事会)

1999年に設立された金融安定化フォーラム(FSF=Financial Stability Forum)を前身とし、FSFを強化・拡大する形で2009年4月に設立された。

金融安定理事会(FSB)は、国際的な金融システムの安定性を確保するために、各国の金融当局と協力して規制や監督の調整を行う役割を担っている。

FSBには、主要25か国・地域の中央銀行、金融監督当局、財務省、主要な基準策定主体、IMF(国際通貨基金)、世界銀行、国際決済銀行(BIS)、OECD(経済協力開発機構)などの代表が参加している(2022年末時点)。

FSBの重要な役割は、金融システムの脆弱性を特定し、国際的な金融危機を防ぐための措置を講じることであり、金融改革を推進し、各国の規制当局間の協力を強化することで、金融市場の透明性と信頼性を向上させることを目指している。

活動内容は、グローバルな金融安定性を維持するための政策提言やガイドラインの作成を通じて、世界経済の健全な成長を支援すること。

FSC(Forest Stewardship Council:森林管理協議会)

森林の適正管理と持続可能な利用を促進するための国際的な非営利団体。
1993年に設立され、世界中の森林資源の保護と適正な管理を目指す。

環境保全、社会的利益、経済的持続可能性を兼ね備えた森林管理を認証し、持続可能な森林産品にはFSC認証マークを付与する。

【関連サイト】
FSC 公式サイト

FSC認証

Forest Stewardship Council(森林管理協議会)が提供する森林管理および森林産品の認証制度。
FSC認証は、森林が環境保全、社会的利益、経済的持続可能性を兼ね備えた管理をされていることを証明し、持続可能な森林管理を推進するための重要な指針。
FSCの基準には、森林の生物多様性の保護、労働者の権利の尊重、地元コミュニティとの協力が含まれる。

認証を受けた製品にはFSCマークが付与され、消費者や企業に信頼性を提供する。
消費者は、FSC認証製品を選ぶことで環境に配慮した購買行動ができ、企業は持続可能な資源利用を促進できる。

FTSE Russel

ロンドン証券取引所グループの一部であり、世界中の投資家に対して金融指数や関連データを提供する企業。
株式市場のパフォーマンスを測定するための指数を開発し、管理していることで知られており、最も有名な指数の一つに「FTSE 100」があり、ロンドン証券取引所に上場する時価総額上位100社の株価動向を示すものである。

また、ESGに関連する評価基準を取り入れた指数も提供しており、投資家は持続可能な投資機会を評価し、選定することができる。

同社の指数は、グローバルな投資戦略の構築やパフォーマンス評価に広く利用されており、金融市場における重要な指標としての役割を果たしている。

FTSE4Good Index

ロンドン証券取引所グループ傘下のFTSE Russell(フッツィー・ラッセル)が発表する投資家向けのESGインデックス。
企業のサステナビリティマネジメントや取り組み実績に基づいて独自のESGレーティング評価を実施し、その評価結果をもとに構成銘柄が選定される。

企業がFTSE4Good Indexに選定されることは、企業のESGパフォーマンスが高いことの証明となり、企業の信頼性やブランド価値の向上にも寄与する。

G

GOTS認証

オーガニック素材を使用したテキスタイル製品に対する国際的な認証基準。
オーガニックコットンやリネンなど、天然素材がどのように生産・加工されるかを厳しく審査する。

環境への配慮や化学物質の使用制限、労働条件の改善も含まれ、持続可能な生産プロセスが求められる。GOTS認証を受けた製品は、環境に優しく倫理的な製造がされていると確認できる。

消費者は、この認証を通じて、安心してオーガニック素材の製品を選ぶことができる。

GPIF(Government Pension Investment Fund:年金積立金管理運用独立行政法人)

日本の公的年金積立金を管理・運用するための独立行政法人。
2001年に設立され、世界最大規模の公的年金基金の一つ。

GPIFの使命は、公的年金の給付を安定的かつ確実に行うため、長期的な視点で資産の運用を行い、年金積立金の価値を最大化すること。

GPIFの運用は、国内外の株式や債券など、多様な資産クラスに分散投資することでリスクを分散し、持続可能なリターンを追求する。特に、環境・社会・ガバナンス(ESG)要素を考慮した投資を推進し、持続可能な社会の実現に貢献することを目指している。

透明性と説明責任を重視し、運用状況や成果を定期的に公表することにより、国民の信頼を得ながら、公的年金制度の持続可能性を高める役割を果たしている。

【関連サイト】
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)公式サイト

GRI(Global Reporting Initiative)

サステナビリティに関する国際基準と情報公開の枠組みを策定することを目的とした国際的非営利団体。1997年に米国のボストンで設立され、国連環境計画(UNEP)に公認された団体。

2000年には、包括的なサステナビリティ報告書のための最初の世界的な枠組みを構築し、GRIガイドラインの初版を発表した。

GRIの提供するサステナビリティ基準は「GRIスタンダード」と呼ばれ、世界中のサステナビリティレポートに利用されている。この基準は、企業が環境、社会、ガバナンス(ESG)のパフォーマンスを透明かつ一貫性を持って報告するためのガイドラインを提供するもの。

2002年にGRIは本拠地をオランダのアムステルダムに移し、以来、サステナビリティ報告の分野でリーダーシップを発揮し続けている。

多くの企業や組織がサステナビリティに関する情報を公開する際の基準となり、ステークホルダーとの信頼関係を築くための重要なツールとして広く認識されている。

【関連サイト】
GRIスタンダード(日本語版)

GWP(Global Warming Potential)

