
警察は自宅にガソリンのような液体をまいて火をつけ、就寝中の両親を殺害しようとしたとして、同居する中学3年生の男子生徒(15)を現住建造物等放火と殺人未遂の疑いで逮捕した。
少年は交番に自首し、容疑を認めている。
未明の自宅全焼
福岡県警大牟田署の発表によると、火災が起きたのは18日午前1時すぎ。
少年は自宅にガソリンのような液体をまいた後、ライターで火をつけた布などを使って放火した疑いがある。
両親は火災に気づいて避難したが、父親(51)が背中や腕などにやけどを負い、病院に搬送された。
意識はあり、命に別状はない。母親(51)にけがはなかった。
住宅は全焼し、同じ敷地内のもう1棟にも延焼した。火災発生から約1時間後の午前2時すぎ、少年が市内の交番を自ら訪れ、「僕が火をつけました」と話した。
警察が任意同行して事情を聴いたところ、「両親を殺そうと思い、寝ているのを分かっていて自宅に火をつけた」と容疑を認めたため、逮捕に至った。
少年は中学3年生で、両親と3人暮らしだった。
母親が通報して消防や警察が到着した時点では不在で、約1時間後に自首した形となった。
警察は火のつけ方や使用した液体の詳細、犯行の計画性などを詳しく調べている。
少年の供述「父の暴力が嫌だった」
取り調べに対し、少年は「日頃からお父さんが暴力を振るってくるのが嫌いで、ストレスがたまっていた」「両親が寝ている時に自宅にガソリンをまいて火をつけました」などと供述している。
警察は家庭内での暴力の有無や頻度、具体的な内容について、少年本人や両親からさらに事情を聴いているとみられる。
犯行後すぐに自首した経緯から、反省の姿勢や、精神的に追い詰められた状態だった可能性が指摘されている。
警察は少年の成育環境や日常的な親子関係、学校生活での様子についても調査を進め、事件の背景を明らかにしようとしている。
家庭内暴力が事実であれば、児童相談所や学校などへの相談状況の有無も確認される見通しだ。
ネットで広がる同情の声
事件の報道後、Xやニュースサイトのコメント欄では少年への同情の声が広がっている。
「火をつけたことは許されないが、日頃から暴力を受けていたのなら同情する」「ここまで子供を追い込んだ親に問題があるのではないか」「誰に相談したらよかったのか分からなかったのでは」「未遂でよかった」といった意見が目立つ。
一方で「重大な犯罪であることに変わりはない」「少年の責任も問われるべきだ」との指摘もある。
児童相談所や学校、地域の支援体制が十分に機能していたのか、という社会的な疑問も出ている。
少年の供述通り家庭内暴力があった場合、早期発見と介入の重要性が改めて問われる形となった。
ネット上では過去の類似事件を引き合いに出し、虐待を背景にした少年犯罪の再発防止を求める声も上がっている。
過去にも類似事件 虐待を背景にした少年の犯行事例
少年が親を狙って自宅に放火した類似事例は過去にも存在する。
2006年に奈良県田原本町で起きた事件では、当時16歳の少年が自宅に油をまいて放火し、継母と異母弟妹(当時7歳と5歳)を焼死させた。
少年は父親から日常的な身体的・精神的虐待を受けており、教育面での厳しい体罰を恐れて犯行に及んだとされる。
少年は少年院送致となった。
2006年の東京都世田谷区の事例では、14歳の中学2年生が自宅マンションに放火し、生後2カ月の弟が死亡、両親もけがを負った。動機は父親から学校に行くよう厳しく叱られた恨みだったという。
過去に家庭内暴力で児童相談所や警察に通報された経緯もあった。
これらの事例に共通するのは、家庭内の暴力や虐待が長期化し、少年が相談先を見つけられないまま短絡的な手段に至った点だ。
今回の事件でも、少年の供述通りであれば同様の背景が考えられる。
警察の捜査結果と、今後の家庭裁判所での対応が注目される。
家庭内暴力の早期発見と子供が安心して相談できる仕組みの充実が、再発防止の鍵となる。



