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ジャングリア沖縄、1周年! 100万人の歓声に潜む失速の正体

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ジャングリア
気球は浮かぶことが少ないのが残念

沖縄本島北部の大型テーマパークであるジャングリア沖縄が、7月25日に開業1年を迎えた。運営会社ジャパンエンターテイメントの加藤健史CEOは同日の会見で、併設スパ施設を合わせた年間来場者数が100万人、売上見通しが100億円超に達したと発表した。経済効果も494億円と試算され、美ら海水族館の規模に迫る実績をアピールしている。

しかし、この華々しい発表の裏で、観光業界や実際の来場者からは2年目の厳しい現実と運営上の課題を懸念する声が上がっている。

 

後半に露呈した35万人ペースの現実

注目すべきは年間来場者数の推移だ。今年1月までの開業初動半年間で集客した人数は約65万人だった。今回の年間100万人という結果から逆算すると、後半の半年間は35万人の来場にとどまっていることがわかる。

テーマパークビジネスにおいて、開業初年度の前半は莫大な広告費を投じたご祝儀期間だ。初動の熱狂が落ち着いた後半の35万人という数字が普段の実需だと仮定すれば、2年目の年間来場者数は約70万人ペースまで落ち込む計算になる。当初の採算ラインが150万人から200万人と言われていたことを踏まえると、経営計画の根底を揺るがしかねない水準だ。

 

評価されるアトラクションと回転率の悪さ

数字の落ち込みは、パーク内のオペレーションや料金体系の歪みとも無関係ではないようだ。

筆者は2025年12月、那覇の国際通りからバスで現地を訪れた。全体として聞いていた悪評ほどひどい体験ではなく、それなりに楽しめた。一方、現場の課題は感じた。オリジナルキャラクターのジャン君とシーサーが登場するショーは、本家ディズニーランドのスティッチ・縁カウンターを模したのだろうが完成度は高く、また、参加者全員で銃を撃ち合うアトラクションも申し分なく楽しめた。一部に物足りなさを感じる施設はあるものの、全体としてはそれなりに満足できる内容だった。

ジャングリアの入場ゲート
入場ゲート。開園時間に行けば、それなりに混んではいた

問題は、そのアトラクションを体験するまでのハードルと現場の回転率だ。

園内が比較的閑散としているにもかかわらず、ハーネス(安全帯)の装着や安全確認に手間取り、利用客のはけが極端に悪いのだ。安全第一とはいえ、運営の非効率さが目立つ形だ。

さらに、スムーズに遊ぶためには入場券とは別に、1アトラクションあたり1500円前後のエクストラパス(優先体験チケット)を追加で買いまくらなければ全アトラクションを満喫することはかなわず、来場者に強い割高感とストレスを与えている実態が浮き彫りとなっている。

筆者は4人の団体で行ったが、優先チケットの購入などで総額は10万を超えた。ようはお金を投じれば、それなりに楽しめるテーマパークだったが、入園券だけで楽しめる空間とは言い難いものを感じた。まぁ、これは半年前の体験であり、マーケティング集団を標ぼうしているのだから、ここから改善されていくのだろう。

ジャングリア

立地と天候という構造的な壁

 

しかし、企業努力だけでは覆せない地理的、気候的な要因も立ちはだかる。

一つ目はアクセス問題だ。沖縄の玄関口である那覇市からの移動には、週末や観光シーズンの混雑時になると国道58号線などの渋滞も加わり、片道約3時間を要することもある。那覇市内のホテルを拠点にした観光客が午前中からパークで遊ぼうとすれば、朝食をとる時間すら削ぎ落として出発しなければならない。旅行プランに組み込むには、あまりにも移動の負担が大きすぎる立地なのだ。

二つ目は沖縄の天候だ。南国リゾートのイメージとは裏腹に、沖縄は年間を通じて約3分の2が雨か曇りという気候特性を持つ。屋外型パークにとって天候リスクは致命的であるうえ、仮に快晴に恵まれたとしても、春から秋の旅行者はわざわざ内陸のテーマパークではなく、美しい海でのマリンアクティビティを選択してしまうジレンマを抱えている。

 

作られた大自然が本物に圧倒される皮肉

そして最も根深い課題は、人工のテーマパークが沖縄の本物の自然に圧倒されている点だ。

現地を訪れた観光客の間では、パーク内で演出された大自然よりも、恩納村の西海岸が魅せる絶景や、エメラルドグリーンの海を貫く古宇利大橋を渡る瞬間の感動の方が遥かに印象深いという意見が少なくない。高い航空券代を払って沖縄を訪れた旅行者にとって、唯一無二の感動がパークの外にある本物の大自然であるならば、リピーターの獲得は極めて難しくなる。

 

地域経済の期待を背負う2年目のサバイバル

かつてUSJにあった沖縄進出構想を引き継ぎ、コロナ禍でメガバンクの融資が白紙に戻る窮地を多くの地域金融機関に救われて開園にこぎつけたジャングリア。USJの経営危機やハウステンボスの倒産歴史が示す通り、テーマパーク経営は一筋縄ではいかない。

質の高いアトラクションを活かしきれない運営の改善、そして本物の自然と競合しない独自の価値をどのように創出していくのか。沖縄北部の経済振興という熱い期待を背負い、真の実力が問われる2年目が幕を開ける。

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ライター:

株式会社Sacco 代表取締役。一般社団法人SHOEHORN理事。週刊誌・月刊誌のライターを経て2015年Saccoを起業。 連載:日経MJ・日本経済新聞電子版『老舗リブランディング』、週刊エコノミスト 『SDGs最前線』、日本経済新聞電子版『長寿企業の研究』

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