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「フライドチキンが生肉」尼崎・アル・プラザつかしんの惣菜 保健所視察・購入者全員に連絡の事態に

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グンゼタウンセンター つかしん【公式】 インスタグラム
画像出典:グンゼタウンセンター つかしん【公式】 インスタグラム

夕食の総菜として何気なく買い求めたフライドチキン。その一つを割ってみると、衣の内側からのぞいたのは火の通らない赤い肉だった。

兵庫県尼崎市のスーパー「アル・プラザつかしん」で起きたこの出来事は、一枚の写真とともにSNSへ投稿されるや瞬く間に拡散し、表示回数は2700万回を超えた。食の安全という誰にとっても身近な問題が、いま大手流通グループの店頭で問われている。

 

割ると赤い断面 一枚の写真が呼んだ2700万回の衝撃

問題の商品は、アル・プラザつかしんの惣菜売り場で販売されていた「12種スパイス香る!フライドチキン」。税込430円のこの一品を購入した客がXに投稿した写真が、すべての発端となった。

投稿によると、こんがりと揚げ色のついた外見とは裏腹に、かじって断面を見ると内部の肉は生々しい赤みを帯びたままだった。「つかしんのアルプラザでフライドチキン買うたら生肉やった」という短い一文とともに公開されたその画像は、多くの利用者に強い衝撃を与えた。

反応は爆発的だった。リポストは8600件、いいねは9万件を超え、表示回数は2700万回超に達した。アル・プラザは滋賀県に本拠を置く平和堂グループが展開する大型店で、地域に根ざした存在として親しまれてきただけに、「まさかあの店で」という戸惑いの声も少なくなかった。

 

カンピロバクター食中毒への懸念と晒す是非をめぐる論争

投稿を見た利用者の間で、まず広がったのは健康被害への懸念である。加熱不十分な鶏肉といえば、真っ先に想起されるのがカンピロバクターによる食中毒だ。

投稿には、「カンピロバクターは忘れた頃に症状が出てくるので、2週間くらいは気をつけて」と、潜伏期間の長さを踏まえて体調を案じる声が寄せられた。中には、知人がカンピロバクターから合併症のギラン・バレー症候群に移行し、歩けなくなって1年間入院したという体験を挙げ、「鶏の生肉は本当にトラウマ」と警鐘を鳴らす投稿もあった。投稿者本人も、かじった部分をそのまま口にしていたとみられ、事態の深刻さがうかがえる。

一方で、企業の不備をSNSで公開すること自体の是非をめぐっては、意見が分かれた。「すぐに晒さず、まずは店へ連絡を」と冷静な対応を促す声がある一方、日本企業は外から指摘されなければ内々で握り潰してしまう、として投稿を支持する声も目立った。飲食の現場を知るとみられる利用者からは、揚げる時間が短い、フライヤーに入れすぎて熱が通っていない、といった想定される原因が具体的に列挙され、「他の客への注意喚起として公益性があり、この投稿は妥当」との擁護も上がった。

 

店側が認めた調理工程の不備 保健所視察と購入者全員への連絡

騒動が単なる憶測で終わらなかったのは、投稿者がその後、店側と直接やり取りした経緯を報告したためである。

投稿者がXにまとめた要点によると、店側は今回の原因について、調理工程が守られていなかったことを認めたという。すでに問題の投稿は店側も把握しており、行政による保健所の視察も行われた。さらに店は、ポイントカードの購入履歴をたどってフライドチキンを買った客全員に連絡を取ったとされ、その過程で、ほかの購入者の手元にも中身が生のままの商品があったことが明らかになったという。

一人の投稿から始まった指摘が、店側の非を引き出し、被害の広がりまで浮き彫りにした形だ。SNSでの可視化が、埋もれていたかもしれない食品事故を表面化させたと言える。

 

中食・惣菜に潜むリスクと、SNSが担う消費者防衛の功罪

調理済みの総菜を購入して家庭で食べる中食は、共働き世帯の増加などを背景に、いまや食卓に欠かせない存在となっている。スーパーの惣菜売り場は、その利便性ゆえに厚い信頼のうえに成り立っている。消費者は、店頭に並ぶ商品が適切に加熱され、安全であるという前提を疑わない。

しかし今回の一件は、その前提が現場の工程管理次第で容易に崩れうることを突きつけた。大量調理の現場では、揚げ時間や油温のわずかな管理の緩みが、そのまま加熱不足という重大なリスクに直結する。だからこそ、企業側には工程の徹底した順守と、異常が疑われた際の迅速で誠実な対応が、これまで以上に求められる。

同時に、今回は消費者一人の投稿が事態を動かした事例でもある。泣き寝入りせず、声を上げ、連帯する。その動きは企業に緊張を強いる一方、真偽の検証を欠いたまま拡散が独り歩きする危うさもはらむ。事実に基づく告発と、無責任な糾弾との線引きが、これまで以上に問われる時代に入っている。

食の安全は、企業の品質管理と消費者の目、その両輪で守られる。今回の騒動を一過性の炎上で終わらせるのか、それとも店頭に並ぶ一品への信頼を取り戻す契機とするのか。平和堂グループの今後の対応が注視される。

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ライター:

新聞社で記者としてのキャリアをスタートし、政治、経済、社会問題を中心に取材・執筆を担当。その後、フリーランスとして独立し、政治、経済、社会に加え、トレンドやカルチャーなど多岐にわたるテーマで記事を執筆

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