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有限会社ojim

https://opteria-glassias.jp/

東京都武蔵野市吉祥寺本町1-11-21‐1F

眼鏡店のあるべき姿を実現すべく業界改革にも働きかける 有限会社ojim

ステークホルダーVOICE 経営インタビュー
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ojim 代表 伊藤氏

今世紀初頭に登場するや、またたく間に業界の主流となる販売スタイルを築いた3プライスショップとも呼ばれる低価格、大量販売型の眼鏡チェーンストア。その影響から、かつて国内で一般的にみられた個人経営の中小零細眼鏡店はピーク時の約15,000店から減少し続けており、いまや4,000店を割るまでに至っている。

そんな眼鏡店を取り巻く現状に一石を投じる店舗として、業界内外から注目を集めているのが東京都武蔵野市、吉祥寺駅近くにある「オプテリアグラシアス」だ。同店は、2005年に有限会社ojimの代表取締役 伊藤次郎氏が開業。伊藤氏に、中小零細規模の眼鏡店に求められる役割をはじめ、業界全体のあるべき姿やその実現に向けての取り組みなどを伺った。

 

海外からも訪れる顧客もいる人気店「オプテリアグラシアス」

駅周辺に27店舗と、全国随一の眼鏡店激戦区ともいえる東京、吉祥寺に店舗を構える「オプテリアグラシアス」では、ドイツ式ポラテストと米国式21項目検査の良いところを組み合わせた独自の「RTM式眼鏡調整法」を開発、実践している。プリズムによって目の緊張を緩め、必要に応じて視覚機能のトレーニングを行い、両眼をバランスよく使いこなせるようにするアプローチで眼鏡を仕立てており、利用者からは「頭痛や肩こり、眼精疲労が軽減された」といった声が多く寄せられているという。

ojim 代表 伊藤氏

また、小売店でありながら自社のスタッフがデザインも手掛けるオリジナル眼鏡ブランド「レチルド」を保有しているのも特色の1つ。さらに、眼鏡を通じて顧客の表情をデザインし、見方、見られ方を変え、人としての生き方さえも変える可能性を備えた「ヒューマニティーデザイナー」としての伊藤氏のスキルに惹かれる人も多く、国内はもとより、海外から通訳を伴って来店する顧客もみられるほどの人気ぶりだ。

 

異業界から眼鏡業界に足を踏み入れ、流れで独立

中小零細規模の眼鏡店が衰退をみせるなか、なぜ伊藤氏が運営する「オプテリアグラシアス」は生き残り、独自の立場を築いているのか。本人の口からは明快な言葉として発せられないが、話を伺うにつけ土台にはしっかりとしたマーケティング戦略があることが伺い知れる。前項で触れたいくつかの特色は、その「戦略」に基づく「戦術」と捉えても良いだろう。

眼鏡業界を見渡す伊藤氏の「マーケティング観」は、そのキャリアによる影響も少なからずあるように見受けられる。伊藤氏は大学卒業後、建築業界に就職。仕事に面白さを感じ、8年間続けていたが、頑張りすぎたことが災いして腰とひざを壊してしまい、転職を余儀なくされた。その後は大手飲食チェーン店に入社。やがて店長となり、マネジメントを経験するも、ここでもまた働き過ぎにより体を害してしまった。

そんな矢先、知人からの誘いで、立ち上げたばかりの低価格、大量販売型の眼鏡チェーン店に就職。眼鏡業界に足を踏み入れた。まもなく経理業務も任されるようになったところ、社員の誰よりも近くで経営が困窮していく様子を目の当たりにし、閉鎖店舗の機器を買い取って自ら眼鏡屋を立ち上げようと決心した。

ojim 代表 伊藤氏

「安売りの眼鏡さんにいたころ、圧倒的な規模の資本がないとZoffやJINSには対抗できないことがよくわかりました。 そこでもし、自分が眼鏡店を経営するとなった場合『ヒト、モノ、カネ、すべてのリソースが足りないなかでできることって何だろう』と考えたときに、『1人の顧客にたっぷりと時間がかけられるところに価値があるんじゃないか』という思考に辿り着いたんです。

中小零細が大手と戦えるスタイルとして、当時の社長に『僕に2,000万円ぐらい使ってくれませんか?』と話を持ちかけたりもしていましたね。実現するのは後になりますが、ビジネスモデルとしてはすでに頭のなかに描かれていたんですよ」(伊藤氏)

自店を立ち上げるにあたり、事前準備として一流店の知識や技術を身に着けようと東京・新宿にある三邦堂に入店した伊藤氏。ここで出会ったのが、後の恩師となる秋澤社長と南沢氏だった。

