
「平成女児クリエイター」として活動する女性YouTuber・まーちゃろさん(チャンネル登録者数約8,700人、7月20日夜時点)が7月12日、Instagramに届いた企業案件を装うDMをきっかけに100万円超をだまし取られ、口座にあった預金のほぼ全額を失ったとYouTubeとnoteで明かした。本人によると、6月末に始まったやり取りはLINEへ移り、7月1日から2日にかけて3回送金。銀行と警察に相談し、被害届を提出したという。
美容企業の広報を名乗りLINEへ 上場企業名を使った偽サイト
まーちゃろさんが6月末に受け取ったDMは、美容関連企業の広報担当を名乗り、商品PRの詳細をLINEで説明するという内容だった。
6月30日に始まったLINEでは、3カ月間に月2回、動画やInstagramストーリーズを投稿し、報酬は前払いと提示された。過去の企業案件でもLINEを使った経験があり、連絡方法自体を疑わなかったという。
続いて、電子契約と報酬管理に使うというプラットフォームへ案内された。サイトは上場企業の提供をうたい、大手菓子メーカーや下着メーカーなどの社名を掲載していた。
まーちゃろさんは個人情報と口座情報を入力したが、被害後に表示されていた上場企業へ確認すると、同社とは一切関係がないと回答された。本人によると、美容関連企業と上場企業の公式サイトには、社名を使った詐欺への注意喚起が掲載されていた。
「口座入力ミス」「信用スコア」「VIP2」 2日間で3回送金
7月1日、サイト上に前払い報酬が入金されたと表示されたが、口座番号を1桁誤って入力したとして出金が止まった。
カスタマーサポートを名乗る相手は、本人確認のため報酬と同額を指定口座へ送れば30分以内に返すと説明。7月5日の契約開始までに商品を届ける必要があると催促され、まーちゃろさんは1回目を送金した。
翌2日には「信用スコア担当」が、入力ミスでスコアが100から90へ下がり、出金には95以上が必要だと連絡した。総資産を一定額まで増やす「迅速回復」のためとして2回目の送金を要求。さらに、スコア100未満で全額出金を申請したため再び凍結されたとして3回目も送金させ、口座残高はほぼゼロになった。
企業担当、カスタマーサポート、信用担当を名乗る複数のLINEアカウントが、別々の理由を示して送金を続けさせていた。
3回目の後も返金されず、相手は「高リスクユーザー」を解除するには「VIP2」への昇格が必要だとして、消費者金融から借りなければ払えない額を要求した。
母親に相談すると詐欺を指摘され、銀行はネットバンキングを停止。本人はそのまま警察へ行き、被害届を提出した。翌日には振込先金融機関へ口座凍結を依頼したという。
2025年の副業詐欺は2071件、被害35.8億円
警察庁が2026年6月に公表した確定値によると、2025年に認知した副業詐欺は2,071件、被害額は35.8億円に達した。特殊詐欺全体の7.4%を占めており、警察庁は同年から副業詐欺を独立した項目として集計している。
国民生活センターが2024年9月に公表した集計では、簡単なタスクを行う副業トラブルの相談は2020年度の1,341件から2023年度には3,694件へ増加した。
2024年度は7月31日までに950件が登録され、SNSをきっかけとした相談が70.1%、平均契約購入金額は105万9,658円だった。
今回の入口は副業広告ではなく、企業の商品PRを装う個別DMだったが、入力ミスや出金制限を口実に送金を重ねさせる流れは、国民生活センターが公表した相談事例と共通している。
返金は未確認 被害回復分配金は口座残高を被害者に分配
被害届の提出後、企業担当を名乗る相手は全額返金すると連絡したが、翌日には警察に口座をロックされて送金できないと説明した。まーちゃろさんは以後、返信していない。
7月20日までに返金を受けたとの公表はなく、当面の家賃や生活費は親戚から借りるとしている。失った預金には、コロナ禍で仕事ができなかった時期に親から受け取った支援金も含まれていたという。
金融庁によると、被害回復分配金は犯罪利用が疑われる口座の名義人の権利を消滅させ、残高を被害者に分配する制度だ。支払いまで一般に少なくとも半年以上かかり、複数の被害者がいる場合は口座残高を被害額に応じて按分する。残高が1,000円未満なら支払いはない。
まーちゃろさんは、仕事を受けた側が送金する仕組みは通常ないと銀行や警察から説明されたとし、依頼元のアカウント、担当者名、公式サイトの注意喚起まで確認するよう呼びかけた。



