むしろ石井さんがいなければ、私も「日本向けにB Corpをやろう」とは考えなかったかもしれません。
B Corp認証では、財務データをベースに評価する従来の企業評価とは全く異なる切り口で「良い会社」かどうかを評価します。
認証を受けるには、使用エネルギーをCO2換算するとどのくらいになるか、水の使用量はどうかなど、細かいデータの開示が必要です。
社会軸では、寄付金の額だけでなく、実際にどういう活動をしたのか、それによってどのようなインパクトを想定しているのかをモニタリングしなければなりません。
そのうえで、経営陣と会社全体の情報共有も求められます。
日本の企業だと、仮に経営者が関心を持ったとしても、担当者レベルで「そんな細かいことは調べられない」と反発にあうことが想像されました。
このため、B Corp認証制度を運営する非営利団体B Labの創設者の1人コーエン・ギルバート氏の話を聞いて「すごい評価システムだ」と衝撃を受けたものの、すぐに「具体的に何かしよう」とは考えませんでした。
でもふと、石井造園のことが思い浮かび、石井さんに相談してみたのです。
石井さんは謙遜されていましたけれど、石井造園さんこそ、横浜市内では最先端のCSR推進企業。
B Corp認証の有無にかかわらず、すでに素晴らしい実績があるので、認証はそれに箔をつけるぐらいの意味でしかない。
しかも造園業は完全にローカルなので、はたして国際的なB Corp認証なんてものが合うのかどうか……「石井造園には必要ないかもしれない」と思いつつ、話をしてみました。
すると、石井さんから「ぜひやろう」という答えが返ってきました。石井さんはそのとき、「当社の仕事は、地元のご家庭の植木を整えたり、地元企業の庭園や道路の街路樹を整理したりする仕事。
でも、それに携わる社員の意気を高めるには、こういうグローバルな認証を取得していることがすごく重要だと思う」と語られました。
そこで早速、「ではやりましょう!」と手続きに着手したというわけです。