
原因施設とされた割烹こめをの経営者、こめお氏は11日、「正直、料理のことは考えていても、衛生管理についてここまで深く考えたことはありませんでした」と投稿した。
事故後の学び直しを示す文面だが、飲食店を営む側の前提として遅すぎる、という批判と呆れが広がっている。
投稿に集まった批判と呆れ
11日午前に投稿された次の文面である。
「今回の件をきっかけに、衛生管理について改めて勉強しています。正直、料理のことは考えていても、衛生管理についてここまで深く考えたことはありませんでした。「知らなかった」では済まされない。飲食店を経営する人間として、まず自分から変えます。
またご指摘いただいていた箇所に関しては段ボールの除去前の写真になるので、店舗から段ボール類は破棄しました。」学び直しと段ボール廃棄を報告する体裁だが、読まれたのは3文目だった。
祭りで不特定多数に出し、1歳児を含む78人の患者と従事者から菌が検出された後で、「深く考えていなかった」と認める形になった。
返信では「そんなことを言っている時点で無理」「知らなかったでは済まされない、は自分で書いている」との指摘が続いた。
9月10日に公開した消毒作業の写真も、帽子やマスクのない姿や段ボールが写り、「見直した証拠」が逆の証拠になったとの見方が出ている。
応援は知人や関係者を中心に少数あるが条件付きが多く、被害者対応と再発防止が先、という論調が優勢だ。
食中毒判明から現在までの対応
事案の起点は8月22日と23日の祭りである。
店内で調理し会場へ持ち込んだ冷やし蟹ラーメンを食べた人から下痢、腹痛、発熱が相次ぎ、9月3日に港区みなと保健所がサルモネラ属菌による食中毒と断定した。
患者は1歳から61歳の78人、51人が受診し3人が入院したが退院済み。
食品衛生法違反として、割烹こめをは3日から9日まで営業停止となった。
店側は謝罪し、再開は衛生体制の見直し後に判断すると発表。
混入経路は特定に至っていないとし、蟹やスープの可能性は低い、従事者2人から菌が出た、と説明した。
浅草のかにをは別法人のため処分対象外で、停止期間中も営業した。
出店予定だったイベントは取りやめになっている。補償は一件ずつ謝罪に回ると表明しているが、信頼回復に必要な工程の検証はまだ十分に示されていない。
なぜその感覚で店を開けたのか
日本で飲食店を出すハードルは、客が想像するほど高くない。
食品衛生責任者の講習を受け、保健所の営業許可を取り、2021年から全事業者に義務化されたHACCPに沿った一般衛生管理を行うのが原則だ。
温度管理、交差汚染の防止、従事者の健康確認、外装箱を厨房に持ち込まない、手洗いと器具の洗浄頻度は、味付けより前の作業である。
許可は「開いてよい」という行政上の最低ラインであり、「深く考えなくても始められる」という意味ではない。
祭り出店はさらに温度管理と時間が崩れやすい。
冷たい提供をうたいながら加熱と冷却の工程を外に持ち出す以上、通常営業以上に衛生が本体になる。
その前提を後回しにできる感覚で開業できたこと自体が、今回の批判の核になっている。
その意識だから起きた集団食中毒
サルモネラは加熱不足、二次汚染、従事者を介して広がりやすい。
患者全員の共通食が当該ラーメンであり、従事者からも菌が出た以上、工程か人の管理に穴があった可能性は高い。
本人が「料理は考えていたが衛生は深く考えていなかった」と述べたことは、事故原因の特定を待たずとも、優先順位の誤りを自己申告したに等しい。
消毒の写真やコンテナへの切り替えは再発防止の一部にはなるが、壁を拭くことと、仕込み、冷却、運搬、手、体調を管理することは別物である。
1店舗が祭りで出した1品で78人に達した規模は飲食店1件あたりの全国平均を大きく上回る。
港区で前例がないだけでなく、単一店舗の事案として全国的にも大きい。祭りの一過性では済まない。
営業を続けるなら、許可の有無ではなく、客の健康を最初に置く運用を第三者にも検証できる形で示す必要がある。
今の発信は、その入口に立ったばかりに見える。



