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クラファン「うぶごえ」未払い、山形鉄道が資産差し押さえも回収見えず 2700万円被害で刑事告訴も

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うぶごえ 公式X
うぶごえ 公式X

善意と共感を原資に、個人の夢や地域の再生を後押しする。そんな理想を掲げて広がってきたクラウドファンディング(CF)が、いま司法の場で問われている。プラットフォームに集まったはずの支援金が、運営会社で止まったまま起案者に届かない。

被害は地方鉄道から著名クリエイターの新作ゲームまで業界の垣根を越えて広がり、勝訴や刑事告訴にまで発展した。それでも回収の道筋は見えない。信頼だけを担保に成り立ってきた仕組みの脆さが、当事者たちの告発によって白日の下にさらされている。

 

「怒りしかありません」山形鉄道、勝訴し資産を差し押さえても回収は不透明

事態の深刻さを象徴する会見が、9月11日に開かれた。YBC山形放送などによると、ローカル線フラワー長井線を運行する第三セクターの山形鉄道は同日記者会見を開き、2025年に実施したCFで集まった約785万円のうち、これまでに振り込まれたのは65万円ほどにとどまると明らかにした。運転士の確保や育成に充てる予定だった資金の大半が、いまだ宙に浮いている。

山形鉄道は今年3月、CFを運営するうぶごえ株式会社を相手取り、債権差し押さえの民事訴訟と支払い督促に踏み切った。訴訟はすでに終了し、うぶごえの資産の一部差し押さえまで実現している。ところが、実際に支払われる金額は現時点でも不明だという。代表取締役の岡田一男氏個人への損害賠償請求は、いまも裁判が続く。中井晃社長は「支援者の厚意を踏みにじる行為と、不誠実な対応には怒りしかありません」と述べ、うぶごえ代表には責任について自ら説明する必要があると訴えた。勝訴してなお回収が見通せない現実は、この問題の根深さを物語る。

 

「1円も届かない」1093万円が未送金、業務上横領で刑事告訴

被害はゲーム制作の現場にも及ぶ。ビジュアルノベル「パーガトリー・ブルー」を手がける合同会社ネオンライト(X上ではcittan名義で発信するクリエイター・田中文久氏)は、うぶごえで485名から集めた10,935,092円が一切入金されていないと告発した。読売新聞の取材に田中氏は「未曽有の事態で許せない」と語っている。

田中氏がXで公開した経緯は、破られ続けた約束の記録でもある。2025年11月末の入金予定は履行されず、12月15日の入金も、代表から受領した誓約書に記された12月26日の入金も空振りに終わった。年明けには弁護士が内容証明を送付。2月5日の振込予定も守られなかった。以降、同社は渋谷警察署に業務上横領の疑いで刑事告訴の手続きを進めており、同署の知能犯捜査係で銀行口座の照会などが始まっているという。

 

イシイジロウ氏は2775万円未払い 被害は6団体以上に拡大

うぶごえを巡る未払いは、いまや個別の不運では説明できない規模に達している。読売新聞によると、ゲームクリエイターのイシイジロウ氏らの実写アドベンチャー「シブヤスクランブルストーリーズ」でも、集まった5475万円のうち約2775万円が未入金のままだ。岡田社長は面会したイシイ氏に「誤って別の取引先に振り込んでしまった」と釈明したが、覚書や公正証書を交わした後も入金は途絶えた。

朝日新聞によると、未入金を訴えているのは地方鉄道4社や寺院、ゲーム会社など少なくとも6つの企業・団体にのぼる。長良川鉄道は顧問弁護士から、裁判や刑事告訴をしても回収は見通せないとの見解を示されたという。うぶごえの公式サイトは4月中旬から閲覧できず、岡田社長は読売・朝日双方の取材に回答していない。

 

露呈した資金管理の欠陥と、それでも前を向く作り手

岡田氏は大手CAMPFIREの執行役員を経て、2020年にうぶごえを設立した人物である。掲載手数料を0%とし、手数料を支援者が負担する独自モデルで、個人クリエイターやエンタメ案件の支持を集めていた。だが「誤送金」という釈明そのものが、支援者から預かった資金が会社の一般資金と混ざり、分別管理されていなかった疑いを浮かび上がらせる。インターネット取引に詳しい早稲田大学の久保田隆教授は「これまで善意で成り立っていたCFにも法規制が必要ではないか」と指摘し、分別管理の義務化や履行保証金の積み立てを求める。

一方で、田中氏は資金が絶たれてもなお制作を止めていない。別のプラットフォームで実施した続行CFでは、目標50万円の3倍を超える約179万円が158名から集まった。うぶごえで約束したリターンも必ず届けると明言している。不誠実な運営と、約束を守り抜こうとする作り手。その対照こそが、いまCFという仕組みに突きつけられた問いの核心だと言えるだろう。

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ライター:

新聞社で記者としてのキャリアをスタートし、政治、経済、社会問題を中心に取材・執筆を担当。その後、フリーランスとして独立し、政治、経済、社会に加え、トレンドやカルチャーなど多岐にわたるテーマで記事を執筆

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