
2000年1月14日生まれの26歳。京都府出身で、弟は日本代表の髙橋藍選手。
新シーズンを前に、自分の言葉でファンへ伝えることを選んだ。
発表直後の反応は応援が主流だが、違和感を示す声も混じる。
公表の内容とタイミング
髙橋塁選手は「ご報告」と題した文書を公開した。
冒頭で「僕は幼き頃から、自分自身のある一面について向き合うことを恐れ、悩み、自分自身を否定していました。それは、僕がゲイであり、セクシュアルマイノリティの一人であるということです」と記した。
公表の理由は、新しいシーズンを迎えるにあたり、いつも応援してくださるファンの皆さんにも、このタイミングで自分自身の言葉で伝えておきたいと考えたためだ。
突然の報告になったことへのお詫びと、これまでの応援への感謝も添えている。
プレーへの姿勢は変わらないとし、「これからも、バレーボールに尽力し、様々な場面で自身の成長のために頑張っていくことに変わりはありません」と強調した。
理由や背景は違っても、自分を受け入れられずに悩んでいる人にとって、今回の公表が少しでもきっかけになれば嬉しいとも書いた。
弟・髙橋藍との2シーズンが転機になった理由
転機は弟の髙橋藍選手と同じチームで過ごした約2年間だった。
藍選手は2024年にサントリーへ加入し、2025-26シーズン終了後に退団してポーランドのルブリンへ移籍した。
塁選手は「約2年間、弟の髙橋藍と同じチームで過ごしたことが僕にとって何よりも大きく、藍と話したことをきっかけに、初めて自分自身を認めることができました」と記した。
気持ちを言語化することで心を整理でき、少しずつ「ありのままの自分でいい」と思えるようになったという。
家族、チームメイト、チームスタッフ、関係者の支えにも感謝を述べている。
兄弟は小学生の頃から同じチームでバレーを始め、東山高校でも一緒にプレーした。
プロ入り後もYouTubeチャンネル「らんるい」を運営し、ファンからは「はしごだか」と呼ばれてきた。
藍選手退団後の2026年5月、塁選手は「藍と過ごした2シーズンは非常に濃く、一生の思い出」と投稿していた。
スポーツ界でカミングアウトする難しさ
日本のスポーツ界では、現役の男子プロ選手が自ら公表する例は少ない。
女子では下山田志帆さん(サッカー)が2019年、ドイツでプレー中に現役プロとして公表した。
村上愛梨さん(ラグビー)は2021年、日本代表経験者としてカミングアウトした。
横山久美さん(サッカー)は2021年、米国でプレー中にトランスジェンダー男性であることを公表し、当時のバイデン米大統領も支持を表明した。
元バレーボール選手の滝沢ななえさんは2017年にレズビアンであることを公表している。
元フェンシング日本代表の杉山文野さんは引退後にトランスジェンダー男性であることを公表し、日本オリンピック委員会の理事も務めた。
芸能界では與真司郎さん(AAA)が2023年、約2000人のファンの前でゲイであることを公表した。
マツコ・デラックスさんや美輪明宏さんも長年オープンに活動してきた。
それでも男子チームスポーツでは、所属先やスポンサー、周囲の反応を心配する空気が残る。
パリ五輪ではLGBTQを公表した選手が過去最多規模になった一方、日本人選手はゼロだったとの指摘もある。
ファンや周囲の反応
X上では「塁くんは塁くんです」「これからも応援する」「多様性の時代。自分を否定することなく過ごしてほしい」といった声が目立った。
投稿の閲覧は短時間で10万件を超えた。
一方で「なぜ公表する必要があるのか」といった違和感の声も少数ながら出ている。
與真司郎さんの公表時も、大多数は支持だったが、一部ファンから「気持ち悪い」との言葉が届き、本人が後に「刺さった」と語っている。
今回も応援が主流である一方、すべての人が同じ温度で受け止めるわけではない状況がうかがえる。
インターネット上では時間が経つとコメント欄が荒れる例もあるため、今後の推移も注目される。
これからのプレーと本人の姿勢
塁選手は東山高校、日本大学を経て2022年にサントリーへ入団した。
ポジションはアウトサイドヒッター、背番号21。身長186センチ、スパイク到達点335センチ。
腰痛の影響で出場機会が限られた時期もあり、近年はリリーフサーバーとしての役割も担ってきた。
2025-26シーズンのファイナルでは、ピンチサーバーとしてサービスエースを決める場面もあった。
2026-27シーズンもサントリーとの契約を更新している。
文書では「これからも、髙橋塁らしく、バレーボールを通じて成長していきたいと思います」と結んだ。
公表は競技を離れる宣言ではなく、隠さずにプレーしたいという意思表示として位置づけられている。



