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ESGマネジメントの7つの罪

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2021年12月13日

ESGマネジメント

近年、効果的な環境・社会・ガバナンス(ESG)戦略がもたらす長期的な成功の機会を認識する企業が増えています。投資家、顧客、従業員、地域社会などのステークホルダーからの期待の高まりは、ESGに関する取り組みのパフォーマンスの高さが、資本、人材、ビジネスチャンスへのアクセス改善につながることを示しています。

企業は、自社のESGポジションを向上させたいと考えていますが、中には行動計画を立てることが困難な企業もあります。ESGという言葉は、やや漠然としており、サステナビリティや企業の社会的責任といった、似て非なる言葉と混同されることがあります。また、ESGの課題は多岐にわたるため、企業が重要な課題を理解し、優先順位をつけることは困難です。一部の企業は、断固とした行動を取ることができず、ESG課題への取り組みを段階的に行おうとするため、同業他社に遅れをとってしまう場合もあります。また、多大な努力にもかかわらず、成果や評価を得られない企業もあります。

このように、複雑で進化し続けるESGの状況をうまく乗り切るために、企業は機会損失につながるようなアプローチを避ける必要があります。この記事では、そのような誤ったアプローチである「ESGマネジメントの7つの罪」について説明します。これらは、企業がESG課題に対処しようとする際に犯しがちな間違いです。良くてもその努力が評価されず、最悪の場合、企業が大きなリスクにさらされることになります。

(この記事は”Harvard Law School Forum on Corporate  Governance

(https://corpgov.law.harvard.edu/)”からの引用・要約です)

【ESG経営の7つの罪】

以下は、ESG課題の管理に取り組む際に、企業が陥りやすい誤解や問題のある慣行で、重大な落とし穴につながる可能性があるものです。これらの慣行に共通するのは、企業固有の重要課題に焦点を当てた上で作成されるべき、組織の事業目的と合致するような目的主導型の戦略がないことです。逆に、効果的なESGプログラムの開発には、取締役会と経営陣が主導し、会社全体に伝達される意識的な取り組みが必要となります。

罪1:格付けに過度にこだわる

一部の企業では、ESG格付け機関による格付けが向上することを、ESGに関する活動の目的とみなしてしまっています。会社の格付けを向上させることだけに焦点を当てた企業のアプローチは、本来向かうべき会社独自の見通しやリスクへのエクスポージャーに合わせた戦略開発の代わりに、単に格付け会社向け調査書の回答に多くのリソースを配分しがちです。

ESG格付けは、企業が重要課題の潜在的な視点を理解するのに役立ちますが、第三者による特定の視点を表しているにすぎません。実際には、市場で入手可能な複数の格付け方法により、すべての視点を満足させることはほとんど不可能です。

確かに、ESG格付けにおけるポジティブな評価は企業の評価につながりますが、それはあくまでも企業の努力の後に結果的に達成されるべきものです。企業は、あくまで自社の重要なESGリスクと機会をどのように管理するかという点に焦点を当て、第三者の見解をそれ自体が目的ではなく、インプットとして使用することが重要です。

罪2: ESGをコミュニケーション活動としてのみ扱う

企業は時として、イメージアップのためにコミュニケーションや広報戦略のみに注力し、ESGへの取り組みを「本末転倒」にしてしまうことがあります。

コミュニケーションは、企業のメッセージを増幅させるのに役立ちますが、重要なリスクに対処する強固な管理システムの代わりにはなりません。投資家やその他のステークホルダーは、重要な行動に対応していないメッセージを見抜くことができます(しばしば「グリーンウォッシング」と呼ばれます)。

さらに重要なことは、メッセージングに焦点を当て、ESG課題の管理に焦点を当てないことで、企業は重大なリスクにさらされたままになるということです。

罪3:取締役会や経営陣の監視の欠如

一部の企業は、取締役会や経営陣の関与なしに、ESGやサステナビリティに関する責任を社内の個人や部門に委ねています。しかし、会社のESG経営戦略は、会社のビジョンや価値観の中核をなすものとして位置づけられるべきです。従って、取締役会と上級管理職は、会社のESG戦略を単に監督するだけでなく、より広範な事業戦略との完全な整合性を図りながら、自ら主体的に推進していくことが不可欠となります。

罪4:事業戦略との乖離

ESG戦略は、企業の事業戦略と切り離して考えることはできません。企業の戦略目標を考慮せず、主要な企業戦略に関与しないESG戦略は、その目的を果たすことができません。このような断絶は、ESGプログラムの目的に関する潜在的な誤解、取締役会や経営陣の監督不足などに起因する可能性があります。

罪5:コンプライアンス重視のアプローチ

企業によっては、環境、労働慣行、健康と安全、その他の重要な問題に関する規則や規制をしっかり守りますと宣言するだけの場合があります。このようなアプローチは、消極的であり、ESGにおける最低限の要求を超えることに消極的であると考えられます。

企業がリーダーとしての地位を確立するためには、ESG戦略の一環として、最低限求められる水準を超えていれば良しとするのではなく、最高のESGプログラム目指して積極的に活動していることを示す必要があります。特に、元々規則や規制が厳しい国では、企業が規則通りの活動をしているだけでは、企業独自の取り組みとしてESGに向き合っていることを認識してもらうことすら難しくなる可能性もあります。

罪6:会社全体の不整合

全社的な戦略や調整が行われていなかったり、管轄地域や地域、事業セグメントが異なる場所で事業を行っていたりすると、明確な理由がないまま、部門ごとに異なる基準を採用してしまう企業があります。このような方法では、企業のESG管理プログラムに大きなギャップが生じ、リスクにさらされる可能性があります。

このような場合、企業は、事業部や地域ごとに方針やプログラムをマッピングし、全社的な取り組みを調和させ、重要なリスクに対処する方法について同等の実務を伴う一貫したアプローチをとるべきです。

罪7:評価とモニタリングの欠如

主要なESG課題に関するパフォーマンスをモニターするためのデータや情報の収集は、企業がESGプログラムを実施する上で大きな課題となっています。ESGパフォーマンスの効果的なモニタリングが欠如していると、報告を通じて企業が進歩し、継続的な取り組みに対して十分な評価を受けることができなくなります。

パフォーマンスを監視するための適切な情報を収集するためのメカニズムや方法論を構築することは、最初は大きな労力を要するかもしれません。しかし、このようなプロセスは、プログラムを成功させるための重要な要素となります。

また、モニタリングのプロセスでは、データの確認だけでなく、プログラムの有効性を継続的に評価し、継続的な改善のためにシステムを調整することが必要です。

(以上)

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