
六代目山口組の若頭補佐で、直系団体「秋良連合会」会長の金東力(通称・秋良東力)容疑者(70)と、実弟の金裕司容疑者(64)が、弟名義でSIMカードを購入したとして再逮捕された。
2人は7月、同じ弟名義のアカウントを使い、オンラインで競輪車券を購入した疑いでも逮捕されていた。さらに過去には、弟名義のETCカードを使用した事件で有罪判決を受けている。携帯回線、競輪、ETCという異なるサービスで、同じ実弟の名義が繰り返し使われていた。
金容疑者が使う目的を隠し、実弟がSIMカードを購入
大阪府警捜査4課は8月14日、詐欺の疑いで金東力容疑者と金裕司容疑者を再逮捕した。
読売新聞によると、2人は共謀し、2025年7月に大阪市内の携帯電話販売店を訪れ、金東力容疑者が使用する目的を隠して、金裕司容疑者の名義でSIMカードを購入した疑いが持たれている。
契約者本人とは別の人物が回線を使うにもかかわらず、実際の使用者を店舗側に伝えなかった行為が、販売店を欺いたと判断された。産経新聞によると、大阪府警は2人の認否を明らかにしていない。
秋良連合会は大阪市を拠点とする六代目山口組の二次団体で、金東力容疑者は「直参」と呼ばれる直系組長の一人。山口組執行部の若頭補佐も務めている。
競輪は243回、約392万円分 投票総額は1億円超か
今回の再逮捕に先立つ7月30日、大阪府警は金東力容疑者と金裕司容疑者ら男3人を、私電磁的記録不正作出・同供用の疑いで逮捕していた。
逮捕容疑は、暴力団関係者の利用を禁止している公営競技のインターネット投票サービスで、金東力容疑者が実弟になりすまして車券を購入したというものだ。
ABCテレビなどによると、3人は2025年11月から12月にかけ、計243回、約392万円分の競輪車券を購入した疑いが持たれている。報道にある「1億円超」は今回の逮捕容疑の金額ではなく、府警が2021年ごろからの利用履歴を調べて把握したとされる投票総額である。
事件の端緒となったのは、2023年2月に行われた別件の捜査だった。金東力容疑者が所持していたスマートフォンのケースから、金裕司容疑者名義のインターネット投票サービスの会員証が見つかった。当時の捜査対象者からも「会長は競輪が好きで、インターネットを利用している」との供述が得られたという。
ETCカードでも同じ実弟の名義を使用
金東力容疑者と実弟の名義をめぐる事件は、今回が初めてではない。
金東力容疑者は2022年11月から12月、実弟名義のETCカードを車載器に挿入した車で阪神高速道路を2回走行し、計1400円の割引を受けたとして、電子計算機使用詐欺罪で起訴された。当時、名義人の実弟は車に同乗していなかった。
大阪地裁は2024年5月、カード会社が名義人以外の利用を規約で禁じていることや、弟のカードを継続的に使っていたことを踏まえ、金東力容疑者に懲役10月の実刑判決を言い渡した。実弟と運転役の男には、いずれも懲役10月、執行猶予3年の判決が出ている。同年12月には大阪高裁が控訴を棄却した。
今回のSIMカード、7月に発覚した競輪アカウント、過去のETCカードには、いずれも金裕司容疑者の名義が使われていた。大阪府警の捜査によって、兄が直接契約できないサービスを実弟の名義で利用していたとされる経緯が、複数の事件として明らかになっている。



