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朝メシは「ファミマ一択」? 395円→250円、物価高で始まったコンビニの“価格破壊”

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ファミリーマート
DALLーEで作成

物価高で食品の値上げが続くなか、ファミリーマートが逆方向に動いた。9月15日に始めた「朝ファミマのコンビ割」では、午前5時から11時まで、おむすびまたはパンと対象飲料のセットが一律250円。組み合わせによっては通常395円から145円も安くなる。

最大約37%引き。それでもファミマが250円に踏み切ったのはなぜか。ローソンも朝のセット割を始めるなか、コンビニ各社の競争は「何を売るか」から、「毎朝どの店に寄ってもらうか」へ動き始めている。

 

395円を250円にしてでも、2品買ってほしい

今回の特徴は、単品を安くするのではなく、「組み合わせ」を安くしたことにある。

対象のおむすびは198~235円、パンは150~210円、飲料は129~160円。たとえば235円の「手巻 紅しゃけ」と160円のラテなら、本来395円のところ250円になる。145円引きだ。一方、150円のパンと129円のお茶なら通常279円で、値引きは29円にとどまる。

同じ250円でも、値引き幅は大きく違う。それでも価格をそろえた。ファミマの狙いはここにある。

売りたいのは、安いおむすび一個ではない。「主食と飲料をセットで買う」という朝の買い方そのものだ。おむすびだけ買って帰る客より、おむすびと飲料を一緒に選ぶ客を増やす。そのためなら、最大145円の値引きも、翌日以降の来店を増やすためのコストになる。

 

5月の「お茶無料」から4カ月で変わったもの

ファミマが朝のセット販売を試すのは今回が初めてではない。2026年5月には、午前5時から11時まで、おむすび2個と対象のお茶を買うと、お茶が実質無料になる「朝トク!キャンペーン」を実施している。このときは「おむすび2個を買えば、お茶がお得」という仕組みだった。今回は、おむすびだけでなくパンも対象にし、飲料も茶、紅茶、コーヒーまで広げた。組み合わせは117通り。それをすべて「250円」という同じ価格にまとめている。

5月は商品の組み合わせを促すキャンペーンだった。今回は一歩進み、「朝食にいくら払うか」までファミマ側が提示している。

コンビニでは通常、商品ごとの値段を見て買う。おむすびが200円、コーヒーが150円なら合計350円。商品を替えれば支払額も変わる。しかし今回のファミマでは、対象商品から選べば250円だ。客が覚えるのは「鮭おむすびはいくらか」ではなく、「ファミマなら朝食が250円で済む」という数字になる。価格を商品の特徴ではなく、店を選ぶ理由に変えようとしている。

 

117通りは「毎日使わせる」ための仕掛け

一律250円にするだけなら、対象商品は数種類でも成り立つ。それでもファミマは、主食13種類、飲料9種類、117通りの組み合わせを用意した。

理由は分かりやすい。毎日使ってもらうには、安さだけでは足りないからだ。

月曜日は鮭おむすびと緑茶、火曜日はパンとコーヒー、水曜日は別のおむすびとラテ。同じ250円でも中身を変えられる。一度試してもらうだけなら、ここまで選択肢を増やす必要はない。117通りという数字から見えるのは、「何人来たか」より「何回来てもらえるか」を重視する発想だ。250円で最初の利用を促し、選択肢の多さで繰り返し使わせる。価格と品ぞろえを組み合わせて、朝の習慣そのものを取りにいっている。

 

物価高なのに、なぜ250円まで下げられる?

原材料費や物流費、人件費が上がるなか、通常395円になる朝食を250円にする。最大145円引き、約37%の値下げだ。値上げが珍しくなくなった今、ファミマはなぜ逆方向に動けるのか。

仕組みを見ると、すべての商品を145円安くしているわけではない。値引き額は組み合わせによって29円から145円まで変わり、対象商品も時間帯も限定されている。さらに、単品ではなく「主食+飲料」の2品購入が条件だ。ファミマは今回、値引きによる販売増や原価への影響を公表していないため、250円でどこまで利益を確保できるかは分からない。ただ、店全体を値下げするのとは大きく違う。値引きする場所を「朝のセット購入」に絞ることで、価格のインパクトを大きくしながら対象を限定している。

ここには、物価高だからこその狙いもある。食品価格が上がり、消費者が「朝食にいくらかかるか」を気にするようになれば、「250円」という固定価格は以前より強い集客材料になる。最大145円を値引く一回の会計だけを見れば収入は減る。しかし、それをきっかけに朝の来店回数が増えれば、店との接点そのものが増える。ファミマは物価高に逆らって全面値下げするのではなく、価格に敏感になった消費者を朝の250円で呼び込もうとしている。

 

朝だけじゃない ファミマが相次いで値下げする理由

ファミマの値下げは朝だけではない。9月22日からは「直巻おむすび」4種類を11円値下げする。具材量や仕様は変えず、「直巻 焼しゃけ」は税込198円から187円になる。さらに9月29日には税込158円のおむすび3種類も投入する。単品そのものを安くする。組み合わせ購入も安くする。そして今回は、「朝食は250円」と総額まで分かりやすくした。

ばらばらに見えるが、方向は同じだ。「コンビニは便利だが高い」というイメージを、「選び方次第では安い」に変えようとしている。

ファミマは創立45周年で「いちばんちょっとおトク」を掲げている。スーパーのように店内すべてを安くするのではなく、朝食、おむすび、ホットスナックなど、利用頻度の高い場面ごとに「得」を作る。全面的な価格競争ではなく、客がよく使う時間帯と商品を狙って値ごろ感を出す戦略だ。

 

ローソンも朝に動く 次はセブンか

朝の客を狙っているのはファミマだけではない。ローソンも9月8日から21日まで、午前5時から10時59分にベーカリーと「MACHI café」の対象商品を一緒に買うと30円引きになるキャンペーンを展開している。ファミマは250円という固定価格。ローソンは30円引き。方法は違うが、両社とも「朝」「主食+飲料」「セット購入」という同じ場所で勝負している。

朝は会社員や学生がほぼ同じ時間に、同じ経路を通る。そこで一度「ここで買う」が習慣になれば、その後も同じ店を使う可能性が高まる。だから朝の一回は重い。

注目したいのは、ここから他のコンビニがどう動くかだ。ローソンはすでに朝のセット割を打ち出している。セブン―イレブンを含む他社が、固定価格の朝食セットや、より踏み込んだ値引きを仕掛けるのかも見極めたい。

ファミマの250円が一社のキャンペーンで終わるのか。それとも、「朝食はいくらで買えるか」を各社が競うきっかけになるのか。競争が広がれば、変わるのはおむすびの値段だけではない。これまで「近いから選ぶ」ことが多かったコンビニが、「朝食予算」で選ばれる時代に入る可能性がある。250円という数字は、その入り口になりそうだ。

 

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ライター:

Webライター。きれいごとだけでは済まない現実を、少し距離を置いて綴っています。

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