
千葉市中央区のJR蘇我駅周辺で、冠水した路上に立つ女性2人が音楽に合わせて踊る動画がX(旧Twitter)で拡散している。
動画には「蘇我駅です!!」「みんなたのしもーーう!!」「海できてます!車沈んでます!」との文言が入り、「#万バズ」も付けられていた。8月14日に転載が広がると、「被害が出ている最中に不謹慎だ」「冠水路へ入る行為自体が危険だ」と批判が相次いだ。
同じ豪雨で千葉県内では8人が死亡し、このうち4人は浸水した車内に閉じ込められて亡くなった。動画の「車沈んでます」という言葉の先で、現実の死亡事故と救助活動が続いていた。
蘇我駅で約4000人が帰宅困難 自衛隊が輸送支援
動画が撮影されたとみられる蘇我駅周辺では13日夜、京葉線などの運転見合わせにより約4000人が帰宅困難となった。テレビ朝日によると、駅周辺の道路は広く冠水し、14日朝もアンダーパスでは天井付近まで水が残っていた。
防衛省は千葉県知事からの災害派遣要請を受け、14日午前7時から自衛隊のバスで帰宅困難者を千葉県文化会館へ輸送した。駅周辺の店舗では浸水後の片付けが進められた。
その状況で、冠水を「海」と呼び、水没した車に言及しながら踊る映像を公開したことが反発を招いた。投稿者の氏名、年齢、所属は確認されていない。
「令和8年8月千葉豪雨」死者8人、住宅被害178棟
気象庁は14日、13日からの豪雨を「令和8年8月千葉豪雨」と命名した。千葉県では線状降水帯が13日午後5時58分、同8時58分、14日午前2時8分の3回発生し、記録的短時間大雨の気象防災速報は25回に達した。
千葉市では14日午前10時までの24時間雨量が367.0ミリとなり、観測史上1位を更新。平年の8月1カ月分の約3倍にあたる。5月29日に新しい防災気象情報の運用が始まって以降、レベル5大雨特別警報とレベル5土砂災害特別警報はいずれも全国で初めて発表された。
TBS NEWS DIGが15日午前5時35分に伝えたところでは、県内の死者は男女8人、床上・床下浸水などの住宅被害は178棟に達した。
国道16号アンダーパスで排水ポンプ停止 水没車の男性死亡
15日朝には、千葉市中央区村田町の国道16号アンダーパスで、排水設備が正常に作動していなかったことも判明した。
FNNプライムオンラインによると、一帯の停電で排水ポンプが停止したうえ、停電時に作動するはずの非常用発電機も動かず、通行止めを表示する電光掲示板も消えていた。この場所では車が水没し、閉じ込められた40代男性が搬送先で死亡した。千葉国道事務所は、梅雨時期の点検では異常がなかったとして、発電機が作動しなかった原因を調べている。
冠水路では車の故障や水圧でドアが開かなくなる危険があるとして、千葉県は車で進入せず安全な場所へ移るよう呼びかけた。消防庁の事例集にも、水面下で見えなくなった側溝への転落や、蓋が外れたマンホールによる事故例が記録されている。
ウェザーニューズは15日、現地アンケート1万9件と約1万件のウェザーリポートを分析し、冠水・浸水被害を報告した人の2人に1人が、国や自治体の水害リスクが高い区域の外にいたと発表した。危険区域として示されていない場所でも、短時間の猛烈な雨で道路が冠水した実態が表れている。
被害が判明し続けるなかで、冠水路へ入り、被災状況を娯楽として見せた投稿は広く批判された。「#万バズ」を掲げた動画は、冠水路での危険行為に加え、同じ時間帯に死亡事故と帰宅困難者が発生していた状況との落差から反発を広げた。