「地球温暖化係数」と訳される。
二酸化炭素(CO2)を基準にして、他の温室効果ガスがどれだけ温暖化する能力があるかを表した数値のことを指し、異なる温室効果ガスの影響を比較し、総合的な温暖化の影響を評価するための重要な指標となっている。

GWPの計算方法については統一されたものがなく、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書でも毎回数値が変わることがある。

国連気候変動枠組条約や京都議定書第二約束期間においては、集計や統計にはIPCCの第4次評価報告書(2007年)による地球温暖化係数を温室効果ガスの排出量の計算に用いることになっている。

IPCC第4次評価報告書の値によると、温暖化の能力を100年間の時間尺度で比較した場合、二酸化炭素(CO2)に対して次のような温暖化能力を持つ。

メタン(CH₄):CO2の25倍
一酸化二窒素(N₂O):CO2の310倍
フロン類:CO2の数千〜1万倍

GX推進法

脱炭素社会に向けた取り組みの方法や考え方を示した法律。
正式名称は「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案」であり、2023年5月に成立した。

この法律は、2050年のカーボンニュートラル実現と産業競争力の強化、経済成長の実現に向けてGX(グリーン・トランスフォーメーション)投資を推進することを目的としている。

GX推進法の主な目的は以下の3つであり、政府は企業や自治体に対して脱炭素化に向けた具体的な指針を提供し、技術革新やインフラ整備を支援する。

カーボンニュートラルの実現:2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目指す。
産業競争力の強化:環境に配慮した技術や製品の開発を促進し、日本の産業競争力を強化する。
経済成長の実現:持続可能な成長を目指し、グリーン分野への投資を通じて経済成長を実現する。

I

IFRS(International Financial Reporting Standards)

International Accounting Standards Board(IASB:国際会計基準審議会)が策定する会計基準。
「国際財務報告基準」と訳される。

従来、会計基準は国によって税制との関係もあり異なっていたが、企業のグローバル化に伴い会計基準を統一する動きが現れた。

1973年に前身である国際会計基準委員会(International Accounting Standards Committee=IASC)が設立され、International Accounting Standards(IAS)という国際会計基準の開発に着手。

その後、この基準はIASBに引き継がれ、IFRSとして知られるようになった。 IFRSは、企業が国際的に財務報告を行う際の一貫性と透明性を確保するための基準であり、多くの国で採用されている。

これにより、投資家や他の利害関係者が企業の財務状況を比較しやすくなり、国境を越えたビジネス活動が円滑に進むことが期待されている。

IIRC(International Integrated Reporting Council)

イギリスで2010年7月に創立された世界的な非営利組織。
「国際統合報告評議会」と訳される。

主な活動として、企業のこれまでの業績などの財務情報だけでなく、環境保全や地域貢献といった非財務情報も含めた情報公開のフレームワークである「統合報告(Integrated Reporting)」の開発・促進を行っている。

統合報告のフレームワークは、企業が財務情報と非財務情報を一体化して報告することで、ステークホルダーに対して企業の全体像をより明確に伝えることを目的としている。

統合報告により、企業は持続可能な価値創造の過程を効果的に伝えることができ、投資家や他の利害関係者に対する透明性と信頼性を高めることが期待されている。

IIRCの母体は、サステナブルな投資報告のガイドラインづくりを行うオランダの非政府団体GRI(Global Reporting Initiative)であり、この連携により統合報告のフレームワークが形成された。

現在のIIRCには、規制当局、投資家、標準設置機関、会計機関、学術団体、日本取引所グループを含む世界23か国の有力企業約90社が参加している。

この広範な参加者層により、統合報告のフレームワークはグローバルな視点での普及と進化を続けている。

ILO(International Labour Organization:国際労働機関)

1919年に設立された国際連合の専門機関であり、労働条件の改善と労働者の権利の保護を目的とする。

政府、労働者、使用者の三者構成原則に基づいて運営され、労働に関する国際基準の設定、労働条件の監視、技術支援の提供などを行う。

主な活動には、強制労働の廃止、児童労働の撲滅、平等な機会と待遇の促進、安全で健康的な労働環境の確保などが含まれる。

ILOは、国際的な労働基準を策定し、各国がこれを実施するよう支援することで、労働者の権利と労働条件の向上を図る。また、国際労働会議を通じて労働に関する重要な議題を討議し、各国政府や労働組合、企業と協力して労働問題の解決を目指す。

【関連サイト】
ILO 公式サイト

IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)

「気候変動に関する政府間パネル」と訳される。

1988年に世界気象機関(WMO)及び国連環境計画(UNEP)によって設立された政府間組織であり、2021年8月現在、195の国と地域が参加している。

IPCCは、世界中の科学者の協力のもと、科学誌に掲載された論文などの出版された文献に基づいて定期的に報告書を作成し、気候変動に関する最新の科学的知見の評価を提供する。政策決定者に対して信頼性の高い科学的情報を提供し、気候変動への対策を支援することを目的としている。

IPCCには3つの作業部会(ワーキンググループ:WG)と1つのタスクフォース(TFI)が置かれており、それぞれの役割は以下の通り。

WG1:気候システム及び気候変動の自然科学的根拠についての評価を行う。
WG2:気候変動に対する社会経済及び自然システムの脆弱性、気候変動がもたらす好影響・悪影響、気候変動への適応のオプションについての評価を行う。
WG3:温室効果ガスの排出削減など気候変動の緩和のオプションについての評価を行う。
TFI(タスクフォース):温室効果ガスの国別排出目録作成手法の策定、普及および改定を行う。

IPCCの報告書は、気候変動に関する国際的な議論や政策形成において重要な役割を果たしており、各国政府や国際機関、非政府組織(NGO)、学術機関などが活用している。

