
「NEW KAWAII」を掲げ、若い世代を中心に絶大な支持を集める人気アイドルグループFRUITS ZIPPER(フルーツジッパー)。そのメンバーである鎮西寿々歌氏がSNSに投じた、たった一言の投稿が波紋を広げている。「平和界隈」——。
同じくメンバーの松本かれん氏とともに、1年以上前から親しまれてきたこの愛称が、グループを巡る不穏な空気のなかで思わぬ誤解を招き、鎮西氏への批判が急速に膨らんだ。だが、事実を丁寧にたどれば、そこには見過ごされがちな前提が横たわっている。
発端は「平和界隈♡」 ラジオ告知に添えた一言が波紋を呼んだ
騒動のきっかけは、「おすず」の愛称でも親しまれる鎮西氏がX上に投じた短いメッセージだった。9月28日深夜に放送される冠ラジオ「FRUITS ZIPPER ANNX(オールナイトニッポンX)」の告知に、「平和界隈♡」という言葉を添えたのである。この日の放送は、鎮西氏と松本かれん氏の二人が担当する回だった。
一見すれば、放送を心待ちにするファンへの、いつも通りの呼びかけにすぎない。しかし折しも、グループのメンバー間の関係性を巡ってSNS上で臆測が飛び交い、空気が張り詰めていた時期と重なった。「平和」という語がその状況を茶化しているように読める——そう受け止めた一部の利用者から、鎮西氏に対する非難の声が噴き出したのだった。
「平和界隈」は1年以上前から続く二人の“ペア名”だった
ここで確認しておくべきは、「平和界隈」が今回突然生まれた言葉ではないという事実である。
鎮西氏と松本氏は、以前からこの呼称を自分たちのペアの愛称のように用いてきた。2025年7月27日には、松本氏が同じラジオ番組の告知に「平和界隈だー みんな喜んでてうれしい」と記し、ハッシュタグ「#ふるっぱーANNX」を添えている。同年11月10日にも鎮西氏が「平和界隈だよ♡聴いてねっ」と投稿。2026年4月16日には松本氏が二人で映る動画に「笑♡ 平和界隈」と書き添えるなど、その用例は1年以上にわたって積み重ねられてきた。
つまり「平和界隈」は、二人の仲むつまじさを象徴する、いわばコンビ名のような言葉として定着していたものだ。今回の投稿も、その延長線上にある告知だったと見るのが自然だろう。
松本かれん氏が明かした由来 「ラジオでみんながつけてくれたペア名」
その前提を、当の松本氏自身が改めて裏づけている。
騒動が広がる渦中の9月28日午後、松本氏はX上で「平和界隈」の由来について、ラジオを通じてリスナーがつけてくれたペア名なのだと説明。「お気に入りなの」「とっても大切」と、この呼称への愛着をつづったうえで、その日の放送への変わらぬ期待を呼びかけた。
この投稿が示すのは、「平和界隈」が二人の思いつきや、まして今回の状況を当てこするための言葉などではなく、ファンとの間で自然に育まれ、共有されてきた愛称だという事実である。名づけの主はほかならぬリスナーであり、二人はそれを受け取って大切に使い続けてきた——そう理解すれば、鎮西氏の「平和界隈♡」という一言が、どれほど日常の延長にあったものかが見えてくる。
「叩く前に一度調べて」 冷静な対応を促す声
こうした経緯を知るファンからは、過熱する反応をいさめる声が相次いだ。
あるユーザーは、二人が以前からこの名で呼び合ってきた経緯を説明したうえで、いつも通りの投稿にすぎないと指摘し、批判するなら一度調べてからにしてはどうか、と冷静な対応を促した。鎮西氏を推すという別の利用者も、「平和界隈」は元々ある言葉であって「特に深い意味はなく、いつも通りにしようとした結果だと思う」と、投稿の意図を過大に読み込むことへの疑問を投げかけている。
一方で、「大人なのだから、この状況でどう受け取られるかは予見できたはずだ」とする声もあった。なかには鎮西氏の人格そのものを否定するような、厳しすぎる言葉を投げつける投稿も見られた。誤解が誤解を呼び、本来の文脈から切り離された言葉だけが独り歩きしていく——炎上と呼ばれる現象の、典型的な構図がそこにはあった。
投稿は削除、判断の主体は不明 それでも残る過熱
複数の利用者の証言によれば、問題視された鎮西氏の投稿はその後削除されたという。ただし、それが鎮西氏本人の判断によるものなのか、所属事務所であるアソビシステムなど運営側の判断によるものなのかは判然としない。
削除という対応が、かえって「やはり後ろめたいことがあったのでは」という新たな臆測を呼び込む面もある。だが、1年以上にわたり親しまれ、当人たちが「大切」とまで語る愛称を、いつも通り口にしただけの投稿である。それがこれほどの逆風にさらされ、取り下げにまで至ったのだとすれば、いま省みられるべきはその過熱ぶりのほうではないか。
ラジオは今夜24時 事実に立ち返る冷静さを
鎮西氏と松本氏が担当するFRUITS ZIPPER ANNXは、まさにこの騒動のさなか、9月28日の深夜24時から放送を控えている。二人が「平和界隈」という言葉に込めてきたのは、少なくともこれまでの用例と本人の言葉を見る限り、険悪さとは無縁の、他愛のない親しみだったはずだ。
SNSは、わずかな言葉から連帯も断罪も瞬時に生み出す。だからこそ、目に留まった一言に反応する前に、その言葉がどこから来たのかをひと呼吸おいて確かめる——その当たり前の手続きが、いま最も求められている。少なくとも今回の「平和界隈」を巡っては、非難に踏み切る前に立ち止まるだけの材料が、すでに十分すぎるほど示されている。



