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ダイヤがパンの耳とオカンの愛で育むおいしい循環

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ダイヤがパンの耳とオカンの愛で挑む循環経営
提供:株式会社ダイヤ

創業80周年を迎えるパン屋「株式会社ダイヤ」が、パンの耳から生まれたクラフトビールを発売した。難しく捉えがちな環境への配慮を、大阪らしい温もりとユーモアに変える同社の取り組みから見えてくるものとは。

捨てられていた端切れがだれかの喉を潤すまで

 
提供:株式会社ダイヤ

毎朝、こうばしい香りを漂わせて焼き上がるパン。その陰で、サンドイッチを作るたびにどうしても残ってしまうのがパンの耳だ。どれだけ心を込めて仕込んでも生まれてしまう端切れを、ただ廃棄するのではなく、もう一度だれかを笑顔にする主役にできないだろうか。

大阪で長年愛されてきたパン屋「クックハウス」を営む株式会社ダイヤが手掛けたのは、この未利用のパンの耳を余すことなく使ったクラフトビール「おかんエール」だ。

2026年8月5日の登場以来、街のパン屋が本気で醸した特別な一杯として大きな反響を呼んでいる。役割を終えるはずだった素材が、見事な喉越しとともに新たな命を吹き込まれた。

背中をそっと押す言葉と味わいの調和

提供:株式会社ダイヤ

「地球にいいこと」を掲げる取り組みは、ともすれば肩ひじが張り、堅苦しくなりがちだ。しかしダイヤのやり方は、どこまでも粋で温かい。環境への配慮という真面目なテーマを、クスッと笑える人情味でやさしく包み込んだ。

その原点にあるのが、累計売上2億円を数えるヒット作「おかんパン」の存在だ。あたたかい関西弁が添えられたパッケージは、手に取る人の心をふっと解きほぐしてきた。

「そのままのあんたで、もう充分 花マルや」 「一回くらいコケても大丈夫や。私なんか何回コケたかわからへん」

ビールの醸造名である「エール(Ale)」と、がんばる人へ送る「エール(Yell)」。ふたつの想いが重なったこのビールを、筆者も実際に口にする機会を得た。

グラスに注いで含んでみると、パンの耳から生まれたという言葉をいい意味で裏切る、雑味のないすっきりとした旨味が広がる。素材由来のほのかなやさしさが全体を丸くまとめており、アップサイクルという背景を抜きにしても、職人の手仕事が光る上質なビールとして素直に美味い。試行錯誤を重ねて味の黄金比を探り当てたという言葉通り、丁寧なこだわりが染み渡る。

一日の終わりに自分をねぎらう時間にも、大切なだれかへ笑顔を贈る場面にもよく馴染む。「環境のために我慢する」のではなく、「楽しくて美味いから手に取る」というごく自然な循環がここにある。

老舗の暖簾に根づく「人を喜ばせたい」心

 

このユニークな着想の根っこには、創業から80年にわたり街とともに歩んできた同社の温かな商いがある。代表取締役社長の多田俊介氏は、開発の胸の内をこう明かす。

「手塩にかけて焼いたパンですから、最後のひとくちまで喜んでもらえる形にしたかった。単にゴミを減らす作業ではなく、手にした人が思わず笑顔になるような前向きなめぐりを作りたかったんです」

手掛けた食材を慈しむ職人のプライドと、日常にちょっとした癒やしを添えたい大阪らしい人情。そのふたつが結びついたからこそ、この一杯は世に出た。

正論よりも情が動かすこれからのものづくり

提供:株式会社ダイヤ

ダイヤが示してみせた工夫は、これからのものづくりの在り方にひとつの答えを与えてくれる。

どれほど正しい理屈であっても、義務感だけで人の心を動かし続けるのは難しい。けれど、そこに企業ならではの粋や人情味が加われば、社会にいい取り組みは一気に愛される文化へと変わっていく。

無理なく、楽しく、そして温かい。街のパン屋が醸した一杯のビールは、これからの暮らしと社会が紡ぐ心地よい関係を静かに語りかけている。

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ライター:

サステナブル情報を紹介するWEBメディアcokiの編集部です。主にニュースや解説記事などを担当するチームです。

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