IR(Investor Relations)

企業が株主や投資家に対し、財務状況など投資の判断に必要な情報を提供していく活動全般を指す。

IR活動は、株主や投資家に対する情報提供だけでなく、顧客や地域社会などのステークホルダーに対しても、経営方針や活動成果を伝える役割を果たしている。

IRの具体的な活動には、財務報告書の公開、決算説明会の開催、プレスリリースの発行、株主総会の運営、投資家向けのプレゼンテーション、企業ウェブサイトでの情報発信などが含まれ、企業の透明性を確保し、信頼性を高める活動が中心となる。

IR活動は、企業と投資家とのコミュニケーションを強化し、企業価値の向上や持続可能な成長を支援する重要な手段となっており、適切な情報提供を通じて、企業に対する投資家の理解と信頼を深めることが期待される。

ISCC認証 (International Sustainability & Carbon Certification:国際持続可能炭素認証)

持続可能な資源管理とカーボンフットプリントの削減を目的とした国際的な認証制度。
主にバイオマスや再生可能エネルギーの分野で適用され、環境保護と社会的責任の確保を重視する。

この認証は、原材料の持続可能な調達を確認し、環境への負荷を最小限に抑えることを目的としている。具体的には、土地の適正利用、生物多様性の保護、労働条件の改善などが求められる。

また、認証プロセスでは、生産から消費までの全過程でカーボン排出量を評価し、削減策を講じることで温室効果ガスの排出量削減を推進する。さらに、ISCC認証はサプライチェーンのトレーサビリティを確保することにより、原材料の出所や処理過程を透明にし、持続可能な管理が行われていることも確認する。

バイオ燃料やバイオプラスチックなど、さまざまな分野で認証が適用され、持続可能な資源管理と環境保護を実現するための基準となる。

ISCC認証を取得することで、企業は環境に配慮した運営を行っていることを証明でき、消費者や取引先に対して信頼性を提供することができる。

ISO14001

国際標準化機構が定める環境管理の国際規格で、環境マネジメントシステムの1つ。

組織や事業者が環境保全に関する取り組みを進める際に、自ら設定した環境方針や目標に基づいて「環境管理」もしくは「環境マネジメント」を行うための仕組みを提供するもの。

1992年の地球サミット前後から高まった事業者の環境マネジメントに対する関心に応える形で、ICC(国際商工会議所)、BCSD(持続可能な開発のための経済人会議)、EU(欧州連合)などの組織で検討が開始され、その後ISO(国際標準化機構)によって1996年に制定された。

この規格は、PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルの概念に基づき、環境マネジメントのレベルを継続的に改善する仕組みを提供する。

事業者はISO14001の要求事項に沿った環境マネジメントシステムを構築し、その規格への適合を自己宣言することができる。また、外部機関による認証・登録を求めることも可能となる。

ISO14001を導入することで、組織や事業者は環境パフォーマンスの向上を図り、法令遵守やリスク管理の強化、社会的信頼の向上を実現することができる。

ISO26000

企業や組織が社会的責任(SR)を実践するための国際規格。
2010年に国際標準化機構(ISO)によって制定された。

この規格は、企業や組織が社会的責任を果たし、持続可能な発展に貢献するための指針を提供するものであり、認証ではなくガイドラインとして位置づけられている。

企業や組織がステークホルダーと協力しながら、社会的責任を果たすための具体的なアクションを提供することで、組織の信頼性と評判が向上し、長期的な持続可能性が実現される。

ガイドラインとして以下の7つの原則を踏まえた上で、7つの中核主題についてまとめている。

【7つの原則】
1. 説明責任:自らの行動に対して説明する責任を負う。
2. 透明性:意思決定プロセスや活動に関する情報を公開する。
3. 倫理的な行動:公正で正直な行動を取る。
4. ステークホルダーの利害の尊重:全ての関係者の利益を考慮する。
5. 法の支配の尊重:法令を遵守する。
6. 国際行動規範の尊重:国際的な行動規範を尊重する。
7. 人権の尊重:全ての人の人権を尊重する。

【7つの中核主題】
1. 組織統治:透明性と説明責任を持った経営の実践
2. 人権:人権の尊重と促進
3. 労働慣行:適正な労働条件と職場の安全
4. 環境:環境保護と資源の持続可能な利用
5. 公正な事業慣行:倫理的な事業活動と腐敗防止
6. 消費者課題:消費者の健康と安全の確保
7. コミュニティ参画と開発:地域社会との協力と持続可能な開発の支援

ISO30414

2018年12月に国際標準化機構(ISO)が発表した、人的資本の情報開示のためのガイドライン。

社内外のステークホルダーに対し、人的資本に関する報告のための指針であり、労働力の持続可能性をサポートするため、組織に対する人的資本の貢献を考察し、透明性を高めることを目的としている。

ガイドラインでは、「11領域49項目」にわたって人的資本の情報開示規格を制定している。

【ISO 30414の11領域】
1. 法令遵守と倫理:苦情や懲戒処分の件数・種類など
2. コスト:人件費、採用コスト、離職コスト、平均報酬額など
3. ダイバーシティ(多様性):性別、年齢、障がいなどの多様性、経営陣の多様性など
4. リーダーシップ:従業員の管理職に対する信頼度、リーダーシップ関係施策など
5. 組織風土:従業員の定着率、エンゲージメントなど
6. 健康・安全・福祉:労働災害の件数、労働災害による死亡者数など
7. 生産性:収益、売上、従業員1人あたりの利益、人的資本ROIなど
8. 採用・移動・離職:欠員補充にかかる平均日数、離職率など
9. スキルと能力:人材開発や研修にかかる従業員1人あたりの平均費用、研修参加率など
10. 後継者の育成:内部継承率、後継者の準備率など
11. 労働力:総従業員数、欠勤率、派遣労働者や独立事業者など臨時の労働力など

