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COP28とは?主要な合意・決定事項5つを詳しく解説

サステナブルな取り組み ESGの取り組み
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(Adobe Stockより)

COP(コップ)28とは、28回目の「国連気候変動枠組条約締約国会議」を指しており、2023年12月にドバイで開催されました。

「そもそもCOPとは?」
「COP28の決定事項は何か」
「日本企業への影響は?」

気候変動における世界の方針を決める会議であるため、最新情報を知りたいが具体的なことがわからない、とお困りではありませんか。

そこで本記事では以下の内容を解説します。

・COP28の概要
・COP28の主要な合意・決定事項
・COP28 における日本の取り組み
・日本の今後の課題

ぜひ本記事を参考にCOP28への理解を深め、ESG活動などにおける企業の意思決定に役立ててください。

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COP28とは|日時・開催地・参加国

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(Adobe Stockより)

COP28とは「第28回国連気候変動枠組条約締約国会議」を指します。開催された時期は2023年11月30日〜12月12日です。開催地は、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイです。

国連気候変動枠組条約(UNFCCC)に加盟する、198か国・地域(日本を含む)が参加しました。

本会議の大きな焦点は、パリ協定の長期目標を達成するために世界全体の進捗を評価する「グローバル・ストックテイク(GST)の初実施」と、COP27から持ち越した課題「化石燃料からの脱却への合意について」です。

成果としては「1.5℃目標」達成に向けて2025年までに温室効果ガス排出量をピークアウトさせる、化石燃料の段階的な削減する旨への合意が得られました。そもそもCOPとは何か説明します。

COPとは「Conference of the Parties」の略であり、締約国会議を意味します。様々なテーマのCOPがありますが、よく報道されているのは気候変動に関するものです。

1992年にブラジルのリオデジャネイロで開催された「地球サミット」の中で結ばれた条約の一つが「気候変動枠組条約」です。本条約に基づき具体的なルールや目標を議論・決定するため、COPの毎年開催が決定しました。

COPの歴史の中から代表的なCOPを以下の表にまとめました。

開催年会合開催地重要項目
1997年 COP3京都(日本)「京都議定書」採択(2005年発効)  
2009年COP15コペンハーゲン(デンマーク)  「コペンハーゲン合意」採択
2015年COP21パリ(フランス)「パリ協定」採択(2016年発効)
2021年COP26グラスゴー(イギリス)「グラスゴー気候合意」採択

COP3で採択された「京都議定書」では、先進国の温室効果ガス排出量に関して、法的拘束力のある数値目標が国ごとに設定されました。

ただし途上国に対する具体的な削減目標が設けられなかったため、不公平感が問題に。COP15では京都議定書の不公平感の解消が期待され、難航しながらも「コペンハーゲン合意」が採択されました。

内容は、産業革命以前と比べて気温上昇を2℃以下に抑えることや、先進国による途上国への支援などです。

COP21で採択された「パリ協定」ではCOP15の「2℃目標」に加えて、気温上昇を1.5℃以下に抑えるように努力することが合意されました。

それに伴い参加国は5年ごとに温室効果ガスの削減目標(NDC)を提出・更新するよう義務付けられています(グローバル・ストックテイク)。

COP21は「パリ協定」ですべての参加国の同意を得られた歴史的な会議と言えるでしょう。

COP26で採択された「グラスゴー気候合意」では、努力目標であった「1.5℃目標」の達成を目指す旨が明記されました。

「京都議定書」や「パリ協定」について、以下の記事でより詳しく説明していますのでご参考ください。

COP28の主要な合意・決定事項

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(Adobe Stockより)

ここではCOP28で採択された主要な合意・決定事項について説明します。
内容は以下の通りです。

  • グローバル・ストックテイク(GST)初実施
  • 化石燃料からの脱却
  • 損失と損害(ロス&ダメージ)の基金運用
  • 緩和
  • 適応


それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.グローバル・ストックテイク(GST)初実施

グローバル・ストックテイク(GST)とは、「パリ協定」の長期目標達成に向けた世界全体の進捗状況を5年おきに評価する仕組みです。COP28ではGSTが初めて実施されました。

仕組みを図で表すと以下の通りです。

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(筆者作成)

