
大阪府茨木市の自宅ガレージで、部下の行政書士・井上智憲さん(当時50)に暴行を加えて死亡させたとして、傷害致死容疑で逮捕された行政書士事務所元代表の麻田剛史容疑者(59)が、井上さんに数年前から給与を支払っていなかったことが分かった。ABCテレビとMBSが8月28日、捜査関係者への取材として報じた。
事件当日には、井上さんが麻田容疑者に土下座する姿を近隣住民が目撃していたという。井上さんの上半身からは抵抗した際にできたとみられる複数の傷も確認された。麻田容疑者は「私は一切暴行をしていません」と容疑を否認している。
麻田剛史容疑者、井上智憲さんの頭を多数回打ち付けた疑い
大阪府警によると、麻田容疑者は2025年3月26日午後9時37分ごろから同10時59分ごろまでの間、茨木市北春日丘の自宅ガレージで、井上さんの頭を多数回打ち付けるなどの暴行を加えた疑いが持たれている。
麻田容疑者は自ら119番通報した。井上さんは頭から血を流し、意識不明の状態で病院に搬送され、3日後に死亡した。死因は急性硬膜下血腫だった。司法解剖では、外部から危害を受けたことによる死亡と判断されたという。
井上さんは門真市内にあった麻田容疑者の事務所で約10年勤務し、実質的な運営を担っていた。事件直前、2人はガレージ内で事務所経費の支払いについて話し合っていたとされる。
数年前から給与未払いか 経営悪化と経費トラブルを捜査
ABCテレビによると、麻田容疑者は事件の数年前から井上さんに給与を支払っていなかった。事務所は事件前から経営不振に陥り、当時のテナントは現在、シャッターが閉じた状態だという。
府警は、経営悪化と経費の支払いを巡るトラブルが事件に至る経緯とどう関わったかを調べている。
「土下座し自ら頭を打った」説明 住民は土下座する井上さんを目撃
事件後、麻田容疑者は救急隊に、井上さんが目の前で土下座し、自ら頭をコンクリートに打ち付けたとの趣旨を説明した。
MBSの8月28日夕方の続報では、近隣住民が事件当日、井上さんが麻田容疑者に土下座する様子を目撃していた。
現場付近では、夜10時ごろ、3~4軒先まで届くほどの大きな怒鳴り声が聞かれた。通行人は、攻撃的な「お前は」といった声だったと証言し、声を出していたのは1人で、言い争う声ではなかったとしている。別の住民は、ガレージ内の車の後方で人がぐったりしている様子を見たと話した。
上半身に複数の傷 逮捕まで約1年半
MBSによると、井上さんの上半身には、抵抗した際にできたとみられる傷が複数あった。関西テレビは、府警が複数の医師から井上さんが暴行を受けた疑いが強いとの見解を得たほか、防犯カメラなどを調べ、事件から約1年半後の逮捕に踏み切ったと報じている。
現場は麻田容疑者の自宅ガレージで、暴行の瞬間を直接見た人物は確認されていない。府警は麻田容疑者の供述と医学的所見、防犯カメラなどの客観資料を照合し、暴行の態様や動機を調べている。
日本行政書士会連合会が謝罪声明
日本行政書士会連合会は28日、逮捕された人物が大阪府行政書士会の会員だとする宮本重則会長名の声明を公表した。報道内容が事実なら、行政書士の信用と品位を害し、国民の信頼を著しく損なうとして遺憾の意を表明し、関係者と国民に謝罪した。
井上さんの遺族は毎日新聞の取材に「いまだに真相を知りたい」と話している。麻田容疑者は容疑を全面的に否認しており、刑事責任は確定していない。



