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飛騨市がふるさと納税で挑む、猫を起点にした地方創生「SAVE THE CAT HIDA」プロジェクト

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NECOREPA APARTMENT HOTEL
画像出典:岐阜県飛騨市 プレスリリース

保護猫を救う活動が、空き家対策や高齢者の見守り、関係人口づくりにまでつながる。全国の倍のスピードで人口減少が進む岐阜県飛騨市が、ふるさと納税を財源に民間のソーシャルビジネスを支援し、猫を起点にした地域課題の解決に取り組んでいる。その一環として、市内の古民家を改修した保護猫と暮らせるシェアハウスがオープンする。

 

複合的な地域課題をビジネスの手法で解く

同市によると、飛騨市は過疎化や高齢化、それに伴う空き家問題、そして野良猫問題など、多くの複合的な課題を抱えている。これらは行政や民間単独の努力だけでは解決が難しい実情があった。そこで市は令和3年度から、ふるさと納税の寄附金を財源とし、社会的課題の解決をビジネスとして取り組む市内外の民間事業者を支援する独自の交付金制度を始めた。最大5年間、年間最高2,000万円まで支援する仕組みだ。

この制度に初年度採択されたのが、保護猫活動に取り組む株式会社ネコリパブリックの「SAVE THE CAT HIDA」プロジェクトだ。市が民間のアイデアと実行力を、ふるさと納税という財源で後押しする構図である。

 

2年半で5億円、猫が生んだ地域の好循環

「SAVE THE CAT HIDA」は、「行政が保護猫活動を支援する」という意外性と強い共感から、わずか2年半で5億円の寄附を集める異例の成果を挙げた。市内16事業者とコラボした猫の肉球を模した米粉パンや猫の足跡をあしらった和菓子など、合計33品のふるさと納税返礼品も生まれ、これまでに約6,000件、1.6億円の寄附を集めている。

成果は寄附額にとどまらない。空き家を改修した拠点「SAVE THE CAT HIDAシェルター」の開設、不妊手術を行う「ほごねこクリニック」、年間約3,000人が訪れる観光機能、地元スタッフの雇用などを実現した。シェルターには地元の小中学生が放課後に通い、宿題をしながら猫の世話をするようになり、来場者への猫の紹介から看取りまで、ほぼすべての活動に子どもたちが関わるようになったという。猫の居場所が、地域の子どもとともに育つ場所へと変化している。

 

空き家が「猫と人が共生する古民家」に

今回オープンするのは、市内の古民家をリノベーションしたシェアハウス「NECOREPA APARTMENT HOTEL」だ。一過性のボランティアではなく持続可能なビジネスとして、地域の空き家を価値ある場所へ変える飛騨市ならではの地方創生モデルと位置づけられる。

この施設は、ひとり暮らしや仕事の事情でまだ猫を迎えられない人、実際の生活に不安がある人など、「猫との暮らしの入口」を求める人々を対象に、日常的に保護猫を見守りながら生活を体感できる住まいだ。施設運営から生まれる収益は、保護猫の医療やフード、譲渡活動へ全額役立てられる。6月19日と20日には現地でオープンハウス・見学会が開かれた。

 

「猫を助けることが、街の魅力になる」

ネコリパブリックの河瀬麻花代表は「高齢化、空き家・空き土地、過疎化、そして野良猫の問題。これらを猫を通したソーシャルビジネスで解決していく」と語る。猫の問題はほとんどが人間の問題であり、猫だけに特化していては前に進めないとして、「猫を助けることが街の魅力づくりにつながり、街が魅力的になることで猫の居場所になる」というモデルを掲げる。

飛騨市ふるさと応援課の担当者も、民間事業者の革新的なアイデアは地方創生を加速させるために不可欠だとし、ネコリパブリックとの取り組みが猫の命を救うだけでなく、空き家対策やコミュニティ創出、関係人口の呼び込みという好循環を生んでいると評価する。人口減少先進地が、猫という身近な存在を入口に、行政と民間が組んで地域課題に挑む。その実験的なモデルが全国へ広がるか注目される。

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ライター:

Sacco編集・ライター。企業に直接出向く取材が中心。扱う記事はサステナビリティ、エンタメ関係が多め。

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