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ミレニアル世代のこれからの働き方とB Corpの関係性

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撮影:加藤俊

殺伐とした会社の雰囲気。当たり前の長時間労働、激しい競争、信頼できないチームメンバー。日本社会において、このような有害と思われる労働環境で働く方はまだまだ多くいらっしゃいますよね。とはいえ会社の屋台骨を支えているのはミレニアル世代の皆さま。仕事を投げ出したり、簡単に諦めたりせず日々仕事に精を出しているのではないでしょうか。

今回は先日開催されたB Corp企業のイベントから見えた、これからのミレニアル世代の働き方について、自身の経験も踏まえ考えてみたいと思います。

B Corpとは

皆さん、B Corporation™️(以下、B Corp™️〈ビーコープ〉)という言葉を聞いた事がありますか?
分かりやすく表現すると『いい会社』を認証する国際的な制度という事なります。

世界では約6,000社が認定を取得しているものの、日本ではまだ20社。(2023年2月現在)筆者も当イベントに参加するまでは全く知りませんでした。メディアへの露出もまだまだ少なく、これから日本国内においても認知度が上がってくるような企業認証制度です。

【認証する団体とその背景】

アメリカの非営利団体B Labにより、社会的・環境的な活動と説明責任、透明性など高い基準を満たしていると認められた企業のみが認証を取得できます。

世界では多くの社会問題が定義されていますよね。政府やNPO・NGOだけでは解決することが難しいのが現実です。利益よりも公益を優先する企業を評価することで、よりダイレクトに社会に貢献する企業を増やしていきたいという狙いがあるようです。

【B Corpの評価基準を少し詳しく】

企業は利益を創出する為に活動しています。まずは、「利益第一」と考える方がスタンダードでしょう。一方でB Corpは公益性の高い5つの項目をどれだけ遵守しているかという点が評価の基準となります。

  • ガバナンス

社会や環境に貢献しているという事が「具体的に明文化」されているかどうか。また、それを実行できるかどうか、企業の遂行能力も評価する。

  • ワーカー

 給与、心身の安全と健康の確保、キャリア形成など、企業で働く全ての従業員の満足度やエンゲージメント等を評価。

  • コミュニティ

地域の人々の雇用や地域原料の活用。企業が活動する地域でのエンゲージメントや経済的貢献等を評価。

  • 環境

自然保護や再生するようなビジネスモデルが正しいオペレーションとなっているか。

サービス多様性・土壌・水・大気・気候などへの影響を具体的に問われる。

  • 顧客

 製品・サービスが社会や顧客の課題解決のために提供されているか。

利益を生み出す顧客は最後の項目です。経営者からすると「経費だけがかかり、儲からない仕組みだな」と思うかもしれません。しかし私はこの評価基準によって各人が新しい働き方を見いだす事ができ、現時点で経営者が見えていない発展にも繋がるものではと考えます。

Meet the Bイベント

本イベントは渋谷で行われました。

さて、ここで「Meet the B」イベントについて記載します。
2023年3月11日に日本で活動するB Corp認証企業全22社が出店し一同に会した参加型のフェアが開催されました。このようなイベントは初の開催との事。知名度の高い企業としてはアパレルのpatagoniaさん、ヨーグルトが有名なダノンさん、ネット通販のクラダシさん等が出席されていました。

ブースでは出展企業のお話を直接伺う事ができ、ステージでは社長さん同士のトークセッション。国内法人数が約370万社と言われている中、選りすぐりと言えるB Corp認証済み企業ですので、各方面に強い思いを持った会社さんばかりで、終始盛り上がりを感じるイベントとなりました。

【株式会社ovgo溝渕社長へインタビュー】

同社は2019年に創業、現時点で原宿や日本橋、東日本橋、軽井沢、京都、福岡と全国6店舗を展開しています。2022年11月にB Corp認証を取得しました。訪問した原宿店(明治通り店)ではヴィーガン仕様のクッキーの販売の他、お洒落な雰囲気の中コーヒーや紅茶、デザートを楽しめる空間を提供しています。

10代後半~20代前半の女性客が多く、ヴィーガンや環境にやさしいというコンセプトに加え「かわいい」「おしゃれ」といったイメージを先行させ若い女性を虜にしている印象がありました。

当の溝口社長ですが、経営と店舗販売員も行っており、約100名いる従業員と同じ目線で業務を行っています。好調な店舗展開も然る事ながらB Corp評価基準である「ワーカー」に対する思いを強く感じ取る事ができました。

ミレニアル世代の働き方

会場は多くの来場者が参加し、非常に盛り上がっておりました。イベントレポについては後日公開予定です!