温室効果ガスの排出削減目標(NDC)を5年ごとに更新、2年ごとに実施した施策を報告、GSTにて進捗を評価するサイクルにより「パリ協定」の目標達成を目指します。

COP28のGSTにおける成果文書の内容は、以下の通りです。

  • 「1.5℃目標」達成のための緊急的な行動の必要性
  • 2025年までの排出量のピークアウト
  • 全ガス・全セクターを対象とした排出削減
  • 各国ごとに異なる道筋を考慮した分野別貢献


排出量のピークアウトのためには2030年までに43%、2035年までに60%を削減する必要性があると認識を共有しました。

分野別貢献については、2030年までに再エネ発電容量3倍・省エネ改善率2倍、ゼロ・低排出技術(原子力、CCUS、低炭素水素等)の加速などの取り組みが明記されました。

CCUSとは、発電所や化学工場などから排出されたCO2を、ほかの気体から分離して集め、地中深くに貯留・圧入し、利用する取り組みです。

温室効果ガス削減などの開示基準については、ISSBの気候関連基準の採用または利用推進に64か国が賛同したという声明もCOP28で話題になりました。

詳細は、以下の記事をご参考ください。

2.化石燃料からの脱却

COP28では、化石燃料からの脱却について「段階的な削減」への合意が決定しました。会期を延長し採択された合意文書では、当初の案に入れられていた「段階的な廃止」の文言は使われませんでした。

しかし、合意文書には以下の内容が明示されました。

  • 化石燃料からの脱却を進め、この10年間で行動を加速させる
  • 2030年までに世界の再生可能エネルギーの発電容量を3倍に増やし、エネルギー効率の改善率を世界平均で2倍にする


化石燃料を減らす合意は初めてのことで「歴史的な合意」と評価されました。

3.損失と損害(ロス&ダメージ)の基金運用

損失と損害(ロス&ダメージ)基金とは、気候変動からの悪影響に特に脆弱な途上国を支援する仕組みです。前回のCOP27で設立されました。

COP28における成果文書の内容は、以下の通りです。

  • 基金の支援対象は気候変動の影響に特に脆弱な途上国
  • 世界銀行の下に設置
  • 先進国が立ち上げ経費の拠出を主導
  • 公的資金、民間資金、革新的資金源等からも拠出を受領
  • 資金措置を構成する機関と基金が定期的に対話を実施し、様々な資金措置と基金とが調整・協調してロス&ダメージに対応


資金措置を構成する機関は、世界銀行・IMF、ワルシャワ国際メカニズム、サンティアゴ・ネットワーク(SN)等が含まれます。

日本は、基金の立ち上げ経費として1,000万米ドルを拠出する用意があると表明しました。

4.緩和

「緩和」とは、温室効果ガス排出量を削減する(または植林などによって吸収量を増加させる)取り組みにより、気候変動を極力抑制する地球温暖化対策です。

COP28においては、COP27で決定された「緩和作業計画」が初めて実施されました。

公正なエネルギー移行と交通システムの脱炭素化について、2回のグローバル対話で議論を行い、以下の内容を決定しました。

  • グローバル対話の報告や「緩和野心閣僚級会合」の議論について留意
  • 補助機関会合で進捗評価を実施


グローバル対話の報告内容は、再エネ、省エネ、CCUS等に関する実施可能な解決策等を含みます。

5.適応

「適応」とは、自然生態系や社会・経済システムの調整によって気候変動の悪影響を軽減する(または気候変動の好影響を増長させる)地球温暖化対策です。

COP28においては、適応に関する世界全体の目標(GGA:Global Goal on Adaptation)の達成に向けたフレームワークが採択されました。

具体的な内容は以下の通りです。

  • フレームワークは、国主導かつ自主的なもの
  • テーマ別の7つの目標、適応サイクルについての4つの目標を設定
  • 目標に対する進捗評価のための指標を検討するための2年間の作業計画の立ち上げ


GGAの実現及びフレームワークの実施加速化に向けた議論開始が、決定されました。

COP28における日本の取り組み

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(Adobe Stockより)

COP28においては、各国によるパビリオン(展示会)の設置と国際イニシアティブの発表が行われます。ここでのイニシアティブとは、特定の目的を持ったプログラムを指します。

日本は他国主導の国際イニシアティブへの複数参加のほか、「ジャパン・パビリオンでの発信」と「日本主導のイニシアティブの発表」を行いました。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

ジャパン・パビリオンでの発信

日本はCOP28会場においてジャパン・パビリオンを設置し、企業のCO2有効利用の実地展示およびパネル展示、技術のオンライン展示など、多岐にわたるセミナーを実施しました。