ISSB(International Sustainability Standards Board)

「国際サステナビリティ基準審議会」と訳される。

ESGなどを含む非財務情報の開示の重要性が増す中で、投資家、企業、国際政策立案者(G20、G7、IOSCO、金融安定理事会など)からの要請により、非財務情報開示の統一された国際基準を策定する機関として2021年11月に発足した。
ISSBの設立目的は、グローバルな持続可能性報告の一貫性と透明性を高めることで、企業は投資家や他のステークホルダーに対して、より信頼性の高い非財務情報を提供することが可能となる。

ISSBが策定する基準は、企業の持続可能性パフォーマンスを評価し、比較するための国際的な指標となり、持続可能な投資を促進することが期待されている。

ISSBの活動は、国際的な投資環境の整備を進め、持続可能な経済成長を支援するための重要な役割を果たしている。

ISSBに関する記事はこちらからもご覧になれます。

J

J-クレジット

省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの利用によるCO2等の排出削減量や、適切な森林管理によるCO2等の吸収量を「クレジット」として日本政府が認証する制度。

企業や自治体が行った環境保全活動の成果を数値化し、クレジットとして取引可能な形で認証することを目的としている。

具体的には、以下のような活動がJ-クレジットの対象となる。

省エネルギー設備の導入:省エネ技術を活用し、エネルギー消費量を削減する。
再生可能エネルギーの利用:太陽光、風力、水力などの再生可能エネルギーを利用し、CO2排出量を削減する。
適切な森林管理:森林の適切な管理や植林活動を通じてCO2を吸収する。

クレジットを取得した企業や自治体は、そのクレジットを他の企業や自治体に売却することが可能となり、排出削減の取り組みを経済的に支援する仕組みが形成される。

J-クレジット制度は、国内の温室効果ガス排出削減を促進し、持続可能な社会の実現に寄与する重要な制度。

J-クレジットに関する記事は以下からもご覧になれます。

【関連サイト】
J-クレジット制度 公式サイト

JCI(Japan Climate Initiative)

「気候変動イニシアティブ」と訳される。

2018年7月に、気候変動対策に積極的に取り組む企業や自治体、NGOなどが情報発信や意見交換を強化するために設立されたネットワーク。

JCIの目的は、気候変動対策における日本のリーダーシップを強化し、国内外のステークホルダーとの協力を促進することで、参加団体は気候変動に対する取り組みの成果を共有し、ベストプラクティスを学び合い、共通の目標達成に向けて連携することができる。

JCIの活動には以下のようなものが含まれる。

情報発信:気候変動対策に関する最新の情報や成功事例を広く共有する。
意見交換:参加団体間での意見交換を通じて、気候変動対策の効果的なアプローチを探る。
協力と連携:国内外のステークホルダーと協力し、共通の目標達成に向けた取り組みを推進する。

JCIは、気候変動対策の推進と持続可能な社会の実現に向けて、企業、自治体、NGOなどの多様な主体が協力するための重要なプラットフォームとなっている。

K

KGI(Key Goal Indicator)

「重要目標達成指標」と訳される。
KGIは、組織やプロジェクトが達成すべき最終的な目標を示す指標であり、その達成度を評価するための基準となる。

KGIを達成するために用いられるのがKPI(Key Performance Indicator)で、KGIの達成状況を具体的に測定するための中間指標であり、日々の業務やプロセスのパフォーマンスを評価するために使われる。 KGIの設定には、以下の5つの要素からなるSMARTの法則が活用されることが多い。

・Specific(具体的)
・Measurable(測定可能)
・Achievable(達成可能)
・Relevant(関連性がある)
・Time-bound(期限がある)

SMARTのフレームワークを用いることで、明確で達成可能な目標を設定し、組織全体で一貫した目標達成を目指すことができる。

KPI(Key Performance Indicator)

「重要業績評価指標」と訳される。

長期戦略や経営資源の確保・強化・配分戦略に基づき、これまでどのぐらい価値を創出してきたか、それを経営者がどのように分析・評価しているかを示す指標。

企業や組織が設定した目標を達成するための進捗状況を測定するために使用され、経営者やマネジメントチームは、業務の効率性や成果を定量的に把握し、適切な意思決定を行うことができる。

KPIは、企業全体のパフォーマンスを向上させるための重要なツールであり、組織の目標達成に向けた効果的な管理と評価を支援する。

L

LCA(Life Cycle Assessment)

製品やサービスに必要な原料の採取から、製品が使用され、廃棄されるまでのすべての工程での環境負荷を定量的に評価する手法。

以下のような段階を通じて環境影響を評価する。

原料採取:必要な原材料の採取や生産に伴う環境負荷を評価する。
製造:製品の製造過程におけるエネルギー消費や排出物の影響を評価する。
流通:製品の輸送や流通過程での環境負荷を評価する。
使用:製品の使用段階でのエネルギー消費や環境への影響を評価する。
廃棄:製品の廃棄やリサイクル過程での環境影響を評価する。

LCAを実施することで、企業や組織は製品やサービスのライフサイクル全体における環境負荷を明確に把握し、環境改善のための対策を講じることができ、持続可能な製品設計や環境負荷の低減を図ることが可能となる。

