
「最高の贅沢」と披露した晩酌に、食中毒を警告する注意書きが現れた。元プロボクサーの飯田将成(40)が9月27日、Xに投稿した鹿刺し動画に、E型肝炎ウイルスや寄生虫などの危険を説明するコミュニティノートが表示されている。29日朝の確認時点で、投稿の閲覧数は565万回を超えた。
鹿刺しをひと口、ビールをゴクリ 投稿には警告ノート
飯田が添えた言葉は「自然の中で食べる鹿刺しとビール。最高の贅沢」。動画では木々に囲まれた屋外に腰掛け、「鹿刺し」と紹介する料理を箸で口に運ぶ。続いて瓶ビールをラッパ飲み。森の緑を背景に、豪快な晩酌風景を披露した。
その投稿に表示されたコミュニティノートは、野生鳥獣肉の生食にはE型肝炎ウイルスや寄生虫などによる食中毒のリスクがあると説明。厚生労働省の資料などへのリンクを添え、中心部まで十分に加熱するよう促している。
コミュニティノートは、Xの利用者が投稿に背景情報を付け加える仕組みだ。他の利用者から役に立つと評価されたものが表示される。
返信欄では、かつて鹿刺しを食べた経験があるという利用者が、寄生虫やウイルスのリスクを知ってから生食をやめたと説明。「草食動物でも生食は絶対ダメ」と警告している。
飯田は岐阜県岐阜市出身。日刊スポーツの本人インタビューによると、プロボクシングで日本ウェルター級最高10位に入り、2022年にはアマチュアキックボクシング大会「BRIDGE」でヘビー級王座を獲得。同年7月の「BreakingDown5」では、初出場で18秒KO勝ちを収めた。
冷凍した鹿肉でも4人が発症 6〜7週間後にE型肝炎
鹿肉の生食をめぐる警告には、実際の健康被害という背景がある。
厚労省によると、2003年4月、兵庫県で冷凍シカ肉を食べた2家族7人のうち4人がE型肝炎を発症した。生で食べてから症状が出るまでには、6〜7週間が経過していた。
患者と、残っていたシカ肉から検出されたウイルスの遺伝子配列を調べ、食事との因果関係を確認。特定の食品とE型急性肝炎の発症との直接的な関係を示した世界初の事例として、英医学誌「THE LANCET」に掲載された。
E型肝炎の潜伏期間は平均6週間。発症すると発熱や腹痛、黄疸などが現れ、まれに劇症化する。食べた翌日に元気だったからといって、それで安心という話ではない。
寄生虫を冷凍で処理しても、生食の安全は保証されない
鹿肉で警戒されるのは、肝炎ウイルスだけではない。
大阪健康安全基盤研究所は、生または加熱不十分なシカ肉を食べ、住肉胞子虫による食中毒症状が出た事例を紹介している。多くの場合、食後4〜8時間ほどで下痢や嘔吐などが現れるという。
同研究所によると、住肉胞子虫はマイナス20℃で48時間以上の冷凍処理によって失活する。ただし、野生鳥獣の肉には別の寄生虫や、E型肝炎ウイルス、腸管出血性大腸菌などが存在する可能性もある。ひとつの寄生虫に対処できても、生肉全体の安全性を保証することにはならない。
厚労省が示すジビエの加熱条件は、肉の中心部を75℃で1分以上、または同等以上の効果がある方法で加熱すること。表面をさっとあぶれば済む、という基準ではない。調理器具や箸、皿を通じて別の食品を汚染することにも注意が必要としている。
TBSも「鹿肉の刺身」で謝罪 配信から場面削除
鹿の刺身をめぐっては、テレビ番組も騒動に発展している。
2022年7月3日放送のTBS系「坂上&指原のつぶれない店」は、大阪市の居酒屋の「シカもも肉の刺身」を紹介。U字工事と石原良純が食べる場面が放送され、生食の危険を指摘する声が上がった。
J-CASTニュースが同月6日に報じたTBS広報への取材などによると、店では実際には加熱してから提供していた。番組側は、その説明が不十分で誤解を招く表現になったとして謝罪した。
番組の公式サイトには、加熱して提供していたという説明とおわびを掲載。野生動物の肉は十分に加熱するよう案内し、TVerでは同日までに刺身の場面が削除された。



