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セガの心臓 ALL.Net停止で全国のゲーセン筐体が沈黙、4日経っても復旧めど立たず

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画像:ALL.Netサービス情報X

ゲームセンターから、慣れ親しんだ電子音が消えて4日が過ぎた。カードをかざしても反応せず、画面はエラー表示のまま動かない。音楽ゲームもカードゲームも、軒並み遊べない状態が続いている。原因は、全国のアーケードゲームを支える基幹ネットワークへの不正アクセスだった。

株式会社セガ フェイブが運営する「ALL.Net」と「Aime」の停止は、一企業のトラブルにとどまらず、業界全体のインフラがいかに脆い一本の糸で吊られていたかを白日の下にさらしている。

 

セガの基幹ネットワークに不正アクセス、11月1日から全サービス停止

株式会社セガ フェイブは11月2日、同社が保有するサーバーの一部において、第三者による不正アクセスを受けたと発表した。狙われたのは、アーケードゲームネットワークサービス「ALL.Net」と、ユーザー認証システム「Aime」に関係するサーバーである。

同社は本件の発覚を受け、データ流出の有無と影響範囲の調査、そして安全性確認のため、11月1日15時より関連する各種サービスを停止した。ゲーム情報サイトの電ファミニコゲーマーによれば、停止されたのはALL.Net対応タイトルのオンライン環境でのゲームプレイ、Aimeを使用したゲームプレイ、PrizeONを利用したゲームプレイ、セガ ラッキーくじオンライン、SEGA IDの新規登録など、多岐にわたる。

ここで押さえておくべきは、ALL.Netという存在の大きさである。これは2004年にセガが構築したアーケード向けの基幹ネットワークであり、全国の店舗に置かれた筐体をインターネットにつなぎ、ソフトの更新やオンライン対戦、プレイヤーのデータ保存、全国ランキングといった機能を一手に担ってきた。つまりALL.Netは、現代のゲームセンターにとって血流を送り続ける心臓に等しい。その心臓が止まれば、接続を前提に設計された無数のゲームが、ただの箱と化す。

 

停止は4日目に突入——バンダイナムコ系タイトルにも波及

今回の停止が深刻なのは、被害がセガ製タイトルだけで完結しない点にある。同社の発表では、株式会社バンダイナムコエクスペリエンスが提供するALL.Net対応タイトルについても、同社や各タイトルの公式サイトを確認するよう促している。業界の二大陣営が共通のネットワーク基盤を分かち合っている以上、一方の障害はそのまま他方の障害へと直結する。

事態をさらに重くしているのが、復旧の遅れである。停止が始まったのは11月1日15時。それから四日目に入った11月5日の時点でも、終了時刻は未定のまま、サービスは止まり続けている。短時間のメンテナンスで済むものと高をくくっていた利用者も、日を追うごとに事の深刻さを理解していった。SNS上には「今ってほぼAllNETだからこんなになってるのか・・・早く復旧してほしいねぇ」と、現代のアーケードがいかにこの一つのネットワークへ依存しているかを言い当てる投稿や、「バンナムはゲーセンに何かしらの補填が必要やろこれ」と、他社をも巻き込んだ影響の大きさを案じる声が並んだ。

 

板挟みの店舗が謝罪、客からは「お店が謝る必要ないよ」の声

このトラブルで最も苦しい立場に置かれたのは、障害の当事者ではない現場の店舗だった。停止から4日目を迎えた11月5日の午前、あるゲームセンターの公式アカウントは、音楽ゲームの筐体がずらりと並んだ無人のフロアを写した写真とともに、「ゲームセンターの過酷な現状…お客様の皆様には大変御迷惑お掛けしています」と投稿した。遊べる台が限られ、閑散とした店内の光景は、障害の長期化がもたらす実害を、どんな説明よりも雄弁に物語っていた。

自らに非がないにもかかわらず頭を下げる店舗の姿に、利用者からは逆に擁護の声が集まった。「お店が謝る必要ないよ…」「お店が1番大変な状況で ご迷惑をお掛けしてますという ひと言が本当に偉いと思う」。原因を作ったのは店舗ではなく、基幹サービスを握る側である。それでも矢面に立たざるを得ないのが、末端の現場なのだという構図が、ここには透けて見える。

一方で、接続を要しない旧型タイトルが動き続けている様子を英語で報告する海外ユーザーもいた。ネットワークに依存しない遊びの価値を、皮肉にも長引く障害が再発見させる形となっている。

 

「不正アクセス」への警戒と、繰り返される歴史

セガグループが不正アクセスの標的となるのは、今回が初めてではない。2014年には商品情報を扱う複数の公式サイトが不正アクセスを受けて閲覧停止に追い込まれ、2019年には「maimai動画作成サービス」で最大3255件のアクセスコードが流出した可能性が、セガ・インタラクティブから公表された。人気コンテンツを数多く抱える企業であるほど、攻撃者にとっては格好の的となる。その宿命から、同社もまた逃れられずにいる。

もっとも、今回の対応には評価すべき冷静さもある。同社は初期調査の段階で、顧客および取引先に関する情報のデータ流出は確認されていないと説明した。クレジットカード情報を含む決済情報については、不正アクセスを受けたサーバーには保有しておらず、本件による影響はないとしている。被害を過小評価するでもなく、いたずらに危機感を煽るのでもなく、現時点で確認できた事実を切り分けて示す姿勢は、前述の店舗の真摯な一言と同様、信頼をつなぎ留める糸となりうる。

 

利便性の代償——集約が生んだ単一障害点

4日に及ぶ停止が突きつけたのは、効率を追い求めて機能を一点に集約してきたことの代償である。全国の筐体を一つのネットワークで束ねる仕組みは、運営の手間を劇的に減らし、オンライン対戦や全国ランキングという新たな遊びを生んだ。その恩恵は計り知れない。だが集約が進むほど、その中枢が止まったときの被害は広く、深く、そして長引く。一本の糸が切れれば、ぶら下がっていたすべてが落ちる。

攻撃を完全に防ぐことが難しい時代にあって、問われるのは、止まったあとにいかに早く、いかに誠実に立ち直れるかである。セガ フェイブは今回の事態を重く受け止め、情報セキュリティー対策の一層の強化を図るとしている。無人のフロアに再びあの電子音が戻る日を、現場の店舗もプレイヤーも、静かに待ち続けている。

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ライター:

新聞社で記者としてのキャリアをスタートし、政治、経済、社会問題を中心に取材・執筆を担当。その後、フリーランスとして独立し、政治、経済、社会に加え、トレンドやカルチャーなど多岐にわたるテーマで記事を執筆

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