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山への恩返し26年、白馬五竜高山植物園が環境大臣賞。ライチョウと高山植物を守る取り組みが評価

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白馬五竜高山植物園が環境大臣賞を受賞。
画像出典:株式会社五竜 プレスリリース

スキー場が雪のない季節に始めた「山への恩返し」が、四半世紀を経て国に認められた。長野県白馬村で高山植物園を運営する株式会社五竜が、絶滅危惧種の高山植物保全やライチョウ保護増殖事業への協力を評価され、環境大臣賞を受賞した。

 

野生生物保護功労者表彰で環境大臣賞

同社によると、白馬五竜高山植物園は5月10日に開かれた「第80回愛鳥週間 令和8年度 野生生物保護功労者表彰」で環境大臣賞を受賞した。表彰は環境省と公益財団法人日本鳥類保護連盟が主催し、文部科学省と林野庁が後援した。

評価されたのは、高山植物の種子保存や増殖に取り組み、中部地域の高山帯に生息する絶滅危惧種の生息域外保全における重要な拠点となっている点だ。加えて、環境省のライチョウ保護増殖事業に協力し、飼育下繁殖に必要な高山植物の栽培体制を整え、担当者が各施設に出向いて栽培技術を支援していることも評価された。行政機関や他の園館と連携し、保全に関する会議や講演会、教育活動の拠点となっている点も認められた。

 

スキー場の「恩返し」から始まった26年

白馬五竜は、もともとスキー場運営から始まった。雪の降らない季節に山への恩返しとなる活動をしようと、2000年に高山植物の植栽活動をスタート。後に「白馬五竜高山植物園」と名づけられ、今年で創業26周年を迎える。標高1515メートルの山頂エリアに広がる日本最大級の高山植物園で、6月から10月にかけて300種以上、200万株の高山植物を楽しめる。

スキー場開発によって土地本来の植生が失われることのないよう、20年以上にわたり丁寧に管理して守ってきた歴史がある。冬は雪に閉ざされる山を、夏は希少植物の宝庫として生かす。観光事業と自然保全を両立させてきた歩みが、今回の受賞の土台にある。長野県はその地理的特性から、南北東西の異なる環境で生息する高山植物が国内で最も多様に植生する土地とされ、その貴重な植物を間近で観察できる場として同園は親しまれてきた。

 

減少する県鳥ライチョウを支える高山植物

環境省との取り組みは2017年から継続している。同年に白馬岳での植物調査と種子採取を実施して栽培を開始し、2020年には第2期ライチョウ保護増殖事業に参画して食草となる高山植物の提供を始めた。

長野県の県鳥でもあるライチョウの推定生息数は、1980年代の約3000羽から2000年代には約1700羽へと大幅に減少している。ライチョウが野生で生存するには高山植物を消化する特殊な腸内細菌叢が必要で、その形成のために飼育下で高山植物を給餌する必要がある。高山帯の生育地から採取する負荷を軽減するため、同園は園内で収穫した高山植物を動物園などへ提供している。2025年には地元の白馬高校の授業と連携し、生徒が収穫した高山植物を野生復帰予定の個体を飼育する施設へ届ける取り組みも行った。

 

自然共生サイト認定、続く地域への恩返し

白馬五竜高山植物園は2025年10月に環境省が定める「自然共生サイト」に認定され、株式会社五竜として「長野県SDGs推進企業」にも登録された。環境省や長野県、白馬村の方向性に沿った企業運営を意識し、地域にとっても自然にとっても恩返しとなる取り組みを続けるとしている。 観光で訪れる人を楽しませる場所が、同時に絶滅危惧種を守る拠点でもある。事業の収益基盤と自然保護が対立せず、むしろ支え合う関係を四半世紀かけて築いてきたことが、この受賞の意味するところだ。高山植物の保全は、専門的な栽培技術と長い時間を要する地道な営みだ。一企業がそれを四半世紀続け、ライチョウという象徴的な希少種の保護にまで貢献している事実は重い。雪山と高山植物という地域固有の資源を生かした白馬五竜の歩みは、観光地と自然保全の両立を考えるうえで示唆に富む。

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ライター:

Sacco編集・ライター。企業に直接出向く取材が中心。扱う記事はサステナビリティ、エンタメ関係が多め。

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