
負債総額は2025年3月期末時点で約1259億円と今年最大規模となる。
主に飲食店を対象とした早期入金サービスが強みだった同社の破綻は、加盟店に深刻な影響を及ぼしている。
全東信破産の概要と背景
全東信は1987年5月に創業し、2006年9月に株式会社化された大阪市中央区島之内所在の企業(資本金45億円、代表者髙山萬保氏)。
クレジットカード売上をカード会社より早期(業界初の週2回・月6回入金)に立て替えるサービスを主力とし、飲食店を中心にスナック・キャバクラなどの夜間業種にも積極展開。
2018年9月時点で加盟店20万店超を擁し、2020年3月期には売上高約82億円を記録した。
しかし新型コロナウイルス感染拡大により主力の飲食店が休業・時短を強いられ、2021年3月期以降は売上高が約50億円まで急減。過年度の金融債務負担が重く、コロナ禍緩和後も業況回復が遅れた。
加えて2024年にはぼったくり店への不正加盟店契約問題で警視庁から書類送検されるなど信用不安も表面化し、事業継続が困難に。
帝国データバンクによると負債総額は2025年3月期末時点で約1259億2900万円(その後変動の可能性あり)で、今年最大の倒産案件となった。
加盟店に迫る即時的な運用停止リスク
破産手続き開始と同時に、クレジットカード決済代行および付帯サービスは全面中止となった。
全東信発行の端末機は今後一切使用できず、動作しても売上は入金されない。
破産管財人室(電話06-4704-4681、受付10時〜17時)はホームページで「未収売上金は法律上破産債権となり、従来の期限通りの弁済はできない」と明記している。
全国の飲食店が週2回・月6回の早期入金サイクルを前提に資金繰りを組んでいたため、通常のカード会社ペースに戻った瞬間、仕入れ・家賃が先に来て売上入金が遅れる黒字倒産の典型パターンに陥りやすい。
今日中に知らなかった店舗ではオーソリ通過後も資金が宙に浮く事態が発生する可能性が高く、包括契約を結んでいたJCB、UC、MUFG、イオンなどのカード会社との契約も自動解除され、新規契約手続きが必要になる。
数ヶ月後に個人店から閉店ラッシュが起きる恐れがある。
特に深刻な夜間業種・飲食店の損害実態
スナック、キャバクラ、風俗店などカード会社審査が厳しい業種は全東信の柔軟な対応に大きく依存していた。
新規契約先が少なく、手数料が高い海外代行や現金取引への移行を余儀なくされるケースが予想される。
未収売上金が数百万円単位で回収不能となる店舗も出ており、家賃・人件費の支払いが滞る恐れがある。
コロナ禍からの回復途上だった中小飲食店にとっては特に打撃が大きく、廃業や倒産の連鎖を招く二次被害の懸念も強い。管財人によると、加盟店全体への影響確認作業が急務となっている。
破産債権の回収見込みと管財人の対応
未収売上金は一般破産債権に位置づけられ、財団債権(手続き費用)や優先的破産債権(税金・未払い賃金)の弁済後に残余があれば配当される。
実際の回収率は数パーセント程度に留まる事例が多く、期待薄だ。
破産管財人である印藤弘二弁護士(はばたき綜合法律事務所)は、債権届出の手続き案内を順次行う方針。
将来的に財産状況が明らかになった段階で追加連絡があるが、即時資金需要には対応できない。
加盟店は早急に帳簿整理と債権届出準備を進め、弁護士や商工会議所への相談を推奨する。
今後の対策と代替決済代行の選択肢
影響を受けた店舗の多くは既に代替先を複数検討中と思われるが、夜間業種では審査通過率が低く、契約まで1〜2週間かかるケースが少なくない。
SBペイメントサービスやGMOのように大手のほか、SquareやAirペイのスマホ決済を即時導入しつつ、本格契約を並行進行するのが現実的。
手数料だけでなく、入金サイクル・端末リース料・審査の柔軟性を比較し、1社に絞らず2〜3社と契約してリスク分散を。
公的資金繰り支援(日本政策金融公庫のセーフティネット貸付など)を並行活用し、未収金分のキャッシュフローをカバーする計画を立てることが重要となる。



