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「プルゴリ」芦名勇舗氏の誤算 BVEATS破産で露呈した”通い放題”ジムの限界

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会員制フィットネスジム「BVEATS」の破産は、芦名勇舗氏という著名起業家の失敗談としてだけでなく、都心型パーソナルジムの収益構造を映す事例でもある。通い放題、高単価、都心多店舗展開という成長モデルは、会員減少と固定費上昇の局面で採算が崩れやすい。

 

電通、プルデンシャルを駆け上がった「スーパーサラリーマン」

報道や本人の発信によれば、芦名氏は慶應義塾でアメリカンフットボール部に所属しU-19日本代表にも選ばれた後、新卒で電通に入社。その後23歳でプルデンシャル生命に転じ、トップクラスの営業成績を収めて25歳で最年少営業所長に就任したとされる。屈強な体格と押しの強い営業スタイルから付いた異名が「プルゴリ」だ。書籍やSNSでの発信でも知られ、営業パーソンのロールモデルの一人として注目を集めてきた。

同氏が2018年に創業したBVEATSは、「通い放題」を売りにしたパーソナルトレーニングジムを主力に、代官山、渋谷、恵比寿など東京都心の一等地で店舗を拡大。東京商工リサーチや関連報道によると、2022年11月期には売上高約4億円を計上した。しかしその後は不採算店舗の閉鎖が続き、2023年11月期には約1億3000万円の債務超過に転落。2025年11月期の売上高は約1億2000万円まで縮小し、今回の破産申請に至った。

 

倒産が過去最多を更新するフィットネス業界

BVEATSの破産は、業界全体の逆風と切り離せない。東京商工リサーチの2024年3月7日公表資料によると、2023年度のフィットネスクラブ倒産は同年4月から翌2月までに28件に達し、1998年の統計開始以来で最多を更新した。28件のうち販売不振は20件、全件が資本金1億円未満の事業者だった。

倒産の多くは資本金1億円以下の小規模事業者で、パーソナルジムを中心に、コロナ禍で離れた会員が戻る前に資金が尽きるケースが相次いだと分析されている。

パーソナルジムは参入障壁が低い一方、都心の一等地に構えれば家賃と人件費という重い固定費がのしかかる。さらに「chocoZAP」のような低価格・無人型ジムの台頭で価格競争の構図も変わった。「通い放題」モデルは顧客には魅力的だが、熱心な会員ほどコストがかさむ収益構造でもあり、稼働率の読みを誤れば急速に採算が悪化する。都心多店舗展開と通い放題を組み合わせたBVEATSの戦略は、市場環境が順風の間は成長を加速させたが、逆風下では固定費がそのまま重荷になったとみられる。

 

「売る力」と「経営する力」は別のスキルである

高い営業実績で知られる芦名氏。しかし、保険営業で個人の成績を極めることと、店舗ビジネスの損益分岐点を管理し、撤退の意思決定を下し、資金繰りをつなぐことは、まったく別の能力である。カリスマ的な個人ブランドは集客の初速をつくるが、固定費型ビジネスの持続性は、地道な財務規律にかかっている。スター人材の起業が注目を集める時代だからこそ、この当たり前の教訓が改めて浮かぶ。

同時に強調したいのは、破産は「人生の終わり」ではなく、法が用意した再出発の手続きだということだ。SNSでは「悲報」として消費されがちだが、事業の失敗と人格の否定を混同すべきではない。米国では起業家の破産経験がむしろ次の挑戦の糧と評価されることも多い。日本経済に必要なのは、失敗した挑戦者を嘲笑する文化ではなく、適切に清算し、学びを携えて再挑戦できる環境である。芦名氏の今後の動きも含め、「再起の物語」として今後の事業・発信にも関心が集まりそうだ。

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ライター:

東京都出身。一日中ネットに張り付いている。

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