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CDPスコアの高い企業は?2023年のAリスト獲得社から学ぶ環境への取り組み

サステナブルな取り組み ESGの取り組み
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(Adobe Stockより)

地球温暖化が進み、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みが世界各国で行われている中、企業の環境への取り組みを評価するCDPスコア(2023)が発表されました。

本記事では、2023年のCDPスコアでAリストを獲得した企業について、具体的な環境への取り組みや、スコアの高い企業になるためのポイントを解説します。

今後CDPへの回答を検討されている方、また現在のスコアをさらに向上させたい方はぜひ、本記事を参考にしてください。

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【2023年】CDPスコアの高い企業

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(Adobe Stockより)

CDPスコアが高いのは、どのような企業なのでしょうか。

ここでは、2023年のCDPスコアにおいて、「気候変動分野」「フォレスト分野」「水セキュリティ分野」の3分野でAリストを獲得した日本企業をそれぞれ紹介します。

気候変動分野

気候変動分野でAリストを獲得した主な企業は、次のとおりです。

  • ANAホールディングス株式会社
  • EIZO株式会社
  • J.フロント リテイリング株式会社
  • アクスル株式会社
  • アステラス株式会社
  • アズビル株式会社
  • イオン株式会社
  • いちご株式会社
  • キヤノン株式会社
  • コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス株式会社
  • ファナック株式会社
  • 花王株式会社
  • 株式会社アイシン
  • 株式会社エフピコ
  • 株式会社コンコルディア・フィナンシャルグループ
  • 株式会社ダイセキ
  • 株式会社デンソー
  • 株式会社ファーストリテイリング
  • 株式会社フジタ
  • 株式会社ブリヂストン
  • 株式会社ベネッセホールディングス
  • 株式会社三越伊勢丹ホールディングス
  • 株式会社日立ハイテク
  • 株式会社博報堂DYホールディングス
  • 産業ファンド投資法人
  • 積水ハウス株式会社
  • 大東建託株式会社
  • 大日本印刷株式会社
  • 大和ハウスリート投資法人
  • 大和ハウス工業株式会社
  • 第一三共株式会社
  • 中外製薬株式会社
  • 日本たばこ産業株式会社
  • 日本プライムリアルティ投資法人
  • 富士フイルムホールディングス株式会社
  • 富士通株式会社
  • 富士電機株式会社
  • 芙蓉総合リース株式会社
  • 本田技研工業株式会社
  • 味の素株式会社

(参考:CDP

上記の他にも、情報開示した1,984社のうち111社が気候変動分野でAリストを獲得しています。

フォレスト分野

フォレスト分野では、情報開示した138社のうち以下7つの日本企業がAリストを獲得する結果になりました。

  • ユニ・チャーム株式会社
  • 花王株式会社
  • 株式会社 資生堂
  • 株式会社大林組
  • 積水ハウス株式会社
  • 日清オイリオグループ株式会社
  • 豊田通商株式会社

(参考:CDP

フォレスト分野のAリスト獲得企業は前年度から3社増えており、各企業が森林減少を防ぐ取り組みを実施し始めています。

水セキュリティ分野

水セキュリティ分野でリストを獲得した企業は次のとおりです。

  • TDK株式会社
  • カゴメ株式会社
  • キッコーマン株式会社
  • キリンホールディングス株式会社
  • コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス株式会社
  • サッポロホールディングス株式会社
  • サントリーホールディングス株式会社
  • セイコーエプソン株式会社
  • トヨタ紡織株式会社
  • ミネベアミツミ株式会社
  • ユニ・チャーム株式会社
  • ライオン株式会社
  • ローム株式会社
  • 塩野義製薬株式会社
  • 横河電機株式会社
  • 花王株式会社
  • 株式会社 小松製作所
  • 株式会社クボタ
  • 株式会社コーセー
  • 株式会社デンソー
  • 株式会社リコー
  • 株式会社日立ハイテク
  • 丸紅株式会社
  • 三菱地所株式会社
  • 三菱電機株式会社
  • 小野薬品工業株式会社
  • 積水ハウス株式会社
  • 積水化学工業株式会社
  • 大和ハウス工業株式会社
  • 中外製薬株式会社
  • 長瀬産業株式会社
  • 日産自動車株式会社
  • 日清オイリオグループ株式会社
  • 日本たばこ産業株式会社
  • 日本電気株式会社
  • 明治ホールディングス株式会社

(参考:CDP

水セキュリティ分野では、昨年度から1社増えて36社の日本企業がAリストを獲得しています。

すべての分野でAリストを獲得した企業

すべての分野でAリスト(トリプルA)を獲得した企業は全体で10社、そのうち日本企業は次の2社です。

  • 花王株式会社
  • 積水ハウス


花王は4年連続、積水ハウスは日本の住宅メーカーとして初めてトリプルAを獲得しています。

Aリスト獲得企業から学ぶ環境への取り組み事例

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(Adobe Stockより)

