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小田原の廃漁網が老舗を彩るタイルに。amuが取り組む地域内の資源循環

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amuca
画像出典:amu株式会社 プレスリリース

小田原の海で使われた漁網が、同じ小田原の老舗の店舗を彩るタイルへと生まれ変わる。

廃漁網のアップサイクルに取り組むamu株式会社が、創業430年を超える鮑屋が運営する直売ブランド「魚商 小田原六左衛門」ラスカ小田原店に、廃漁具由来の「amuca タイル」を提供した。地域内で資源が循環する取り組みだ。

 

小田原の廃材を、小田原の店に活かす

同社によると、宮城県気仙沼市のamuは、神奈川県小田原市で水産仲卸や製造・直販、小売・飲食業を430年以上にわたり営む老舗企業の鮑屋に、廃漁具由来のタイルを提供した。海や地域の持続可能な未来に貢献したいという想いから、廃漁具を起点に地域資源を再価値化するamuの取り組みに鮑屋が共感し、導入に至った。

今回のタイルには、小田原の定置網漁で使われていた廃漁網が原材料の一部に活用されている。さらに、小田原のブリュワリー「ODAWARA GARAGE BREWING」で使用済みとなった廃瓶も再利用した。市内の漁業で発生した廃材を、市内のブリュワリーの廃瓶とともに、市内の店舗空間に活かす。地域内の資源循環を体現する取り組みである。

 

QRコードで原料のルーツをたどれる

特徴的なのは、タイルに込められた物語を可視化する仕掛けだ。店舗内にはQRコード付きのタイルが設置され、来店者がコードを読み取ると、廃漁網やクラフトビール瓶の回収から製品化までの工程を知ることができる。原材料のルーツや、鮑屋がこのタイルを採用した背景を伝える「トレーサビリティストーリー」が用意されている。

あわせて、鮑屋が小田原で430年以上歩んできた水産仲卸業を中心とした事業の歴史や、今回のタイル導入による環境貢献も伝えられる。鮑屋はこれまでも地元の未利用魚を活用した製品販売などを通じて、小田原の海の恵みを持続可能な形で次世代へつなぐ取り組みを行ってきた。素材の背景と地域資源循環の意義を、来店者が分かりやすく理解できる設計だ。

 

焼成しない製法でCO2排出を抑える

「amuca タイル」は、環境への配慮、デザイン性、素材に込められたストーリー性を兼ね備えた廃漁具由来のデザインセメントタイルだ。原料には、リサイクルが難しい漁網やブイ、ロープなどの廃漁具に加え、漁具以外のさまざまな廃材も活用できる。

また、高温で焼き固める焼成工程を伴わない製造方法を採用しているため、焼成タイルに比べて製造時のCO2排出量を抑えられる。導入枚数あたりの削減量や削減率を算出し、環境価値を定量的に示すことも可能だという。デザインと環境性能、そして物語性を一枚に込められる内装材である。

 

「いらないものはない世界」へ、広がる循環

amuは2023年設立の廃漁網アップサイクルベンチャーだ。使用済みの漁具は塩分や汚れを含み分別が必要な場合も多く、焼却やリサイクルが容易ではない。その多くが埋め立てられ、環境負荷が高いだけでなく、漁業者には処分費用の負担も生じる。こうした背景から、同社は「いらないものはない世界をつくる」をビジョンに、無価値とされてきたものを再資源化して新たな価値を吹き込んでいる。

同社は今後、小田原の事業会社が抱えるさまざまな廃材を活用した資源循環型の取り組みを拡大し、他の自治体への展開も目指す。さらに、社員や地域の子どもと一緒にタイルを製造するなど、地域共創の体験型パッケージの展開も予定している。海洋プラスチックごみの一因とされる廃漁網を、地域の誇りを映す内装材へと変える。小田原発のこの循環が、各地へ広がるか注目される。

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ライター:

Sacco編集・ライター。企業に直接出向く取材が中心。扱う記事はサステナビリティ、エンタメ関係が多め。

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