12月2日には、岸田総理及び日・UAEの企業代表者が参加して「Action to Zero led by Japan and UAE」を開催しました。

以下はその際、岸田総理より発表された日本の今後の方針と表明です。

【方針】「産業脱炭素化」と「成長を続けるアジアの脱炭素化」に挑戦する
【表明】

  • 課題解決力を成長のエンジンとする
  • 脱炭素は日本にとって成長のチャンスである
  • 日本の金融力・技術力をフル活用して、アジア・中東の各国と共に脱炭素と経済成長を実現していく


日本企業の課題解決力・技術力のさらなる発展が、期待されています。

日本主導のイニシアティブの発表

12月9日、日本は「世界全体でパリ協定の目標に取り組むための日本政府の投資促進支援パッケージ」を公表しました。

これは脱炭素等に対する投資を促進するための基盤整備によって、以下の3つのギャップを解消し、排出経路を最適化させていこうとするものです。

  • 目標のギャップ
  • 適応のギャップ
  • 実施のギャップ


「1.5℃目標」実現にとって勝負の10年に、世界各国(特に途上国)が目標の引き上げ等に踏み出すのを後押しする施策です。

日本の今後の課題|石炭火力の廃止

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(Adobe Stockより)

今回のCOP28で合意した「今後10年での化石燃料からの脱却」に向けて、日本は「石炭火力の廃止」が今後の課題となります。

日本では、電力の約3割を石炭火力でまかなっています。
しかし石炭は、化石燃料の中でも二酸化炭素の排出量が多い燃料です。

日本政府は、化石燃料に水素やアンモニアを混ぜて温室効果ガス排出量を削減する方針を示していますが、脱化石燃料に向けた具体的な行動としては不十分と見られています。

結果、COP28でも「化石賞」を受賞しました。

化石賞とは、環境NGO「気候行動ネットワーク」がCOPの期間中に、気候変動対策に消極的な国を皮肉って贈る賞のことです。日本はこれで4年連続「化石賞」受賞となります。

また、米国の脱炭素連盟参加により、G7の中で参加していない国は日本のみとなりました。
「石炭火力の廃止」は、日本にとって喫緊の課題ですが、すぐに廃止できない以下の理由があります。

  • 日本は森林が多く太陽光パネルの適地が少ない
  • 石炭は長期的にみるとほかの燃料より安く安定的な電源
  • 石炭は中東だけに依存しなくてよく保管もできるため、エネルギーの安全保障上重要


これらの問題を解決するためには企業の協力が欠かせません。また、国が本格的に廃止に向け取り組む際には、やむを得ない電力の値上げおよび電力不足が予想できます。

国を挙げての問題解決および企業の持続可能性向上のため、各々の企業が早めの対策をとる必要があります。

たとえば、持続可能性を高める方法のひとつに再生可能エネルギーの導入があり、再エネの普及を目的として制定された「FIT制度」および「FIP制度」。

これらの制度の利用もESG活動として、化石燃料からの脱却に貢献できるでしょう。
詳細は、以下の記事をご覧ください。

材料として再利用しにくいプラごみを石炭の代わりに燃料として使用する「ケミカルリサイクル」の推進のため、自社のゴミ分別・廃棄物処理を徹底するという手もあります。

ケミカルリサイクルについての詳細は、以下の記事をご覧ください。

対策の遅れは、企業の持続可能性をゆるがすことにもつながります。ESG活動のひとつとして、石炭火力の廃止への貢献につながる活動を、ぜひ考慮してみてください。

まとめ

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(Adobe Stockより)

企業もCOP28の決定事項を考慮し、自主的な取り組みを進める必要があります。

cokiでは「サステナビリティ対応支援サービス」を行っておりますので、何から取り組めばよいのかお悩みの方はぜひ一度、以下のバナーよりお気軽にご相談ください。

お問い合わせは無料で承っております。

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本記事が、貴社の企業価値向上に向けた意思決定に、少しでもお役に立てれば幸いです。

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ライター:

暁 茜(あかつき あかね)フリーランスのライター兼デザイナー。1991年、奈良寄りの京都生まれ。神戸大学経営学部出身。前職では地方公務員として、国や県・住民に向けた町の魅力発信に尽力していた。心身の健康を大きく損ねた経験から、インナー・サステナビリティの推進に努めている。香りと感情の言語化を愛するHSS型HSP。

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