トリプルAを獲得した日本企業は、どのような環境への取り組みを行っているのでしょうか。

ここでは、トリプルAを獲得した「花王」と「積水ハウス」の2社が行っている具体的な取り組みを見ていきましょう。

花王株式会社

花王株式会社は、「持続可能で豊かな共生世界の実現」を使命として、生活用品をはじめとした人と地球がすこやかに暮らすための製品・サービスを提供している企業です。

「気候変動分野」では、2040年のカーボンゼロ・2050年のカーボンネガティブを達成するための目標を策定し、花王初となるバイオマスを熱利用するプラントをスペインに建設しました。

そのほか食器用洗剤「キュキュット」においては、従来と比べてプラスチック使用量を約40%減らしたつめかえ容器「未来にecoペコボトル」を新たに発売し、CO₂排出量の削減に貢献しています。

また「フォレスト分野」では、花王の公式HP内に「パームダッシュボード」のページを作成し、パーム油の持続可能な調達に向けた取り組み等を公開しています。

「水セキュリティ分野」では、スティック状の衣料用洗剤「アタック ZERO パーフェクトスティック」の開発に成功しています。

計量がいらない手軽さと、すすぎ1回で落ちる洗浄力を兼ね備えた製品で、地球環境にやさしい洗濯に寄与しています。

(参考:kao

積水ハウス株式会社

積水ハウス株式会社は、「『わが家』を世界一幸せな場所にする」を企業理念に掲げ、住宅の設計・施工からリフォームまで快適な住環境に貢献する事業を展開している企業です。

「気候変動分野」では、脱炭素の実現に向けて国際イニシアチブに参加しているほか、住宅・分譲マンション等のZEH化を推進しています。

2022年度の戸建住宅におけるZEH比率は93%となっており、2023年以降に建設した前住戸はZEHに対応しています。

また「フォレスト分野」では、木材調達において独自のガイドラインを策定し、森林や生産者に配慮した木材「フェアウッド」の使用に取り組んでいます。

「水セキュリティ分野」では、工場などの生産拠点において循環水を利用し、水資源の効率的な使用に取り組んでいます。

(参考:SEKISUI HOUSE

CDPとは

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(Adobe Stockより)

CDPとは、企業のサスティナビリティに関する情報を開示している非営利団体です。

投資家等がCDPを介して各企業に情報開示を要請し、要請を受けた企業は自社の環境への取り組みをCDPに回答します。

回答はCDPで分析・評価し、投資家やCDPのサプライチェーンメンバー等に送付されるほか、取りまとめた結果を一般向けにも公表しています。

また、CDPへの回答は情報開示の要請を受けていない企業でも、「自主回答枠」として提出が可能です。

なお、CDPについてはこちらの記事でも詳しく紹介しています。

CDPへの意欲は高まりつつある

2000年に設立されたCDPですが、企業からの質問書への回答は年々増加しています。

気候変動フォレスト水セキュリティ
2018年297社42社186社
2019年356社42社194社
2020年375社47社202社
2021年427社57社223社
2022年1,101社87社261社
CDPレポートを参考に筆者作成)

CDPへの回答は、ESGやサスティナビリティを意識した経営を行う企業にとってスタンダードになりつつあるといえるでしょう。

CDPスコアとは

CDPスコアとは、提出された企業の回答に関して環境への貢献度等をスコアで表したものです。

CDPが要請する質問書には「気候変動」「フォレスト」「水セキュリティ」の3つの分野があり、分野ごとに定められた評価方法に基づいてスコア付けされます。

CDPスコアの評価方法

CDPのスコアは、上から順に以下5つのスコアに分類されます。

  • リーダーシップレベル(A、A-)
  • マネジメントレベル(B、B-)
  • 認識レベル(C、C-)
  • 情報開示レベル(D、D-)
  • 無回答(F)


具体的な評価内容は次のとおりです。

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(引用:CDP質問書とスコアリング

CDPでは最上位がリーダーシップスコアとなっており、その中でも特に優れていると判断された企業は「Aリスト」を獲得できます。

CDPスコアが高い企業になるためのポイント

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(Adobe Stockより)

では、CDPスコアの高い企業になるためには、具体的に何を意識すれば良いのでしょうか。ここでは、CDPスコアをアップさせるためのポイントを紹介します。

スコアリングの要件を満たす

まず大前提として、CDPのスコアリング要件を満たすことが重要です。要件を満たしていなければそもそも評価対象にならず、スコアを得ることすらできません。

CDPに回答を提出する場合は、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。

  • 「完全版質問書」に回答し、〆切までに提出する
  • 顧客から回答要請を受けて「簡易版質問書」に回答し、〆切までに提出する


ただし、簡易版の質問書に回答した場合はAリストへの選定対象になりません。Aリストを目指す企業は、完全版で回答するようにしましょう。

質問への無回答を避ける

質問への無回答をなるべく減らすのも大切なポイントのひとつです。

無回答が多い場合、スコアが低くなる可能性があります。空白はデータ開示なしと判断されてしまうため、調査済みなどの場合でも空欄ではなく「0(ゼロ)」と回答しましょう。

