
3人は容疑を認め、TikTok動画で総再生8億回など総額1000万円規模の収益に上るとみられる。
事件の概要と手口
警視庁生活安全特別捜査隊によると3人は今年6月、東京都渋谷区の路上を中心に活動した。
27歳女性が胸部分が開いた服を着用し段ボール箱をかぶった状態で待ち、37歳自営業男性が通行人に対し「箱の中身はなんだろな」などと声をかけ、31歳自営業男性がスマートフォンで撮影する分業体制だった。
通行人約40人以上に胸を触らせる行為を繰り返し、撮影した動画をTikTokや関連SNSに投稿。累計総再生回数は8億回を超え、ファンクラブや有料動画販売サイトへ誘導する形で収益化を図っていた。
警察は任意捜査で3人の役割を特定し、段ボール箱や衣装、スマートフォンなどの証拠品を押収した。
行為は公共の場で不特定多数の通行人を巻き込み、周囲の目撃者からも苦情が相次いだ可能性が高い。
3人は取り調べに対し「バズると思ってやってしまった」「このくらいなら大丈夫だと思った」「稼ぐ伸びしろがあった」などと容疑を全面的に認め、企画の意図がバズ狙いと収益化にあったことを認めた。
さーちゃんとは何者か
さーちゃんは27歳のTikTokerで、本名は非公表。メインアカウント「箱の中身 さーちゃん」のフォロワー数は約22.9万人、総いいね数は470万超に達する中堅クリエイターだ。
渋谷・新宿などの繁華街で週末夜を中心に「箱の中身はなんだろな」企画を展開し、「ダンボールの女神」の愛称で一部の男性層から支持を集めていた。
箱を被った状態でのスタンドアップ動画が主力コンテンツだが、ファンクラブ(MyFansなど)やAV系有料作品では顔出しを行い、詳細なトークや深掘り企画も展開。
YouTube関連チャンネルでもエロバラエティ寄りの出演を重ねTikTokのショート動画を起点にクロスプラットフォームで活動を広げていた。
事件前は路上パフォーマンスを通じて急速にフォロワーを増やし、短期間で一定の人気を確立したタイプのクリエイターだった。
迷惑防止条例の適用と警察の捜査
警視庁は本件を都迷惑防止条例(公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例)違反(卑わいな言動)と判断した。
具体的に同条例第5条1項3号が適用され、公共の場所における人を著しく羞恥させたり不安を与えたりする行為として摘発された。罰則は6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金となる。
捜査では通行人への声かけ映像や投稿動画の分析、関係者への聞き取りが進められた。3人は任意で出頭し、容疑を認めているため書類送検という形で捜査が終了した。
類似の路上露出・接触企画が近年増加傾向にある中、警察はSNS拡散を伴う行為への警戒を強めている。
SNSバズと収益化の背景
さーちゃんら3人のビジネスモデルは、TikTokショート動画でバズを起こし、ファンクラブや有料コンテンツへ誘導するという典型的なものだった。
累計8億回の再生は、過激な路上企画がアルゴリズムに乗りやすい特性を最大限に活用した結果といえる。
昨年2月以降の活動全体で広告収入やファンクラブ収入、性的動画販売などを合わせ約1000万円規模の収益を上げていたとみられる。一部報道ではTikTok動画投稿分だけで約200万円とされ、総額は誘導先の有料コンテンツが主力だったと推定される。
しかし「参加者の同意があった」「エンタメ企画」という主張は公共の場で不特定多数を巻き込んだ時点で通用せず、条例違反と認定された。
TikTokをはじめとするプラットフォームでは、再生回数至上主義がクリエイターの過激化を助長するケースが問題視されており、本事件はそうした構造的な課題を象徴する事例となった。
今後の影響と教訓
書類送検を受けた3人の最終処分は検察の判断に委ねられる。事件はSNS上で急速に拡散し、「キショい」「夢企画」など賛否両論を呼んだ。
警察関係者は「バズと収益を優先した結果、公衆の迷惑行為に発展した典型例」と指摘する。
クリエイターや企画関係者にとっては公共の場での表現行為が法的に問題ないかを事前に十分確認する必要性を改めて示した。
デジタル時代において、エンターテインメントの自由と公衆の平穏をどう両立させるかという境界線が問われる一件となった。