LEED認証

アメリカの非営利団体であるグリーンビルディング協会(USGBC)が運営する認証システム。

建物の設計、建設、運用、維持管理において持続可能性を評価するための国際的な基準であり、エネルギー効率、水資源管理、室内環境品質、資源の持続可能な利用、場所と輸送などのカテゴリーでポイントを獲得することにより付与される。
評価は、標準認証・シルバー・ゴールド・プラチナの4段階に分かれ、建物の環境性能を客観的に示す。

新築、既存建物の改修、商業インテリア、住宅、街区開発など多様なプロジェクトに対応しており、環境への負荷を減らし、健康的で効率的な建物を促進する役割を果たす。

認証を取得することで、建物の価値向上、運用コストの削減、環境への配慮が実現される。

LGBTQ

Lesbian(レズビアン)、Gay(ゲイ)、Bisexual(バイセクシュアル)、Transgender(トランスジェンダー)、Queer(クィア)/Questioning(クエスチョニング)の頭文字を取って名付けられた、幅広いセクシュアリティ(性のあり方)を総称する言葉。

LGBTQは、性的少数者の多様なアイデンティティを包括する言葉であり、これらの人々の権利や社会的な理解を深めるために広く使用されている。

Lesbian(レズビアン):女性に対して恋愛感情や性的魅力を感じる女性。
Gay(ゲイ):男性に対して恋愛感情や性的魅力を感じる男性。また、広義では同性に対して恋愛感情や性的魅力を感じる人々全般を指すこともある。
Bisexual(バイセクシュアル):男女両方に対して恋愛感情や性的魅力を感じる人。
Transgender(トランスジェンダー):生まれた時の性別とは異なる性同一性を持つ人。
Queer(クィア)/Questioning(クエスチョニング):Queerは生まれた時の性別と性同一性が一致している人以外の全体を指すことが多い。また、Questioningは自身の性のあり方について模索している人を指す。

M

MDGs(ミレニアム開発目標)

2000年の国連ミレニアム・サミットで採択された、2015年までに達成すべき国際的な開発目標のこと。
全世界の貧困削減と人間開発の向上を目的とし、以下の8つの目標で構成されている。

極度の貧困と飢餓の撲滅:一日1ドル以下で生活する人々の割合を半減
普遍的初等教育の達成:すべての子どもが初等教育を完了できるようにする。
ジェンダー平等の推進と女性の地位向上:教育における男女の平等を達成し、女性のエンパワーメントを推進。
乳幼児死亡率の削減:5歳未満児の死亡率を3分の2削減。
妊婦の健康の改善:妊産婦死亡率を4分の3削減。
HIV/AIDS、マラリア、その他の病気の蔓延防止:これらの疾病の蔓延を防ぎ、逆転させる。
環境の持続可能性の確保:持続可能な開発の原則を各国の政策に統合し、環境資源の喪失を逆転させる。
開発のためのグローバル・パートナーシップの構築:開発途上国と先進国の協力を強化し、貿易、援助、債務減免などを通じて開発を支援。

MDGsは、国際社会が共通の目標に向かって協力するための枠組みを提供し、貧困削減や人間開発において多くの成果を上げた。2015年以降は、持続可能な開発目標(SDGs)に引き継がれ、より広範で包括的な開発目標が設定された。

MSCI(Morgan Stanley Capital International)

世界中の投資家に向けて株式指数、投資分析ツール、データ、リサーチを提供する大手金融サービス企業。

MSCIの指数は、グローバル市場における投資パフォーマンスを評価するために広く利用されており、中でも「MSCI World Index」や「MSCI Emerging Markets Index」などが有名。 特に、ESG評価においても重要な役割を果たしており、企業のサステナビリティパフォーマンスを評価するための基準を提供している。

MSCI ESG Ratingsは、企業のESGリスクと機会を分析し、投資家が持続可能な投資戦略を構築する際に活用されている。

MSCIのサービスは、資産運用会社、年金基金、ヘッジファンドなど、幅広い投資家によって利用されており、グローバルな投資市場において信頼性の高いデータと洞察を提供している。

MSCI ESG格付け

企業がESGリスクをどの程度管理できているかを分析し、評価する格付け。
企業のESGパフォーマンスを評価するための重要な指標となっている。

MSCI ESG格付けを運営するMSCI(Morgan Stanley Capital International)は、世界中の数千社の企業について、環境、社会、ガバナンスに関連する業務の詳細な調査、格付け、分析を提供しているアメリカの会社。

MSCIの格付けは、企業のESGリスク管理能力を評価し、投資家にとって信頼性の高い情報を提供することを目的としている。

MSC認証

持続可能な漁業を推進するための国際的な認証システム。
海洋資源の保護と漁業の持続可能性を確保するために設けられた基準に基づき、漁業の運営方法を評価する。

認証を受けた漁業は、環境への影響を最小限に抑え、魚群の回復や生態系の保護に努めていることが証明され、MSC認証を取得することで、消費者は持続可能な漁業からの魚やシーフード製品を選ぶことができ、海洋環境の保護に貢献できる。

また、認証を受けた製品には、MSCの青いエコラベルが表示され、環境に配慮した漁業からの製品であることを示し、消費者に安心して購入できる基準を提供する。

N

NFRD(Non-Financial Reporting Directive:非財務報告指令)

EUが企業に対して非財務情報の報告を義務付けるために導入した指令のこと。
NFRDは、企業の持続可能性に関する情報を開示することで、透明性を高め、投資家やその他のステークホルダーがより適切な意思決定を行えるようにすることを目的としている。

