
使わなくなった自社のロゴ入りTシャツを地域の職人技で生まれ変わらせる試みが始まった。デザイン会社が取り組む、ごみを減らしながら地域産業も元元気にする新しいものづくりの現場を追う。
使わないロゴTシャツをごみにしない工夫
会社で作ったロゴ入りの服は、イベントが終わったり社員が着なくなったりすると処分に困りがちである。そのまま捨てられてしまうことも少なくない。
岐阜市でWebデザインや地域活性化の事業を行う株式会社リーピーは、社内で余ったロゴTシャツをPCケースへ生まれ変わらせる取り組みを始めた。自分たちの出すごみを減らすだけでなく、地元にある高い縫製技術を活かしている点が大きな特徴である。
使い捨ての文化から抜け出し、身近にある地元の魅力を再発見する姿勢が伝わってくる。
職人の手仕事と福祉が合わさる独自の技術

この取り組みを支えているのが、岐阜市のNPO法人ひだまり創が運営するブランド「イキルト」である。ここでは生地を何層も重ねて切り込みを入れる「スラッシュキルト」という特別な技法が使われている。
世の中のリサイクルの多くは、機械で細かく砕いたり海外に送って処理したりすることが多い。しかし今回の取り組みは、地元の熟練職人や福祉事業に関わる人たちが手作業でひとつひとつ作っている。単に環境に優しいだけでなく、地域で受け継がれてきた技を守り、働く場所を生み出す仕組みにもなっている。
完成した品物を職人から直接受け取る機会も設けられ、作る人の思いや技術を肌で感じる素晴らしい場となった。
地域とともに歩む会社の考え方
この取り組みの根底には、会社が大切にしている「地方の未来をおもしろくする」という考えがある。代表の川口聡氏は今回の試みについて次のように語る。
「今回の取り組みを通じて、地域に受け継がれてきた縫製技術が、新たな価値を生み出す可能性を改めて感じました。長年培われた技術と、ものづくりに真摯に向き合う作り手の姿勢に触れられたことを、大変うれしく思います。今後も地域の技術や作り手に目を向けるとともに、この取り組みを当社のお取引先企業の皆様にもご紹介していきたいと考えています」
地域に根を張る会社に必要なのは、自分の会社だけが儲かることではない。地元にある素晴らしい技術や人に光をあて、一緒に成長していくことである。
これからのものづくりから学べること
株式会社リーピーの事例は、地方の会社が環境や地域社会に貢献するための分かりやすいヒントを示している。特別な設備を新しく買わなくても、社内で余っているものと地元の技術を組み合わせれば新しい価値をつくることができる。
一社だけで完結させず、地域のNPOや職人と力を合わせる姿勢は、関わる人全員に良い結果をもたらす。ごみを減らし、伝統の技を守り、地域を元気にするこのやり方は、多くの企業にとって参考になる動きと言える。



