
北海道恵庭市恵央町の路上で2026年7月17日夕方、文化包丁を警察官に向けて近づいた自称無職の女(42)に対し、警察官が拳銃を上空へ1発発砲した。
女は銃声を受けて包丁を肩掛けかばんにしまい、銃刀法違反の疑いで現行犯逮捕された。けが人はいなかったが、発射された弾丸は18日時点で見つかっていない。
現場を捉えた映像では、拳銃を両手で構えた警察官が「やめろ!捨てろ!」「バッグ置け」と繰り返し命じる姿が記録されている。Xでは「日本の警察だったから命拾いした」「アメリカなら射殺されていた」といった反応が拡散した。
「刃物を持っている人がいる」と110番通報
STVニュース北海道とHBCニュース北海道によると、17日午後6時前、通行人から「刃物を持っている人がいる」と110番通報があった。
警察官2人が駆けつけると、路上にいた女が包丁を警察官へ向けたまま接近。警察官1人が拳銃を構え、発砲することを予告した上で、上空へ1発を威嚇射撃した。
女は包丁を自分の肩掛けかばんに入れ、警察官がその場で身柄を確保した。女が所持していたのは刃体の長さが6センチを超える文化包丁だった。
北海道ニュースUHBが報じた映像には、黒い服を着た女と対峙する警察官の姿が映っている。近隣住民は「いきなりバーンと音が聞こえたので、本当に撃ったんだと思った」と話した。
女は警察の調べに、包丁を自宅の外へ持ち出したことを認めている。
弾丸は18日時点で見つからず
HBCニュース北海道が7月19日に伝えた続報によると、発射された弾丸は18日時点で見つかっておらず、警察が調査を続けている。
警察官職務執行法7条は、犯人の逮捕や逃走防止、警察官や第三者の防護などに必要な場合、その場の状況に応じた範囲で武器を使用できると定めている。
国家公安委員会の「警察官等拳銃使用及び取扱い規範」では、拳銃を撃つ場合は原則として事前に予告する。威嚇射撃が相手の行為を止める手段として適当な場合は、上空など安全な方向へ撃つことができる。
威嚇射撃では人への危害や財産への損害を避けるよう、射撃の時機と方向に注意し、回数を必要最小限にとどめなければならない。事態が切迫している場合や、威嚇射撃をしても相手が止まらないと判断される場合などは、人に向けて撃つ前の威嚇射撃を省略できる。予告と威嚇射撃を必ず順番に実施する制度ではない。
千歳警察署は今回の発砲について「現時点では適正な職務執行であったと考えている」と説明した。7月19日までに公表されたのは同署の判断で、発射角度や弾丸の着弾地点は明らかにされていない。
「アメリカなら100%射殺」の反応が拡散
Xでは、包丁を警察官へ向けて近づいた女が威嚇射撃だけで逮捕されたことを受け、「アメリカだったら100%射殺されている」とする投稿が拡散した。
米国の警察暴力を記録する「Mapping Police Violence」によると、2025年に米国で警察官の武力行使によって死亡した人は少なくとも1314人だった。前年の1383人から5%減ったものの、1日平均では3.6人に達する。この数字には銃撃以外による死亡も含まれる。
米国で刃物を持った人物が警察官に射殺される事件は繰り返されている。ただし、警察組織の武力行使規程は州や自治体によって異なり、今回と同じ状況なら必ず射殺されると示す統計はない。
恵庭市では威嚇射撃によって女が包丁をかばんへ戻し、負傷者を出さずに逮捕へ至った。一方で、規範が安全な方向への射撃を定めるなか、発射された弾丸の着弾先は確認されていない。