主な特徴は以下の通り。

  1. 適用対象:特定の規模以上の公開会社、大企業、および公的関心を持つ事業体(PIE)に対して適用される。具体的には、従業員数500人以上、かつ特定の財務基準を満たす企業が対象となる。
  2. 報告内容:企業は、環境、社会、人権、腐敗防止、およびダイバーシティに関する情報を開示する必要がある。これには、以下の内容が含まれる:
    • 環境:企業の活動が環境に与える影響、環境保護のための措置
    • 社会および従業員:労働条件、従業員の権利、平等機会の提供
    • 人権:人権の尊重と促進、サプライチェーンにおける人権リスクの管理
    • 腐敗防止:腐敗防止および贈収賄対策
    • ダイバーシティ:企業の統治機関におけるダイバーシティの推進
  3. 報告形式:企業は、年次報告書の一部として非財務情報を報告する必要がある。報告は、企業のビジネスモデル、方針、リスク、およびその対策に関する詳細な説明を含む。
  4. ガイドライン:企業は、報告の枠組みとして既存の国際的な基準(例:GRIスタンダード、ISO 26000)を参照することが推奨される。

NFRDは、企業の持続可能性に関する透明性を高めることを目的としており、投資家やその他のステークホルダーが企業の非財務リスクや機会をよりよく理解するための重要な手段となっている。

企業は指令に基づいて非財務情報を開示することで、持続可能なビジネスモデルの構築を促進し、社会的責任を果たすことが求められる。

NGO(Non-Governmental Organization)

非政府組織を意味し、様々な社会貢献活動を行う団体の総称。
特定非営利活動促進法に基づいて法人格を取得した団体は、「特定非営利活動法人(NPO法人)」と呼ばれ、法的な認知を受けることで信頼性の向上や活動の拡大が期待される。

団体の構成員に対して収益を分配することを目的とせず、公益のために活動することを主眼としており、活動で得られた収益は、団体の目的達成や活動の継続・拡大に再投資される。

活動分野は多岐にわたり、環境保護、人権擁護、貧困撲滅、医療支援、教育普及など、さまざまな社会課題に取り組んでおり、国際的な規模でも行われ、政府や企業と連携しながら社会貢献を進めることが多い。

P

PRI(Principles for Responsible Investment)

「責任投資原則」と訳される。
機関投資家が投資の意思決定プロセスや株主行動において、ESG課題を考慮することを求めた6つの投資原則とその前文から成る。

2006年に国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)と国連グローバル・コンパクト(UNGC)が策定、持続可能な金融市場の構築と長期的な投資リターンの向上を図ることを目的とする。

PRIに署名することで、機関投資家はESG課題を考慮した投資活動を行うことを約束し、持続可能な経済発展に貢献することを目指す。

グローバルな投資家コミュニティにおいてはESGの考慮を推進し、責任ある投資行動を促進するための重要なフレームワークとなっている。

R

RE100

「Renewable Energy 100%」の略で、事業活動で消費するエネルギーを100%再生可能エネルギーで調達することを目標とする国際的なイニシアチブ。

企業が再生可能エネルギーの使用を促進し、気候変動に対処するための具体的な行動を取ることを目的としている。

国別参加企業数では、日本はアメリカの96社に次ぐ88社が参加しており(2024年6月現在)、再生可能エネルギーの導入を積極的に進めている。

RE100が認めている再生可能エネルギーには、風力、地熱、太陽、持続可能に調達されたバイオマス(バイオガスを含む)、および持続可能な水力が含まれる。(バイオマスと水力については、持続可能なもののみが認められ、第三者認証も求められる。)

RE100に参加する企業は、具体的な期限を設定し、再生可能エネルギーへの移行計画を公開し、進捗状況を定期的に報告する義務があり、企業は環境負荷の低減、エネルギーコストの管理、ブランド価値の向上、そしてステークホルダー(顧客、投資家、従業員など)の信頼を得ることが期待されている。

RE100に関する記事は以下からもご覧になれます。

【関連サイト】
RE100 公式サイト

S

S&Pグローバル・サステナビリティ・イヤーブック

ESG投資分野の世界的な調査・評価会社であるS&Pグローバル社が、世界の主要な企業を対象に企業のサステナビリティを評価する年次報告書。
各産業において特に評価の高い上位15%の企業をYearbook Memberとして毎年選定している。

このイヤーブックは、企業のESG(環境・社会・ガバナンス)に関するパフォーマンスを総合的に評価し、その結果を基に産業ごとに優れた企業を特定する。選定基準には、持続可能な経営戦略、環境保護の取り組み、社会貢献活動、企業統治の健全性などが含まれ、ESG投資家にとって信頼性の高い指標となり、持続可能な投資先を選定する際の重要な参考資料となっている。

また、Yearbook Memberに選定されることは、企業の持続可能性に対する取り組みが国際的に評価された証となり、企業のブランド価値や信頼性の向上に寄与することが見込まれる。

SASB(Sustainability Accounting Standards Board)

2011年に米国サンフランシスコを拠点に設立された非営利団体で、「サステナビリティ会計基準審議会」と訳される。企業の情報開示の質を向上させ、中長期視点の投資家の意思決定に貢献することを目的とし、将来的な財務インパクトが高いと想定されるESG(環境・社会・ガバナンス)要素に関する開示基準を設定している。これにより、企業は自らのサステナビリティに関する重要な情報を投資家に対して明確かつ一貫性を持って報告することが可能となる。

SASBの基準を使用することで、投資家は企業のサステナビリティパフォーマンスをより正確に評価し、投資判断を行うことができる。また、企業にとっても、透明性の高い情報開示を通じて、信頼性や競争力を高めることが期待される。

SBT(Science Based Targets)

