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榊英雄被告に懲役8年、「短すぎる」の声 俳優2人への性暴力で裁判所が認めた「立場の悪用」

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榊英雄 実刑 準強姦罪

「実刑でよかったと思うけど、とにかく刑期が短すぎて」。
映画監督の榊英雄被告(56)をめぐるSNSには、実刑を支持しながらも、懲役8年という刑期に疑問を呈する投稿があった。
最高裁は2026年11月4日付で上告を棄却。
1、2審が認定したのは、榊被告が、自身の監督作品への出演が決まっていた女性俳優2人に対し、演技指導などの機会を利用して計5回の性的暴行を加えたという事実だ。

 

最高裁が上告棄却、懲役8年へ

最高裁第2小法廷(岡村和美裁判長)が上告を退けたことで、準強姦罪で懲役8年とした判決が確定することになった。裁判官3人の全員一致。
決定が示した理由は「上告理由に当たらない」というものだった。
東京地裁は2026年3月に懲役8年を言い渡し、東京高裁も同年7月にこの判断を維持していた。

1、2審の判決によると、性的暴行があったのは2015〜16年。
被害に遭ったのは当時20代の女性俳優2人で、現場は東京都内の事務所やホテルだった。
認定されたのは計5回。2人は、いずれも榊被告が監督する作品への出演が決まっていた。
撮影に向けた関係がすでに始まっていたことが、女性たちの置かれた状況を理解するうえで重要になる。

 

「演技指導」で何が起きたか

「演技指導」と言われれば、出演を控えた俳優にとっては仕事の一環だ。
指導する側には、作品づくりや配役に関わる監督としての影響力がある。
その相手から性的な行為を求められたとき、拒んだあとも同じように仕事を続けられると思えるだろうか。

東京地裁は、女性たちが俳優としての活動に支障が出ることなどを恐れ、抵抗できない状態にあったと判断した。
榊被告もその状態を認識していたと指摘している。監督が演技を教える機会と、俳優が今後の活動への影響を心配する関係が重なっていた。
裁判所が悪質と評価したのは、その立場の差を榊被告が利用したことだ。

 

俳優から監督へ、告発で公開中止

榊被告は1970年生まれ、長崎県五島市出身。
古厩智之監督の青春映画『この窓は君のもの』で、オーディションを経て主演に選ばれた。
北村龍平監督の『VERSUS ヴァーサス』では脱獄囚と対峙する男を、『ALIVE アライヴ』では実験の対象となる死刑囚を演じた。
テレビでは『特命戦隊ゴーバスターズ』の司令官・黒木タケシ役でも知られる。

俳優業と並行して監督にも進出。
長編初監督作は『GROW 愚郎』で、ジョージ秋山の漫画を映画化した『捨てがたき人々』は2013年の東京国際映画祭コンペティション部門に正式出品され、翌年に劇場公開された。
俳優として出演する側から、自ら作品を作り、俳優を起用する側へと活動の幅を広げていた。

転機は2022年3月。『週刊文春』が、榊被告の作品やワークショップに関わった女性4人の告発を報じた。
同月25日に予定されていた監督作『蜜月』の公開はいったん中止され、榊被告が代表を務める会社も製作委員会から退会した。
2024年2月には警視庁が準強姦容疑で榊被告を逮捕した。
週刊誌が報じた告発は4人分で、今回の有罪判決が認定したのは2人に対する5件だ。

 

「同意があった」主張を退けた地裁

公判で榊被告側は「同意があった」と無罪を主張し、女性たちは抵抗できない状態ではなかったと争った。
地裁が重く見たのは、女性たちが拒んだ場合に、俳優としての活動に影響が及ぶと恐れていたことだ。
出演を控えた俳優が監督の求めに応じた経緯を、地裁は両者の関係や、その場で女性たちが抱いた不安を踏まえて判断した。

検察は、監督と俳優の立場の差を利用した悪質な犯行だとして懲役10年を求刑した。地裁は懲役8年。
高裁も、監督と俳優の立場の差を悪用し、女性たちの性的自由を大きく侵害したと評価したうえで、8年が重すぎて不当とはいえないと判断した。

 

SNSで「8年は短い」の声

「実刑でよかったと思うけど、とにかく刑期が短すぎて」「8年ね。短い」。
寄せられたSNS投稿には、執行猶予の付かない実刑を支持しながら、刑期には納得がいかないという声が多数。
被告の無罪主張に反発する投稿や、出所後の映画界への復帰に言及する投稿もあった。

量刑への疑問を考えるとき、焦点になるのは、監督の立場を悪用したことと、被害が2人に対する計5件に及んだことを、裁判所が刑期にどう反映したかだ。
公開報道では、高裁が被告側の控訴を退けた理由はたどれる一方、地裁が求刑の10年から2年短い8年を選んだ具体的な理由までは分からない。
仕事を失うかもしれないという恐れにつけ込み、性暴力を繰り返した。
その悪質さを、懲役8年はどこまで反映しているのか。「短い」という声が突きつけているのは、その問いだ。

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ライター:

千葉県生まれ。青果卸売の現場で働いたのち、フリーライターへ。 野菜や果物のようにみずみずしい旬な話題を届けたいと思っています。 料理と漫画・アニメが大好きです。

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