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待つ支援から、会いに行く支援へ。アマヤドリがキッチンカーで若者の見えない孤立に向き合う

ステークホルダーVOICE 地域社会 未来世代
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公益社団法人アマヤドリ TOMBO
画像出典:公益社団法人アマヤドリ プレスリリース

助けを求めることさえできず、社会から見えないまま孤立する若者がいる。その一人ひとりに、支援者の側から会いに行く。

若者支援に取り組む公益社団法人アマヤドリが、神奈川県から委託を受け、キッチンカー「TOMBO(とんぼ)」で大学などに出向く訪問型支援を始める。無料のクレープを手渡しながら、いざという時に支援へつながる接点をつくる取り組みだ。

 

18歳で制度の外へ、SOSを出せない若者たち

同法人によると、日本では15〜34歳の若い世代の死因の第1位が「自殺」で、これはG7で日本のみだ。虐待や貧困、制度の狭間で精神的な限界を迎えている若者の中には、助けを求めても怒られたり、事態が悪化したりした経験を持つ人が少なくない。頼ること自体を「みじめ」と感じてためらい、誰にもSOSを出せなくなる。同法人はこれを「見えない孤立」と呼ぶ。

こうしたためらいは、社会の側に残る「支援を受ける=弱者」というまなざし(スティグマ)が生むものであり、本人の気持ちや力の問題ではないと同法人は指摘する。とりわけ18歳を境に児童福祉法の対象外となるなど、制度の枠組みからこぼれ落ちた若者は、社会の入り口で孤立・困窮しても頼れる大人も制度も近くにない状態に置かれがちだ。

 

延べ1万件の伴走から見えた「待つ支援」の限界

アマヤドリは2020年の活動開始以来5年半、延べ1万件以上の相談対応をはじめ、住居支援や行政・病院への同行支援を通じて、身近に頼れる大人のいない15〜29歳の若者に伴走してきた。その中で痛感したのが、従来の「相談に来るのを待つ」支援では、本当に孤立している若者には手が届かないという限界だった。

支援を必要とする若者が自ら窓口の門を叩くことは非常に稀で、ハードルが高い行動だという。そこで同法人は、神奈川県の委託事業として、相談員がキッチンカー「TOMBO」で若者の集まる大学などへ直接出向く「会いに行く支援」に挑む。今年度は県内3つの学校で実施する予定だ。

 

「クレープ、食べていきませんか」から始まる関係

TOMBOは、無料でクレープを手渡しながら、相談先を記したステッカーをそっと届ける。「助けに来ました」でも「相談してください」でもなく、「クレープ、食べていきませんか」と声をかける。身構えずに立ち寄れる入り口から、つながりの第一歩を生み出す狙いだ。

数ある食べものからクレープを選んだのには理由がある。生地やフルーツ、クリーム、ソース、具材の組み合わせで無限に変わり、「選ぶ」ことをめいっぱい体験できるからだ。生き延びるために自分の希望を後回しにしてきた若者の中には、「選ぶ」力が眠ったままの人が少なくない。今日のクレープを選ぶ、話を聴いてもらうか食べるだけにするかを選ぶ——その小さな積み重ねが、いつか仕事や住む場所、生き方という大きな選択につながっていく。「選べないを、選び直す」。それが同法人の哲学だ。

 

市民とつくる、若者支援のセーフティネット

代表理事の菊池操氏は「『助けて』と言えないのは、本人が弱いからでも力が育っていないからでもない。安心して頼れた経験、頼った後に『頼ってよかった』と思える経験がたまたま少なかったからだ」と語る。待つのではなく支援者の側から会いに行くことで、若者が自分の生き方や未来を選んでいけるようにと願う。

アマヤドリは2020年設立で、「出会う」「相談」「暮らす」「居る」「働く」の5つの柱で、社会の入り口で孤立・困窮する若者の命のライフラインを支えてきた。キッチンカーの導入という事業の出発点を、市民や地元企業とともに担うことそのものが「孤立する若者を地域みんなで支える」という意思表示になるとして、立ち上げ費用を広く募っている。将来的には若者自身が働ける場としてもTOMBOを活用していく考えだ。孤立を個人の問題ではなく社会の課題として捉え直し、地域ぐるみで支える仕組みを築こうとしている。

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ライター:

Sacco編集・ライター。企業に直接出向く取材が中心。扱う記事はサステナビリティ、ウェルビーイング関係が多め。

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