パリ協定が求める水準と整合した企業が設定する温室効果ガス削減目標のこと。

SBTの目標は、最新の気候科学に基づいており、地球の平均気温上昇を2℃未満、できれば1.5℃未満に抑えるための削減レベルと一致している。

企業が気候変動対策を実施する際に、科学的根拠に基づいた目標設定を行うことで、持続可能なビジネスモデルを構築することを目的としており、企業の環境負荷を削減し、長期的な経済成長と環境保護を両立させるための重要なステップとなる。

企業がSBTを設定することで、以下のような効果が期待される。

信頼性の向上:科学的根拠に基づいた目標設定により、ステークホルダーや投資家からの信頼を得る。
リスク管理:気候変動リスクを適切に管理し、将来的な規制や市場の変動に対応する。
競争力の強化:持続可能なビジネスモデルを構築することで、競争力を高める。

SBT認証についての記事は以下からもご覧になれます。

【関連サイト】
SBT 公式サイト

SDGs

2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標。
17のゴールと169のターゲットから構成されている。

SDGsの目標は、貧困の撲滅、教育の質の向上、ジェンダー平等の実現、気候変動への対応など、幅広い分野にわたり、「誰一人取り残さない(leave no one behind)」という理念のもと、すべての人々が持続可能な発展の恩恵を享受できるように設計されている。

SDGsは、地球規模の課題解決に向けた共通の枠組みとして、国際社会全体で取り組むべき指針となっており、政府・企業・市民社会・学術機関など、多様なステークホルダーが協力し、資源を動員することが求められる。

SEC(Securities and Exchange Commission)

1934年に設立された米国の市場監視機関。日本では「証券取引委員会」と呼ばれる。
株式や債券などの証券取引の監督・監視を行う連邦政府機関であり、金融市場の公正性と透明性を確保することを目的としている。

SECは、米国の金融市場の健全な運営を支える重要な機関であり、投資家保護と市場の公正性を確保するために広範な権限と責任を持っている。

主な役割は以下の通り。

証券取引の監視:株式や債券の取引が適切に行われているかを監視し、不正行為や市場操作を防止する。
規制の執行:証券法や規制の遵守を確保するために、企業や個人に対する調査や執行措置を実施する。
情報開示の促進:投資家が適切な投資判断を行えるように、企業に対して財務情報や業績報告などの適時かつ正確な情報開示を求める。
投資家保護:投資家の権利を保護し、金融市場への信頼を維持するための施策を実施する。

SFDR(Sustainable Finance Disclosure Regulation)

2021年3月10日に施行された欧州のサステナブルファイナンス開示規則。
金融市場参加者や金融商品に関する透明性と情報開示を強化することを目的とし、金融市場参加者に対して、環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)に関する情報を開示することを求め、持続可能な投資の普及と市場の透明性を高める役割を果たしている。

主な目的は以下の通り。

透明性の向上:投資家が持続可能な投資に関する情報を容易に入手できるようにするため、金融機関や資産運用会社に対して、投資プロセスにおけるサステナビリティリスクや持続可能な投資の影響に関する情報開示を義務付ける。
投資家保護:投資家が持続可能な投資に関する正確な情報を基に投資判断を行えるようにし、投資家の権利を保護する。
持続可能な投資の促進:金融市場における持続可能な投資の促進を図り、持続可能な経済成長を支援する。

SHK制度

「地球温暖化対策の推進に関する法律」(温対法)に基づき、温室効果ガスを一定量以上排出する事業者に、自らの排出量の算定と国への報告を義務付け、報告された情報を国が公表する制度。

企業やその他の団体が温室効果ガスの排出量を算定し、その結果を報告し、公表することを義務付けるもの。

主な目的は以下の通り。

排出量の把握:温室効果ガスの排出量を正確に算定し、現状を把握する。
透明性の向上:排出量の情報を公表することで、社会全体の透明性を高める。
排出削減の促進:算定・報告・公表を通じて、企業や団体が排出削減に向けた取り組みを強化する。

SMART

KGI(Key Goal Indicator)を設定するために使われるフレームワークの1つ。
KGIは、目標を具体的かつ効果的に設定するための基準を提供するもので、以下の5つの要素から成る。

S=Specific(具体性):目標が具体的で明確に定義されていること。
M=Measurable(計測可能):目標の達成度を測定できる基準があること。
A=Achievable(達成可能性):目標が現実的で達成可能であること。
R=Relevant(関連性):目標が組織の全体的な方向性や目的に関連していること。
T=Time-bound(期限のある):目標に明確な期限が設定されていること。

具体的で測定可能な目標を設定することにより、進捗の追跡が容易になり、達成に向けた行動計画を明確にすることができる。

T

TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)

G20の要請を受け、金融安定理事会(FSB)が気候関連の情報開示および金融機関の対応を検討するために設立。「気候関連財務情報開示タスクフォース」と訳される。

2017年6月に最終報告書を公表し、企業等に対し、気候変動関連リスクおよび機会に関する次の項目について開示することを推奨している。

ガバナンス:気候関連の問題をどのような体制で検討し、それを企業経営に反映しているか。
戦略:短期・中期・長期にわたり、気候変動が企業経営にどのように影響を与えるか。また、それについてどう考えたか。
リスクマネジメント:気候変動のリスクについて、どのように特定、評価し、それを低減しようとしているか。
指標と目標:リスクと機会の評価について、どのような指標を用いて判断し、目標への進捗度を評価しているか。

TCFDのガイドラインに従うことで、企業は気候変動がもたらすリスクと機会を明確にし、投資家やステークホルダーに対して透明性の高い情報を提供することができる。

TCFDに関する記事は以下からもご覧になれます。

【関連サイト】
TCFD 公式サイト

TNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)