半年という限られた時間のなか、ドイツ式ポラテストという検査手法を無償で熱心に指導してくれた2人。南沢氏に至っては末期がんのために酸素吸入器をくわえながら行うなど、優れた技術を後世に残すために惜しみなく注がれる情熱に応えるべく、伊藤氏は必死になってノウハウを習得。現在提供している「RTM式眼鏡調整法」の礎を築いた。

「眼鏡業界に入って 2年半で独立するとき、周囲には無謀だと言われたのですが、秋澤社長だけが『伊藤君、君はすごいね。』って言ってくれたんです。 ドイツ式ポラテストの根本理論としてプリズム処方というのがあるんですが、『10年やってもできない人が大勢いるのに、君がウチで半年かじっただけでできるようになったのは本当に素晴らしいことなんだよ。』って本気で言ってくれました。

この一言で、今までの苦労や努力が報われて『僕、この業界にいてもいいんだ』と思ったんです。そして、その瞬間に生じた、眼鏡業界やその眼鏡を使ってくれる人たちに対する恩返しをしなきゃいけないという想いだけで、21 年間やってこられましたね」(伊藤氏)

ビジョンケアが受けられなくなる危機が進行

現在、国内眼鏡市場は、いわゆる3プライスショップ型の低価格眼鏡チェーンストア大手4社(Zoff・JINS・眼鏡市場・OWNDAYS)が寡占。伊藤氏によると、これらの売上規模は全体の約6〜8割を占めているという。その背景で中小零細の眼鏡店の数はピーク時の1/4ほどとなる4,000店を割るまでに減少。あるレンズメーカーの話によれば今後2,000店舗程度になるともいわれている。

この事象が進むにつれて顕著になってきているのが、過疎地や離島を中心とした眼鏡店の空白地帯の増加だ。ここには眼鏡店経営者だけにとどまらない、大きな社会問題が孕んでいると伊藤氏は警鐘を鳴らす。

「眼鏡屋さんって、僕に言わせればインフラです。 電気、ガス、水道、眼鏡店。このインフラがガタガタと音を立てて崩れてきたこの 30 年間だったと思います。インフラである眼鏡店がどんどんなくなって、ビジョンケアをちゃんと受けられなくなる人が増える。 そういう未来がもう始まっているわけです」(伊藤氏)

ojim 代表 伊藤氏

そんな問題を解決する一助になればと伊藤氏が取り組み始めたのが、地方でのサテライト店舗運営だ。2016年、沖縄県浦添市に実験店舗として完全予約制の「沖縄くくるくみてぃ店」を開店。年に4日間ほど出向いて地域のビジョンケアをフォローしている。

「眼鏡は販売したらおしまいじゃなくて、販売してからがお付き合いの始まりなんですね。だから、売った後のアフターケアができる拠点として、まずは定期的に通っている沖縄に作ってみました。

ウチの場合、商圏はあってないようなものなので、サテライト店舗は、全国を網羅するネットワークを作らなければならないことと、『あの伊藤さんが来てくれる』というニーズの種まきをするという2つの理由でやっています。この先、僕の体が回る限り、各地に増やしていきたいですね」(伊藤氏)

 

啓蒙活動にも積極的に取り組む

「半製品である眼鏡を製品として仕立てる部分」が眼鏡屋の本質だと語る伊藤氏。低価格、大量販売型の3プライスショップでは、この点に費やすコストを抑えざるをえないため、優れたスキルを持つ人材が育たない。ただし、眼鏡店の大多数はこういった店舗が占めているため、結果として医療機器であるはずの眼鏡が雑貨化しているといった現状がある。

このような業界の変化は、売り手側だけで作り出せるものではなく、消費者側がこれを受け入れることによって成り立ってきたものだ。3プライスショップには「すぐに眼鏡が手に入れられる」などのメリットもあり、それなりの存在価値が認められるが、自身の生活の質にこだわる富裕層までが「3プライスショップの眼鏡で十分」と思い込まされていることに問題があると伊藤氏は考える。

「雑貨化した眼鏡しか使ってない国民がいたら、国民の暮らしぶりと労働生産性、どちらも低下します。だから、生活の質を下げず、労働生産性も下げない、そういった眼鏡が作れる体制を作らなきゃいけないと思うんです」(伊藤氏)

「3プライスショップの眼鏡で十分」という考えにとらわれている消費者はもちろん、眼鏡店経営者の意識も変えるべく、啓蒙活動に精力的に取り組んでいる伊藤氏。10年以上続けているセミナーの開催に加えてBLOGの執筆、YouTube動画の制作と、その行動力は本業の傍らでこなせるのが不思議なほどだ。そんななか、2025年8月にこれまでの活動の1つの集大成として書籍「教養としての眼鏡」が刊行された。

ojim 代表 伊藤氏

「皆さんは眼鏡を選ぶときに『似合う、似合わない』と『価格』だけで選びがちです。 でも本当は、それ以外にも眼鏡を選ぶ要素があるということをお伝えしたかったんです」(伊藤氏)

