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カルビー白黒ポテトチップスが北海道に登場 “売名行為”批判も呼んだ包装変更の本当の狙い

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白黒 ポテトチップ
DALLーEで作成

北海道のコンビニに、白黒パッケージのポテトチップスがついに並んだ。見慣れた色が消えた袋は、単なるデザイン変更ではない。中東情勢を背景にした原材料の調達不安が、包装資材や食品価格を通じて、私たちの買い物にまで届き始めている。

 

 

北海道の店頭に白黒ポテトチップス 売り場で目を引いた“異変”

5月29日夕方、北海道札幌市内のコンビニエンスストアに、白と黒の2色で印刷されたカルビーのポテトチップスが並んだ。

赤や黄色、緑のパッケージがぎっしり並ぶ菓子売り場の中で、その袋は不思議なほど目立っていた。色を減らしたはずなのに、視線はむしろそこへ吸い寄せられる。いつもの棚の一角だけが、急にモノクロ写真になったような違和感を放っていた。

カルビーは、中東情勢の緊迫化に伴い、一部原材料の調達が不安定になっているとして、ポテトチップスやかっぱえびせん、フルグラなど一部商品のパッケージを2色印刷に切り替えた。商品の品質に影響はなく、安定供給を優先するための対応だ。

消費者にとって、ポテトチップスの袋の色は味の記憶と結びついている。うすしお、コンソメ、のりしお。文字を読む前に、色で選んでいた人も少なくない。その色が消えたことは、売り場に現れた小さな異変であり、同時に生活の変化を知らせるサインでもある。

 

なぜ白黒になったのか 背景にあるナフサ不足

今回の背景にあるのが、石油化学製品の基礎原料となるナフサだ。ナフサは、プラスチック、包装フィルム、容器、インク、接着剤など、暮らしの中のさまざまな製品につながっている。

普段の買い物で、ナフサを意識することはほとんどない。しかし、食品は中身だけで店頭に並んでいるわけではない。袋に包まれ、印刷され、箱に入れられ、運ばれて、ようやく棚に届く。そこに使われる資材のどこか一つが不安定になれば、価格や供給に影響が出る。

白黒ポテトチップスは、その見えにくかった仕組みを一気に可視化した。袋の色が減っただけで、消費者は「包装もまた資源でできている」という事実に気づかされる。

 

「売名行為」なのか 白黒化が広げた企業判断への視線

一方で、この判断には批判的な見方も出た。白黒パッケージ化については、一部で「売名行為ではないか」「過剰反応ではないか」といった声も伝えられている。物資不足への不安が広がれば、消費者心理や企業活動にも影響するため、過度な懸念を避けたいという見方が出るのは自然でもある。

ただし、カルビー側の説明では、白黒化は奇をてらった販売策ではなく、商品の安定供給を優先するための対応とされている。値上げや減量ではなく、まず包装の仕様を見直す。そこには、商品そのものを届け続けるために、何を変え、何を守るのかという企業判断がある。

この判断の背景には、2023年にカルビー社長兼CEOに就任した江原信氏の経営感覚もあるとみられる。江原氏は慶應義塾大学卒業後、伊藤忠商事、ジョンソン・エンド・ジョンソンを経てカルビーに入り、グループ会社の社長やカルビー副社長などを歴任してきた。商社、外資、食品メーカーを歩いてきた経歴を考えれば、今回の白黒化も単なるパッケージ変更ではなく、供給網の揺らぎに対する実務的な判断として見ることができる。

もちろん、消費者がすべてを好意的に受け止めるとは限らない。白黒化が大きく話題になれば、結果として広告効果のように見える面もある。だが重要なのは、目立ったかどうかだけではない。色を減らしても中身を守り、供給を続けようとした判断を、消費者がどう見るかである。

 

