2023年5月15日に、「沖縄本土復帰の日にSDGs を考える」と題するイベントが開催されました。沖縄を代表する経済人や若手経営者を中心に、沖縄の持続的発展について議論が交わされたイベントの最後に実施されたのが、「ミス・ワールド・ジャパン2023 沖縄大会」でした。
「沖縄での社会貢献・CSR活動及びSDGs関連の活動支援の一環として、大会を開催しました」と語るのが、本イベントの仕掛け人であり、沖縄SDGs研究所の代表理事を務める小玉智仁さんです。ミスコンイベントとSDGsや企業のCRR活動はどう結びつくのか。大会の開催意図や沖縄SDGs研究所の今後の活動について小玉さんにお話を伺いました。
ミスコン出場者と地元の優良企業をつなげる
今回初めて、沖縄でミス・ワールド・ジャパンが開催されたそうですね。こうしたミスコンイベントと、SDGsや企業のCSR活動との関連について教えてください。
そもそも世界三大ミスコンの一つであるミス・ワールドは、社会貢献やSDGs の価値観を取り入れているため、SDGsとの関連はもとからありました。出場者はSDGsのどの目標に対して自身が貢献できるかについてプレゼンテーションを行います。例えば、住宅メーカーで働く出場者が、木の家は本当に良いのか?という切り口で森林伐採などの環境問題について訴えるわけです。
今回、大会に携わって実感しましたが、どの出場者も社会貢献活動に対する興味関心はとても高いです。しかし、問題はミスコン出場後、大半の出場者たちには具体的なアクションを起こす場やチャンスがほとんど与えられていないということです。せっかく、社会問題に対するアンテナが高く、英語力やコミュニケーション能力にも優れ、内面・外面ともに美しい彼女たちが自身の力を発揮することができないのは、非常にもったいないことです。そこで、思いついたのが彼女たちに沖縄の地元企業のCSR活動等を発信する媒体となってもらうことでした。
企業のCSRなどの活動を、ミスコン出場者に発信してもらうということですか?
そうです。沖縄出身のミスコン出場者が、地元企業のCSRや、IR情報や統合報告書を噛み砕いて発信したら面白いと思いませんか?少なくとも、私のようなおじさんが難しい顔で説明するよりも格段に注目は集められるはずです。しかも、ミス・ワールドの出場者であれば深い内容まできちんと網羅できる質の良い発信ができるでしょう。彼女たちと地元の優良企業をつなげることで、出場者には社会貢献活動の機会を、企業には自社の価値を発信する機会を創出したいというのがミス・ワールドを沖縄で企画した意図でした。
社会貢献やSDGsの情報発信で地元企業の価値を上げていきたい
出場者たちには企業のどんな情報を発信してほしいとお考えですか?
もちろん、出場者の興味関心領域である社会貢献領域の情報であればベストですが、それ以外でも定性的な価値はどんどん発信できればいいと思います。というのも、昨今のESG投資への関心度の高さからもわかるように、機関投資家は社会的価値の高いところに投資したいと考えています。しかし、現実では大企業の株式部の部長といった専門家であっても、担当企業の経営者や担当役員から定性的な価値をヒアリングするのは難しく、何度も足を運ぶ必要があるなど手間もかかります。企業としてもどうしても財務諸表の価値の優先順位が高いため、定性的な価値の発信は後手に回る傾向があります。彼女たちにはこうした数字以外の部分にも目を向けてほしいと思いますね。
沖縄の地元中小企業にも魅力はたくさんあるんですよ。例えば、経営者の高い志、社会貢献への強い意欲、イキイキと働く従業員や、地元民からの信頼など。ですが、そうした情報をうまく発信できていないため、投資家に見つけてもらえず、大きく発展できない。代わりに現在沖縄で潤っているのは、観光客を対象にサービスを展開する県外企業なんです。平たく言えば、県外のお客さんが沖縄で落とすお金を県外の大企業がもっていっている。
地元企業にもっと光を当てるためにも、沖縄SDGs総合研究所では地元の優良企業の定性的な価値をミスコン出場者などの力を借りながら発信していき、沖縄での地方創生を進めていきたいと考えています。今後もミスコンだけでなく講演会などの様々なイベントを企画・実施していき、SDGsやESG、社会貢献といった切り口で企業の価値を上げていくための情報発信をしていきたいと思いますので、引き続き見守っていただけますと嬉しいです。
プロフィール
小玉智仁 沖縄SDGs研究所代表理事。慶應義塾大学卒業後、中国への留学経験を経て、株式会社アイテクノコーポレーションを設立。主に中国自動車メーカーに対して設計開発、技術者派遣、経営戦略のコンサルティング業務を行う。その後、在京テレビ局にて新規事業開発、視聴者向けマーケティングリサーチシステムの営業戦略コンサルティング業務に携わる。現在は新規事業立ち上げを軸に地方創生、事業承継に携わると共に、企業の発信力を高めるメディア戦略を提案、SDGs的価値観をテーマに企業の定性的な価値向上の取り組みを行っている。