 

中小零細眼鏡店は価格競争ではない土俵で商うべし

―1人の顧客に惜しみなく時間をかけるスタイルでの経営ですが、時間や人員に限りがあるなかでビジネスとして成り立たせていけるだけの利潤は得られるものなのでしょうか。

伊藤:もちろんです。僕のこだわりで、仕入れのときに値引き交渉しないというのがあるんですよ。 「他店と比べて一番高い値段でいいよ。」と言ってレンズもフレームも買っているんです。

この金額に対して適正な利益を乗せると競合と比べて当然割高になるわけですが、割高でもお客様に納得していただけるだけのことを提供すれば、対価を払ってくれます。いま眼鏡の平均単価は25,000円くらいだと思いますが、ウチの場合は70,000円くらいです。 でも、70,000円の平均単価だとしても、お客様に喜んでいただけるだけの付加価値を提供できるなら問題なく経営できるということを、売り上げが芳しくないと嘆いていらっしゃる全国の中小零細の眼鏡屋さんに伝えたい。3プライスショップに対抗するのとはまるっきり違う道標を自分で作って、そこで勝負してみるのはいかがですか、と。 まさに21年前の僕がそうでしたから。

ojim 代表 伊藤氏

業界を網羅するプラットフォーム提供に着手

これまで事業を運営してきたなかで大きな成長点やターニングポイントとなった出来事はありますか。

伊藤:コロナ禍ですね。最初の非常事態宣言のときに売り上げが8割減ったんです。 これは潰れると思いました。 お店のすぐ近くにスーパーがあるんですが、そこで夜の品出しのアルバイトがあるから、それでお店の家賃などを払おうかなと本気で考えました。

そこまで追い込まれたんですけど、ある先輩に「伊藤さん、喋れるじゃないですか。あなたYouTuberに向いているからやってごらん。」と言われてやってみたら、まさにV 字回復したんですね。

そうしたら今度はYouTubeを観た古舘伊知郎さんからオファーが来たんです。「一緒にやりませんか? 」と。これがホップ、ステップ、ジャンプのホップです。その後に「教養としての眼鏡」を刊行したら、インターネットで配信をしている岡田斗司夫さんが配信のなかでこの本を出して「日本一の眼鏡だと思うんだ」と言ってくれたのがすごく刺さって。 これでホップ、ステップのステップまで来ました。 いまはジャンプのタイミングをはかっていて、そのためのヒト、モノ、カネでいうとヒトを用意しているところです。

あと、個人的な夢の話になりますが、僕、小説を15年ぐらい書き続けていて、その小説の1つが映画化されることが決まったんです。そこで、小さな映画祭でもいいから1つでも受賞して、眼鏡業界から出た立場で「眼鏡屋さんってインフラなんだよ」と言えば、もう少しリアクションが変わってくるんじゃないかと思っています。

今後のビジョンや、すでに着手している新たな取り組みがもしありましたら教えてください。

伊藤:今年の年末、記者会見をする予定なんですけれど「メガログ」という、「食べログ」の眼鏡業界版のようなサービスを仕掛けています。最低でも300店舗ほどが登録されていて、お客様が自分に合った眼鏡を探す場合に最適な眼鏡屋さんとマッチングできるようなプラットフォームです。全国にあるZoff、JINS、眼鏡市場、OWNDAYSも含めて網羅できるような体制を作るのが目標です。難しいですけどね。

◎会社情報
社名:有限会社ojim
住所:〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町1-11-21‐1F
設立:2004年
代表者:代表取締役 伊藤 次郎
URL:https://opteria-glassias.jp/

◎インタビュイー
有限会社ojim 代表取締役
伊藤次郎
「opteria-Glassias」オーナー。
1969年、東京都生まれ。大学卒業後、鉄筋業、飲食業に従事、「飲食チェーンで得たノウハウを眼鏡業界で活かしてみないか?」との誘いを受け転職する。アイ・ロードでは経理、外回りの営業、店舗勤務を兼任し、その後、三邦堂に入店し、斜視矯正やプリズムメガネ、自身の頭痛の原因が斜位だった事を知る。2005年、東京・吉祥寺に眼鏡専門店「opteria-Glassias」を開業。一人でも多くの日本人がより良い眼鏡を作れる環境整備に尽力している。

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ライター:

メーカーにて宣伝・マーケティング担当として14年間従事したのち、2010年に【朝九広告工房】の屋号でコピーライター / ライターとして独立。温泉やフィットネス関連の取材記事から住宅、介護、ゼネコン、経営者向けコラムまで、ジャンルにとらわれず執筆。温泉ソムリエ、サウナ・スパ健康アドバイザー

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