
9月18日、新時代などの居酒屋チェーンを展開する東証グロース上場の株式会社海帆(3133)が、前代未聞の醜態を晒した。予定されていた臨時株主総会が、決議に必要な定足数を満たさずに「不成立」となる大失態を演じたのだ。
上場企業としてのガバナンスが完全に崩壊している同社だが、この総会ドタキャン劇の裏では、従業員への給料未払いや株主優待の“サイレント無効化”といった、さらにドロドロとした末期症状が進行していた。
9月18日、たった数分で強制終了した「怒号の株主総会」
今回の臨時株主総会で海帆は、事業年度の変更(3月末決算から9月末決算へ)という重要な定款一部変更を通す予定だった。しかし、フタを開けてみれば、議決権を行使した株主数は必要となる「3分の1以上」の定足数に届かず、総会は審議すら行われないまま不成立となった(必要定足数207,912個に対して204,759個しか集まらず、わずか3000個強の不足で総会がポシャるというお粗末な結果)。
当日の会場はまさにコント劇だったという。参加した株主の報告によると、会場には社長を含めた役員2人と事務員2人しか姿を見せず、30万株の株主が来たらこれで挑むつもりだったのかと呆れられている。
冒頭、社長が「定数に満たないため……これにて散会」と宣言するやいなや、集まった株主からは「HPとかで告知しろよ!」「株価がひどい」「業績の質問させろ!」と怒号が殺到。しかし社長は「総会はできません」と逃げるように打ち切ってしまった。
総会終了後の午後1時半過ぎ、帰りのエレベーター内では株主たちが「トンピンさんが煽ってたエスポア上場廃止だって」「じゃあココも危ないってこと!?」と他銘柄の末路を引き合いに出し、すっかりパニックに陥っていたという。
今月末(9月末)で決算を締める予定だったはずが承認されなかったことで、同社の管理部門は今頃バタバタとパニック状態に陥っていることだろう。
総会を開けないのも納得? 夏から続く「給料4ヶ月未払い」の阿鼻叫喚
総会すらまともに開けない海帆だが、SNS上では、経営状態はすでにそれ以前の次元まで落ちぶれているのではないかという疑義ががでている。この総会不成立に至るまでの数ヶ月間、SNS上では現場スタッフからの悲鳴が絶え間なく上がっているのだ。
7月24日にはバイトと思しき人物のアカウントからすでに「いつまで経っても給料払わん」という声が上がり、8月22日には「問い合わせ窓口に連絡しても1ミリも返ってこない」と、会社側が完全な音信不通(ガン無視)状態であることが暴露された。そして総会直前の9月3日には「7月24日の連絡からなんの音沙汰もない」、9月15日には「ついに4ヶ月給料未払いだぜ」と、生活基盤を破壊された従業員たちの悲痛な叫びがネット上に溢れ返っていた。
居酒屋スタッフの給料すら払えない火の車状態にもかかわらず、会社側はなぜか水力発電や蓄電池といった威勢のいい再生可能エネルギー事業をアピールしている点にもSNSでは指摘が入っている。さらに滑稽なのは株主の反応だ。
普通なら株価の下落を招く「増資(新株発行)」を株主は極端に嫌うものだが、あまりの惨状に見かねて「(自分たちが損をする)増資をしてでもいいから、スタッフに給料を払ってあげて」と言い出すお人好しな株主まで現れる異常事態に。これにはネット民からも「そんなこと言う株主(ステークホルダー)も質が悪い(会社を甘やかしすぎだ)」と冷ややかに失笑されているのだ。
万年赤字にキャッシュフロー綱渡り…数字が物語る「火の車」の裏側
給与未払いや総会のドタキャン――これらが同時多発的に起きている背景には、同社の金欠と万年赤字がある。事実、同社の業績ハイライトを見れば一目瞭然だ。売上高こそ増えているように見えるが、本業の儲けを示す営業利益は2023年3月期から何期にもわたって真っ赤っか(マイナス)のまま、直近の2026年3月期の通期では約14億円もの大赤字を垂れ流している。
さらに、同社が最近ひっそりと開示したIR資料からも、日々の運転資金にすら事欠くようなキャッシュフローの綱渡り状態が透けて見える。売上は立っても利益は残らず、手元の現金は猛スピードで溶けていく“底の抜けたバケツ”状態なのだ。
株主もハシゴを外された「優待サイレント拒否」トラップ
会社に見捨てられたのは従業員だけではない。なんとか株を持ち続けてきた株主たちも、見事にハシゴを外されている。
8月10日、ある株主が系列店の「新時代」で食事をし、株主優待券を使おうとしたところ、店側から「先月から使えなくなりました」と突如通告されたという。事前の告知も一切ない“サイレント優待拒否”のトラップに引っかかり、結局自腹を切らされるという悲惨な展開。これにはSNS上でも「株でも損、食事行っても損しててわろたwwww」と嘲笑の的になっている。
お粗末な理由で臨時株主総会から逃亡した海帆。現場の給料は4ヶ月放置され、株主優待はしれっと紙クズにされる。この惨状で「業績への影響はない」と強弁する東証グロース上場企業に、果たして明日などあるのだろうか。一刻も早い信頼回復が望まれる。