また、「Please explain(説明してください)」「Description(説明)」などの質問にも必ず回答するようにしてください。

回答欄のみで完結させる

CDPの評価は、回答欄に記載された内容に基づいて行われます。そのため、外部のウェブサイトや他の回答欄を参照しなければならない情報は、評価から外れる可能性があります。

他の質問と同じような回答になる場合でも、丁寧に記載するようにしましょう。

Aリストを目指すなら要求される基準を確認する

Aリストを目指すのであれば、CDPで要求されている要件を満たす必要があります。CDPが定めているAリストの要件は次のとおりです。

  • スコアがAレベルの閾値をクリアしている
  • 各質問書におけるテーマごとのAリスト要件を満たしている
  • 回答内容を公表している
  • CDPスコアリングチームによる回答のチェックを通過している
  • 評判リスクに関するチェックを通過している
  • CDPスコアリング運営委員会からの最終承認を受けている


特に、テーマごとのAリスト要件は質問書によって異なるため、回答前にしっかりと確認しておきましょう。

CDPの3つの質問書とは?

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(Adobe Stockより)

CDPの質問書は「気候変動」「フォレスト」「水セキュリティ」の3分野です。ここでは、それぞれの質問書の内容について詳しく見ていきましょう。

気候変動

気候変動分野における質問書の主な項目は、次のとおりです。

  • ガバナンス
  • リスク・機会
  • 事業戦略
  • 目標と実績
  • 排出量算定方法
  • GHG(温室効果ガス)排出量
  • エネルギー
  • カーボンプライシング
  • エンゲージメント
  • 生物多様性

(参考:CDP質問書とスコアリング

温室効果ガスの排出量や削減目標など気候変動に伴い、企業がどのように考え取り組んでいるのかについて回答が求められます。

また、2022年度からは新たに「生物多様性」に関する内容も質問に追加されています。

フォレスト

フォレスト分野における質問書の主な項目は、次のとおりです。

  • 現状
  • リスクと機会
  • ガバナンス
  • 事業戦略
  • 実施


フォレストとあるものの森林そのものについての質問ではなく、木材・パーム油・牛製品・大豆の4つの商品について森林減少が進行していないか、企業の理解や具体的な取り組み等の回答が求められます。

水セキュリティ

水セキュリティ分野における質問書の主な項目は、次のとおりです。

  • 現状
  • ビジネスへの影響
  • リスクと機会
  • 施設別水のアカウンティング
  • ガバナンス
  • ビジネス戦略
  • 目標

(参考:CDP質問書とスコアリング

商品の製造過程で水を使用する企業や、水資源に関わる企業に対して回答が求められます。

水資源について今後起こり得るリスクや具体的な対策、資源を有効活用しているかなどさまざまな質問があります。

CDPスコアでAリストを獲得するメリット

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(Adobe Stockより)

ここからは、企業がCDPでAリストを獲得するメリットについて見ていきましょう。

ESG投資を受けやすくなる

企業がAリストを獲得する上での大きなメリットが、ESG投資を受けやすくなる点です。投資家にとって、CDPスコアはESG投資する企業選びの判断材料になります。

CDPでAリストを獲得している企業は、環境への理解や具体的な取り組みなどの情報開示に対応していると判断されるため、ESG投資を受けられる機会が増えるでしょう。

自社の状況を客観的にみれる

自社の環境への取り組み状況を把握できるのも、メリットのひとつです。
CDPでAリストを獲得するには、質問に対して適切に回答する必要があります。

そのためには自社の取り組みをしっかりと分析しなければならないため、結果的に自社の環境への取り組みや目標を把握でき、必要に応じて再検討できるでしょう。

各ステークホルダーへのアピールになる

CDPでのAリスト獲得は、投資家だけでなく顧客や従業員、地域社会といった各ステークホルダーへのアピールにもなります。

「環境問題に対する理解が進んでいる」「環境に配慮した製品を作っている」といったイメージアップにつながり、製品やサービスの売上向上が期待できるでしょう。

まとめ

本記事では、2023年度のCDPスコアでAリストを獲得した企業をはじめ、質問書の内容やスコアアップのポイント等について解説しました。

CDPスコアが高い企業として認められれば、各ステークホルダーからのイメージアップやESG投資先への選抜などさまざまなメリットがあります。

とはいえ、いきなりCDPでAリストを獲得するのは簡単なことではありません。

まずは、CDPのスコアリング要件や自社の状況を分析し、環境への取り組みを可視化するところから始め、徐々に目標や取り組みを高度化してみてはいかがでしょうか。

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(ちみ) 藍口みのり

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兵庫県在住のフリーランスWebライター。歌うことが大好きで、前職では小学校教諭として担任を持ちながら高学年の音楽授業を受け持つ。小中高教員免許(音楽)保持。教育をはじめ、美容・金融・ライフスタイルなど、さまざまなジャンルの記事執筆を行っています。

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