
身近な日用品に二酸化炭素の吸収機能を落とし込み日常を脱炭素の場に変える。独自素材を開発するベホマルの試みは研究段階を超えて靴パーツとして製品化を果たし、具体的な社会実装への第一歩を記した。
日常の靴パーツから始まる二酸化炭素の直接回収
滋賀県発のスタートアップであるベホマルが開発した二酸化炭素吸収材が、大手アウトドアブランドのフットウェア部品に採用された。
わずか20gほどの靴ひもロック部品だが、その中には二酸化炭素を吸着・保持する微細な構造が含まれている。
実験室での数値にとどまらず、一般の消費者が手にする市販製品として市場へ送り出された点に大きな意味がある。
既存の生産ラインを変えずに機能を足す独自技術

他社素材と一線を画すのは、製品デザインや製造工程を変えずに機能を追加できる点だ。
粉末状の素材を既存のプラスチックに混ぜる仕様のため、メーカーは現在の設備や金型をそのまま活用できる。
大規模プラントに頼らず、身近な日用品そのものを二酸化炭素の回収スポットに変える発想が同社独自の強みである。
日常を二酸化炭素の回収場に変える事業の信念
根底にあるのは、消費者が意識せずとも日用品を使う中で自然と脱炭素に参加できる社会を作りたいという考えだ。
最初の打診時には製品が未完成で一度辞退したものの、代表の西原麻友子氏は約1年かけて技術を磨き、自ら再提案して商品化に漕ぎ着けた。
西原氏は身近な製品を通じて二酸化炭素回収が広がる社会を目指すと語り、粘り強く機会を掴む姿勢が事業を前進させている。
小さな部品から実績を重ねる社会実装の着想
同社の事例からは、巨大な社会課題に対して小さな実績から着実にアプローチする戦略の有効性が学べる。
最初から巨大な仕組みを目指すのではなく、靴パーツという足元から信頼を積み上げ、他社との連携で用途を広げる道を選んだ。
この着実なプロセスは、新技術を市場へ浸透させたい多くの企業にとって実用的なヒントとなる。