さて、私たちミレニアル世代の普段のお仕事についてです。今のところB Corpの「ビ」の字も感じませんよね。少し皆さんの周りの方を思い浮かべてください。ご自身のお仕事の内容でも良いです。

若年ながらマネージャーに抜擢され出世街道まっしぐら、自身の範疇内で仕事を的確にこなしワークライフバランスを実践、転職や副業などで個人のキャリア形成を行う方。などなど、入社して十数年経過したミレニアル世代は、働き方一つを取っても選択肢が無数にあるように感じます。一方で閉塞感や過度なストレスに悩まされている方も多いではないでしょうか。

「今の仕事に満足していますか?」と聞かれたらどのように答えますか。良い回答もできますしその逆も然りです。長く社会で働いた故、現状とこれから、どのように働いていく事が良いのか迷いが生じます。流れに任せて過ごすのも良いかもしれません。しかし50代、60代になってからでは挑戦が難しくなる事も多いです。様々な選択肢を模索できる今だからこそ、これからの働き方を自身で確立させませんか。

【自身の転職エピソード】

私個人のお話を少しさせていただきます。34歳の頃、当時勤めていた会社の昇格試験に落ちてしまい、今後の自分について深く考えた時期がありました。結果、新しい事に挑戦したい思いが強くなり友人が経営する注文住宅の工務店に転職。これまで数千人が働く企業に勤めていたので、30人程のこの小さな会社はとても新鮮で刺激的なものでした。給与の不払いにより約10ヶ月で退職してしましたが、一つ大きな経験を積むことができました。

洪水被害に遭われたお客様宅を訪れた時の事。住宅再建にあたり市から補助金が出ることから工務店や住宅メーカーが被災エリアに殺到。各社が強力な売り込みをする中、私はお客様の建物周辺の片付けの手伝いや泥が入り込んでしまった室内の掃除を行いました。

販売したいが為に意図的に行ったわけではなく、何となく手伝った方が良いと感じたのと、転職間もなかったので十分な売り込みができる知識が無かった、なんて状況でもあり、何気ない会話や分かる範囲で住宅に関する質問に回答しながら数時間お手伝いをしました。

その後各社含め検討するとの事だったのでその場を後にしたわけですが、約2週間後、わざわざこちら側の事務所まで足を運んでいただき、深々とした御辞儀と私から住宅を購入したい旨のお言葉を頂きました。この時自身の働くという価値観が変わりました。

行動変容

管理体制や指示系統がしっかりしていると働く側は締め付けられている感覚が先行し受動的な行動が多くなります。一方でモノゴトを少し違う角度から眺め、各人が自分ゴトとして捕まえる事ができると一気にストーリーが動き始めます。これは流行の映画が見たくなる→見に行ったらめちゃくちゃ面白かった。といった行動パターンと似ており、仕事に対し自分自身が興味を持ち、深く内容について学び実践する。結果仕事が面白いと思える感覚になるのです。

これは一握りの人についての話では無く、ごくごく平均的な社員、派遣社員、役員であっても同じです。総務、財務、営業、販促、購買、業務部、部署も関係無く全ての人・組織が体感しうる事なのです。B Corp認証制度は行動変容のきっかけになります。

【新しい働き方、呼び水となるB Corp】

働きアリの集団にも見られる2:6:2の法則。ご存じのとおり、組織では優秀な上位が2割、平均的な中位の人材が6割、下位のグループが2割に分かれるという考え方です。要は企業の利益は2割の社員でたたき出しているという事。残り8割の貢献度は低いと考えざるを得ません。でも、その8割が何かのきっかけで各人の個性を活かし、能動的に動き、仕事に対してモチベーション高く取り組み始めたら面白いと思いませんか?行動変容が起きれば、元々の数が多いのであっという間にその優秀な2割の方々よりも数値を出す可能性があります。

例えば、DAO(分散型自立組織)やWeb3などが注目され始めたのも一極集中では無く、分散させた方が合理的だと考える人が増えたからではないでしょうか。

B Corp認証5項目に共通する内容は全てにおいて具体性を追求するという事。ここがポイントで、ボランティアをやるならほぼ全員が参加、地域コミュニティに参加するのであれば、地域に根ざした活動をしなければなりません。環境への貢献であれば、より具体的に分野とフローを示しつつ数値でも表現する必要があります。この具体性の追求が一つのきっかけになります。

最初は会社のミッションとしてイベントに参加する社員たち。これらの活動の中で自身の興味・関心のあることが選別されていきます。私の場合「本当にありがとう」という言葉。営業部門に従事する私は販売する事を第一目標とするのではなく、お客さんの「困っている事を解決してお礼を言ってもらいたい」という部分に注力しています。困っている状況を解決するには事前の入念な下調べが必要。このプロセスが楽しく、実際に課題を解決出来た際喜びはひとしおです。

最後にまとめ

これからの働き方は、様々な仕事をどれだけ自分ゴト化できるかという事。自分ゴト化が出来ると仕事がとにかく楽しくなるでしょう。

タスクをこなすだけではなく、タスクの背景にある意味を深く考える事で新たな行動に繋がります。その行動が新たな人脈を生み、一人・二人と同士が増えていきます。その連鎖が良い組織・良い会社を作っていくのです。もちろん数値面も伴うことでしょう。

あと何十年も働くわけですから、これからはとことん仕事を楽しみませんか。そのような働き方を確立させることが本当に重要だと思います。

そのきっかけの一つがB Corp認証にあります。皆さん、取得に向けて声を発してみませんか。まずは所属する部署内で。

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ライター:

1979年生まれ茨城県出身。帝国データバンク、注文住宅工務店の経験を得て 現職は大手印刷会社にて一般消費者の行動変容に関する業務に従事。

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