
「登録者200万人を祝うケーキがある」。その電話を受けて店へ向かった。だが、ケーキはなかった――。コムドットのやまとが、2021年に人気YouTuber31人が集まり大炎上した「31人飲み会」について、これまで表に出してこなかった参加までの経緯を明かした。
当時、コムドットは登録者200万人を突破したばかり。批判を浴び、動画投稿を自粛した。あれから5年、登録者は429万人。活動を止めるほどだった炎上を、今度は自ら「今だから言える裏話」として語った。200万人で謝罪した過去が、429万人では再び動画になる。5年間で変わったのは、登録者数だけではない。
200万人突破から8日後、「31人飲み会」が発覚
一旦振り返ろう。飲み会が開かれたのは2021年6月18日。YouTuber・あやなんの誕生日を祝うため、都内の飲食店に人気YouTuberら31人が集まった。当時の東京都には新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が出されていた。大人数で深夜まで飲酒していたことが報じられ、参加者への批判が一気に広がった。
コムドットからは、やまと、ひゅうが、マネージャーのぼんが参加したと報じられた。グループは動画投稿を一時自粛し、6月28日に謝罪。やまとは「心のどこかで調子に乗っていた」と認めた。登録者200万人を突破したのは6月10日。100万人からわずか約4カ月で200万人へ到達し、勢いに乗っていた最中だった。
実は一度断っていた やまとが明かした「あの夜」
それから5年以上が過ぎた9月14日。やまとは同じく人気YouTuber・タケヤキ翔とのコラボ動画で、「今だから言える裏話みたいなのもあって」と31人飲み会について話し始めた。ただし、「人を下げるためとか自己防衛じゃない」と最初に断っている。
当時のコムドットは登録者が1日に2万~3万人単位で増え、やまとによれば、睡眠2~3時間で撮影と編集を回す日々だった。知名度が急上昇し、先輩YouTuberからコラボや会食に誘われる機会も増えていた。31人飲み会には、よさこいバンキッシュのわきをから誘われたが、「行けない可能性が高い」と一度は伝えていたという。
「200万人のケーキある」 それなら断れなかった
その後、先輩から電話がかかってきた。「コムドットの200万人のケーキ用意しちゃってんの」。やまとは「そんなん、断るわけにいかないじゃないですか」と考え、「一瞬だけ顔出します」と店へ向かった。
ところが、店にケーキはなかった。やまとは先輩の「ノリ」「愛」と受け止め、軽口を交わして乾杯。そのまま店を出たという。外へ出た直後に写真を撮られ、後日、31人飲み会が報じられた。やまとは今回、当時を「フルボッコにされちゃって、びっくりした」と振り返っている。
「何が悪いの?」に母親は「全面的に悪い」
「一度断った」「短時間しかいなかった」「ケーキがあると言われた」。これだけなら、5年越しの釈明にも聞こえる。だが、やまとは自分の行動を正当化するところまでは踏み込まなかった。当時22歳だったやまとは、こうした事情があったため、報道直後には自分がそこまで批判される理由を十分に理解できていなかったという。
母親に「これ何が悪いの?」と聞くと、「あんた間違ってるよ」「お前が全面的に悪い」と返された。その後、さまざまな意見を読み、影響力を持つ立場として適切な行動ではなかったと考えるようになった。現在28歳のやまとも「コムドット悪くないぞとかそういうことではなくて」としたうえで、当時は「悔しかった」と率直に語っている。
なぜ5年前は「ケーキ」の話をしなかったのか
今回の告白で引っかかるのは、参加までの事情そのものより、それを2021年には前面に出さなかったことだ。当時のコムドットは「軽率な行動だった」と謝罪し、動画投稿を止めた。200万人祝いのケーキがあると言われたことや、短時間だけ顔を出したことは、今回のようには語っていない。
緊急事態宣言下で多くの人が外出や会食を控えていた2021年6月に、「誘われた」「短時間だった」と訴えても、責任逃れと受け止められた可能性はある。だからこそ興味深いのは、やまとが今回も「自己防衛ではない」と前置きしたことだ。5年たっても、事情の説明と責任逃れは紙一重であることを本人も意識しているように見える。
200万人では活動自粛、429万人では「裏話」
ここからが、この話の面白いところだ。2021年のコムドットにとって、31人飲み会は動画投稿を止めるほど大きな出来事だった。それが今回、タケヤキ翔とのコラボ動画で「今だから言える裏話」として登場する。同じ炎上なのに、5年前と今では置かれている場所がまるで違う。
YouTuberはテレビタレントと違い、自分の過去を自分のメディアでもう一度取り上げられる。失敗した出来事も、当時の舞台裏も、数年後に自らカメラの前で話せば一本の動画になる。今回も、31人飲み会そのものが新たに起きたわけではない。
「実はケーキがあると言われていた」という5年前の話が、新しいニュースとして再び流通している。
炎上は「傷」だけで終わらない時代になった
ネットの炎上は、消えないことが怖いとされてきた。名前を検索すれば過去の記事や写真が出てくる。いわゆる「デジタルタトゥー」だ。だが、発信する側から見ると別の顔もある。過去が消えないからこそ、数年後に本人が続きを語れば、もう一度視聴される題材にもなる。
もちろん、炎上すれば得をするという話ではない。批判で活動を止めたり、視聴者が離れたりすれば、その先はなくなる。重要なのは「炎上したか」だけではなく、その後も発信する場所と視聴者を残せるかだ。コムドットは31人飲み会の後も活動を続け、200万人だった登録者を429万人まで増やした。その結果、かつて活動を止めた出来事を、自ら振り返る側に回った。
5年前の炎上まで、コムドットのコンテンツになった
今回の「ケーキ」の話で、2021年の行動が書き換わるわけではない。緊急事態宣言下の飲み会に参加し、本人たちが謝罪した事実も残っている。それでも、200万人だった22歳のやまとが語れなかった経緯を、429万人を抱える28歳のやまとが自分の言葉で出したことで、31人飲み会には新しい情報が一つ加わった。
200万人では活動を止めた。429万人では、その炎上を自ら語る。YouTuberにとって過去は、消えない傷であると同時に、発信を続ける限り何度でも掘り起こせる題材にもなる。
コムドットの5年越しの告白が見せたのは、炎上の怖さだけではない。炎上後も生き残った発信者は、いつかその炎上まで自分のコンテンツに変えてしまうという、YouTube時代ならではのしたたかさだ。



