
未利用の国産広葉樹をいかに価値ある製品へ変えるか。飛騨産業は官民連携の研究を通じて小径材や異樹種を家具へ昇華させ、山への還元と里山再生を目指す。
国産広葉樹の利活用を阻む壁と新たな研究採択
日本の森林は豊かだが、家具などに使われる国産広葉樹はわずか5%未満にとどまる。細い材や曲がり材、多様な樹種が混在し、従来の製造ラインに乗せにくい点が大きな理由だ。
この課題に対し、飛騨産業は森林総合研究所らと共同研究を立ち上げた。国の支援事業に採択された本取り組みでは、未利用の広葉樹を活かして山と産業を循環させる仕組みづくりに挑む。
伝統技術とデザインが創出する独自の加工アプローチ

飛騨産業は、扱いにくい木のクセを技術とデザインで価値へ転換する。細い木を繋ぎ合わせる曲木技術や色むらを抑える調色技術を開発し、定番製品へ応用する。
さらに、複数の樹種を重ね合わせた積層材の切削や、短い材を活かす縦継ぎデザインなど、素材の個性を引き出す加工を追求する。丸太の選別基準策定にも協力し、供給体制も整えていく。
100年の歩みに裏打ちされた「森と歩む」思想
同社は100年前の創業期から、当時不要とされたブナを活用するなど、未利用材の価値化を重ねてきた。2000年代にも国産スギの圧縮家具を世界へ発信するなど、一貫した実績がある。
「森と歩む」を掲げる同社は、温泉熱を利用した木材乾燥など地域資源の循環を徹底する。今回の研究も、単なる素材調達を超えた環境保全への必然的な試みといえる。
「飛騨モデル」が提示する森林循環の未来
本取り組みの鍵は、技術を自社に閉じず全国へ広める視点にある。2030年までに自社の国産材比率を30%へ高めると同時に、技術や基準を「飛騨モデル」として業界全体へ波及させる。
未利用材が高値で流動すれば、山側へ適正な利益が還元され、里山の適切な整備が進む。モノづくりを通じて経済と環境の循環を生むアプローチは、今後のビジネスの先進事例となる。



