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木刀集団暴行動画が拡散 撮影者・傍観者も法的に無関係では済まない可能性 手軽なショート動画がそのまま犯罪の証拠に

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木刀を手にした人物を含む集団が、男性とみられる人物を囲み、暴行を加える動画が6月23日未明にXで拡散した。投稿は24時間足らずで250万再生を超え、被害者側が反撃に転じた場面にも関心が集まった。ただ、最後に反撃したかどうかとは別に、木刀での威迫、集団での包囲、逃げ道を塞いだ周囲の人物、撮影者の関与には刑法上の責任が及ぶ可能性がある。

 

木刀暴行動画 「最後に反撃したから終わり」ではない

6月23日未明、1本の動画がXで急拡散した。映し出されていたのは、複数人に囲まれながら木刀で脅され、マウントを取られて暴行を受ける男性とみられる人物が、最終的に反撃に転じる映像だ。投稿は「加害者全員が逃げ切ることなんて絶対に許さない」という投稿者の言葉とともに広く拡散した。

X上では「被害者が最後に勝ったんだからいいじゃないか」という受け止めも見られたが、刑法上はそう単純な話ではない。直接暴行を加えた人物だけでなく、逃げ道を塞いだ人物や撮影していた人物についても、共同正犯や幇助が問題となる可能性がある。撮影された動画そのものが、関与を示す証拠となる。

木刀・複数人・逃げ道封鎖 直接暴行した人物に積み重なる罪名

今回の動画で確認できる行為を法的に見ると、直接暴行を加えた人物には複数の罪が重なる可能性がある。

まず木刀を使って脅した行為は「脅迫罪」(刑法222条)にあたり、2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科される。

さらに、2人以上が共同して他人の生命・身体・財産に害を加える目的で集まり、参加者が凶器を準備していた、または凶器の準備を知っていたと認定されれば、「凶器準備集合罪」(刑法208条の2)が問題となる可能性がある。法定刑は2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金だが、首謀者は3年以下の拘禁刑に加重される。

直接暴力を加えてけがをさせた場合は「傷害罪」(刑法204条)で、法定刑は15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金とされる。けがが確認されない場合でも、暴行罪が問題となる。暴行罪の法定刑は2年以下の拘禁刑、30万円以下の罰金、拘留または科料である。

さらに問題となる余地があるのが「監禁罪」(刑法220条)だ。動画で複数人が周囲を囲み、逃走を事実上困難にしていたと認められれば、監禁罪もありえる。法定刑は3か月以上7年以下の拘禁刑で、脅迫罪よりも刑期の幅が大きい。

これらが競合すれば、最も刑期の長い傷害罪が軸になるにせよ、複数の犯罪が重なる形で捜査・起訴の対象となる可能性がある。

 

「手を出していないから関係ない」は通らない可能性

投稿者が特に強調したのが、「直接手を出していない周りの奴ら」の問題だ。逃げ道を塞ぎ、笑いながら動画を撮っていたとされる周囲の人物たちは、法的にも無関係とは限らない。

刑法60条は「2人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする」と定めており、これが「共同正犯」の根拠規定だ。犯行の計画に加わっていたか、あるいは現場で積極的に関与していたと認定されれば、実際に手を出していなくても主犯格と同じ責任を負う可能性がある。

逃げ道を塞ぐ行為は、被害者が逃げられない状況を物理的に作り出す関与と評価される可能性がある。ただし、共同正犯に当たるかどうかは、事前の共謀、現場での役割、凶器や暴行への認識などによって判断される。

撮影者も幇助罪が適用か 「見ていただけ」では済まない場合も

さらに、笑いながら動画を撮影する行為も「幇助」(刑法62条)として問題となり得る。幇助とは、実行行為以外の方法で犯罪を容易にすることを指す。物理的な手助けだけでなく、主犯を心理的に後押しした場合も含まれる。

撮影や傍観が直ちに犯罪となるわけではない。ただし、それが暴行を助長した、逃走を妨げる集団的威圧の一部だったと評価されれば、「ただ撮っていただけ」「ただ見ていただけ」という説明で責任を免れるとは限らない。

もちろん、動画に映る人物全員が同じ責任を負うわけではない。刑事責任は、各人の立ち位置、発言、行動、凶器への認識、暴行への関与によって個別に判断される。それでも、集団で囲み、逃げ道を塞ぎ、暴行の場を形成していたのであれば、単なる傍観者とは評価されない可能性がある。

 

「最後に反撃したから終わり」ではない

動画では、暴行を受けていた人物が反撃に転じる場面が映っている。このため、X上では「最後は勝ったからいい」「相手もやられたから終わり」といった受け止めも見られた。

しかし、刑法上はそのような単純な話ではない。木刀で脅され、複数人に囲まれ、暴行を受けた事実は、反撃によって消えるものではない。傷害罪、暴行罪、脅迫罪などの成否は、暴行が行われた時点の事情から判断される。

一方で、被害を受けた側の反撃についても、正当防衛(刑法36条)の範囲内かどうかが問題となる。逃げ場のない状況で身を守るための反撃であれば、正当防衛として違法性が否定される可能性がある。ただし、反撃の程度やタイミング、相手の攻撃が続いていたかどうかによって判断は変わる。

つまり、「最後にやり返したからおあいこ、どっちもどっち」という見方は成り立たない。先に木刀を持ち出し、複数人で囲み、暴行に及んだ側の行為は、それ自体として刑事責任の対象となり得る。

動画が証拠になる時代 撮影行為が関与を示す

動画を手軽に撮影・投稿でき、拡散する今の時代は、周囲にいた人物が撮影した映像そのものが、関与を示す証拠になり得る。

SNSに投稿された暴力・迷惑行為の動画は、一度拡散すると削除しても複製や保存が残る。投稿者や撮影者が消したとしても、第三者の保存、引用投稿、通報によって、警察や関係者の手に渡る可能性がある。

動画には、誰が木刀を持っていたのか、誰が被害者を囲んでいたのか、誰が逃げ道を塞いでいたのか、誰が笑っていたのか、誰が撮影していたのかが残る。これは、被害者側にとっては被害状況を示す材料となり、加害側にとっては自らの関与を示す記録となる。

「この動画をSNSに上げれば自慢できる」という感覚で撮影された映像が、捜査の端緒や証拠になる。今回の拡散は、集団暴行における撮影者や周囲の人物の責任を改めて浮かび上がらせた。

「加害者全員が逃げ切ることなんて絶対に許さない」という投稿者の言葉が広がった背景には、暴行そのものへの怒りだけでなく、逃げ道を塞ぎ、笑い、撮影していた周囲の人物への強い反発もある。

 

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ライター:

東京都出身。一日中ネットに張り付いている。

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