白黒はかえって目立つのか 売り場で生まれた逆転効果

白黒パッケージには、意外な効果もある。カラフルな商品が並ぶ売り場では、色を減らした商品がかえって目立つのだ。

赤や黄色が並ぶ中に白黒が置かれれば、消費者は一瞬、目を止める。新商品なのか、限定品なのか、それとも何か理由があるのか。そんな小さな疑問が、手に取るきっかけになる。

実際、今回の白黒化は大きな話題になった。売り場の違和感そのものがニュース性を持ったといえる。

ただし、この効果は長く続くとは限らない。最初は珍しさで注目されても、味の違いを色で見分けにくくなれば、買い物のしやすさは下がる可能性がある。白黒パッケージは目立つ一方で、ブランドが長年積み上げてきた「色の記憶」を一時的に手放す選択でもある。

 

あなたなら買うか 白黒パッケージが突きつける選択

では、店頭で白黒のポテトチップスを見たとき、あなたなら買うだろうか。

おそらく、最初の一度は手に取る人が多いはずだ。見慣れた商品がいつもと違う姿で並んでいれば、「中身は同じなのか」「味は変わらないのか」「なぜ白黒なのか」と確かめたくなる。話題の商品を一度買ってみたいという気持ちも働くだろう。

一方で、日常的に買い続けるかどうかは別の問題だ。価格が変わらず、中身も同じであれば、包装を簡素にしてでも商品を届けようとする企業姿勢に好感を持つ消費者もいる。反対に、色で味を判断していた人にとっては、白黒の袋はわかりにくい。急いで買い物をしているとき、いつもの味を探す手間が増えれば、別の商品に手が伸びる可能性もある。

つまり、白黒パッケージは「珍しいから買う」効果と、「わかりにくいから迷う」リスクを同時に抱えている。企業にとっては、話題化だけでなく、消費者が迷わず選べる工夫も問われる。

 

影響は菓子売り場だけではない 各地に広がる包装資材高騰

ナフサ不足の影響は、菓子売り場だけにとどまらない。各地では、果物の出荷用パック、食品トレー、パンを包む袋、持ち帰り用のプラバッグなど、さまざまな包装資材の価格上昇や調達不安が伝えられている。

包装資材は、単なる入れ物ではない。商品を傷つけず、見栄えを保ち、消費者の手元まで届ける役割がある。袋や容器が不安定になれば、最終的には価格、内容量、販売方法、さらには買い物のしやすさにも関わってくる。

さらに、パン店などでは小麦価格の上昇も重なる。輸入小麦の価格、物流費、人件費、電気代。そこに包装資材の高騰が加われば、パン一つにかかるコストはじわじわと膨らんでいく。値上げはもはや原材料だけの問題ではなく、商品をつくり、包み、届ける仕組み全体の問題になっている。

 

食品値上げの波 白黒の袋が問いかけるもの

6月の飲食料品値上げは1000品目を超える。調味料や加工食品など、日常的に使う食品も多く含まれている。これまで食品値上げと聞くと、小麦、卵、油、砂糖といった中身の原材料を思い浮かべる人が多かった。しかし、今回の問題が示したのは、袋や容器、印刷インクといった「見えないコスト」も価格に影響するという現実だ。

白黒ポテトチップスは、色を失った商品ではない。むしろ、普段は見えなかった社会の仕組みを、鮮明に浮かび上がらせた商品だ。

中東情勢、石油化学製品、包装資材、食品値上げ、家計負担。遠く離れているように見える出来事が、北海道のコンビニの棚で一本につながった。

見慣れた袋から色が消えたとき、私たちは初めて気づく。便利で豊かな日常は、無数の資材と物流に支えられていたのだと。

北海道の店頭に並んだ白黒のポテトチップスは、単なる珍しいパッケージではない。物価高と供給不安の時代に、企業が何を守り、消費者が何を受け入れるのかを問いかけるサインでもある。

 

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ライター:

Webライター。きれいごとだけでは済まない現実を、少し距離を置いて綴っています。

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