企業・団体が自身の経済活動による自然環境や生物多様性への影響を評価し、情報開示する枠組みの構築を目指すもの。
「自然関連財務情報開示タスクフォース」と訳される。

企業のビジネス活動が生物多様性にどのように関わっているかを「見える化」し、資金の流れが自然再興に貢献できるようにする取り組み。

具体的には、以下のような目的がある。

影響評価:企業の経済活動が自然環境や生物多様性に与える影響を評価する。
情報開示:評価結果を透明性の高い形で開示し、ステークホルダーに提供する。
資金の流れの再構築:資金の流れを自然再興に貢献できるようにし、持続可能な経済活動を促進する。

TNFDに関する記事は以下からもご覧になれます。

【関連サイト】
TNFD 公式サイト

W

WELL(WELL Building Standard™)

建物内で働く人々の健康とウェルビーイング(快適で健康な状態)を向上させるための国際的な建築基準。

国際WELLビルディング研究所(IWBI)によって策定され、建物の設計、建設、運用において人間の健康と福祉に焦点を当てている。

評価項目は、空気、水、栄養、光、運動、熱快適性、音環境、材料、心の健康、コミュニティの10カテゴリーに分かれており、建物がそれぞれの基準を満たすかどうかを評価する。

WELLは、オフィスビル、学校、住宅、医療施設など、さまざまな建物タイプに適用可能。
認証を取得することで、建物は人間の健康を支援する設計や運用がなされていることが証明され、従業員の生産性や満足度の向上、病気の予防、ストレスの軽減が期待される。

WELLは、持続可能な建築だけでなく、人々の健康と幸福を包括的にサポートする基準として、世界中で採用が進んでいる。

Z

ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)

建物のエネルギー消費量を最小限に抑え、再生可能エネルギーを活用することで、年間の一次エネルギー消費量を正味ゼロにする住宅。

エネルギー効率の高い設備や断熱性能の向上、太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入によって実現される。

主な特徴は以下の通り。

高断熱・高気密:外皮の断熱性能を高め、冷暖房負荷を削減
高効率設備:高効率な冷暖房機器、給湯器、照明器具などを採用
再生可能エネルギー利用:太陽光発電システムや蓄電池を導入し、自家消費を促進
エネルギー管理:HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)などを活用し、エネルギーの使用状況を見える化し、効率的な運用を行う。

ZEHは、住宅の快適性を維持しながら、エネルギーコストの削減と環境負荷の低減を実現し、政府や自治体は、ZEHの普及を促進するために補助金制度や税制優遇措置を提供している。

0~9

2025年問題

日本において2025年に予測されるさまざまな社会的、経済的課題を指す。
主に人口の高齢化、労働力不足、社会保障制度の維持、医療や介護の需要増加などに関連している。

2025年までに団塊の世代が75歳以上となり、高齢者人口が急増することから、特に顕著になるとされている。

この問題に対処するためには、社会全体での包括的な対策が必要とされ、政府、企業、地域社会が連携して解決策を講じることが求められている。

具体的には、医療・介護サービスの充実、労働力の多様化と活用、年金制度の見直し、持続可能な経済成長の促進などが重要な課題として挙げられる。

3R

廃棄物を減らし環境に優しい生活を送るための「Reduce(リデュース)」「Reuse(リユース)」「Recycle(リサイクル)」の3つの取り組みのこと。

主な要素は以下の通り。

リデュース(削減):資源の使用量を減らし、廃棄物の発生を抑制する。
リユース(再利用):製品や部品を再利用することで、資源の消費を減少させる。
リサイクル(再生利用):使用済み製品を再生利用し、新たな資源として活用する。

6つの資本

持続可能な経済システムを支えるために、IIRC(国際統合報告会議)が提唱するフレームワーク。
以下の6つの資本を指す。

財務資本:株式、借入金、寄付金など、企業が経済的な取引によって得た資金
製造資本:建物、設備、インフラなど、企業が物理的な生産活動に使用する資産
知的資本:特許、ブランド、ノウハウなど、企業が知識ベースで保有する無形の資産
人的資本:従業員の能力、スキル、モチベーションなど、企業が人材によって得る資産
社会・関係資本:顧客、取引先、地域社会などとの信頼や協力関係など、企業が社会的なつながりによって得る資産
自然資本:水、空気、土壌、生物多様性など、企業が自然環境から得る資源やサービス

このフレームワークは、企業が財務的な価値だけでなく、非財務的な資本も考慮すべきであることを提唱している。

従来の経営では財務資本と製造資本が重視されていたが、持続可能な経営においては、残りの4つの資本、すなわち知的資本、人的資本、社会・関係資本、自然資本をいかに活用するかが重要となる。

6つの投資原則

PRI(責任投資原則)に署名した投資家に求められる投資原則。
投資家が責任を持って投資活動を行い、持続可能な経済成長を促進するための指針のことで、以下の6つの原則を指す。

投資分析と意思決定のプロセスにESGの課題を組み込む:環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)の要素を投資分析や意思決定に取り入れる。
活動的な所有者となり所有方針と所有習慣にESGの課題を組み入れる:所有する企業に対して積極的に関与し、ESGの課題を所有方針や習慣に反映させる。
投資対象の主体に対してESGの課題について適切な開示を求める:投資先企業に対し、ESGに関する情報の開示を求める。
資産運用業界において本原則が受け入れられ実行に移されるように働きかけを行う:業界全体でこれらの原則が実践されるよう促進する。
本原則を実行する際の効果を高めるために協働する:他の投資家や関係者と協力し、原則の実行効果を最大化する。
本原則の実行に関する活動状況や進捗状況に関して報告する:原則に基づく活動や進捗状況を定期的に報告する。

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