
元フリーアナウンサーで、2024年衆院東京15区補選の国民民主党公認候補予定者だった高橋茉莉さんをめぐり、実父・高橋勲氏が、同党の玉木雄一郎代表に再反論した。週刊文春は6月30日、勲氏の告白第2弾を配信。玉木氏がXで示した「重大な事実誤認」とする反論に対し、勲氏は強い不信感を示している。
高橋茉莉さん実父が文春第2弾で再び告白
週刊文春によると、高橋茉莉さんの実父・高橋勲氏は、6月24日に配信された第1弾の記事に続き、6月30日の第2弾でも取材に応じた。
第1弾では、国民民主党から公認内定を受けながら、その後に取り消された高橋さんの経緯、SNS上での批判、本人の死去、さらにその後に母親も亡くなったことなどが報じられた。記事タイトルにも掲げられた「玉木雄一郎さん、娘と妻を返して」という言葉は、ネット上で大きく拡散した。
これに対し、玉木氏は同日、Xで「週刊文春の記事について、事実関係を説明します」と題した文章を投稿した。週刊文春の記事には「重大な事実誤認に加え、印象操作ともとれる記述」があると主張したうえで、公認取り消しの理由を改めて記した。
文春第2弾の軸は、この玉木氏のX投稿に対する勲氏の反論である。
玉木雄一郎氏は「法令違反の疑い」を改めて主張
玉木氏の説明では、公認取り消しの理由は、高橋さんが六本木のラウンジで働いていたこと自体ではない。
玉木氏は、高橋さんがITコンサル企業に勤務していた際、疾患で休業し傷病手当を受給していたにもかかわらず、ラウンジで勤務し報酬を受け取っていた事実が判明したと説明。健康保険法違反となる恐れがあり、法令違反の疑いが濃厚である以上、公認を続けることはできなかったという趣旨を投稿した。
また、玉木氏は、故人の名誉やプライバシーに配慮し、これまで詳細を公表してこなかったとも説明。遺族側からの訴えを受け、弁護士を入れて経緯を調査し、調査報告書を渡すなど、可能な限り誠実に対応したとも主張している。
実父は「私が嘘をついていると言いたいのか」と反発
週刊文春第2弾で、勲氏は玉木氏の投稿に強く反発している。
文春オンラインによると、勲氏は、玉木氏が「重大な事実誤認」と書いたことについて、自分が嘘を言っていると受け取れるのではないかという趣旨の疑問を示した。さらに、健康保険法違反の疑いについては、2025年2月に国民民主党側が作成した調査報告書にも記載されており、文春の取材にも話していたと説明している。
勲氏が問題視しているのは、公認取り消しの理由そのものだけではない。玉木氏の投稿が、あたかも高橋さん本人側に責任があったかのような印象を与える内容になっているという点だ。
高橋さんをめぐっては、2024年2月の公認内定取り消し当時から、ラウンジ勤務、生活保護、傷病手当、法令違反の疑いといった複数の情報がSNS上で混在して拡散した。本人は当時、「ラウンジで働いた過去」を理由に立候補を断念させられたと訴えた一方、玉木氏は「ラウンジ等に勤務していたことで出馬辞退を求めるようなことはない」と反論していた。
調査報告書と「誠実な対応」をめぐる食い違い
第2弾で新たに前面に出たのは、国民民主党側の調査報告書と、玉木氏がいう「誠実な対応」をめぐる評価の違いである。
週刊文春は第1弾で、勲氏が高橋さんの死後、玉木氏に対して通知書を送ったこと、その後、国民民主党が調査委員会を設置し、2025年2月3日付で調査報告書を作成したことを報じている。
玉木氏はこの経緯をもって、遺族に可能な限り誠実に対応したと主張している。一方、勲氏は、その対応に納得していない。文春第2弾では、調査報告書の内容や、党側の対応をめぐる不信感が改めて語られている。
この問題は、公認取り消しの理由が何だったのかという単純な対立にとどまらない。高橋さん本人にどのような説明があり、党側がどの段階で何を把握し、遺族にどこまで経緯を伝えたのかという点まで含んでいる。
2024年2月の公認取り消しから続く対立
高橋茉莉さんは、慶應義塾大学卒の元フリーアナウンサーで、外資系ITコンサルティング会社に勤務した経歴も報じられていた。2024年2月、国民民主党は同年4月の衆院東京15区補選で高橋さんを公認候補予定者として発表した。
しかし、公認発表後、SNS上では過去のラウンジ勤務などをめぐる批判が相次いだ。国民民主党は2月25日、高橋さんの公認内定を取り消した。
高橋さんは同日、Xで、党から立候補断念を促された理由はラウンジ勤務歴だとする趣旨の投稿をした。これに対し、玉木氏は、法令に抵触する恐れのある事実が明らかになったためだと説明した。
その後、2024年9月、高橋さんは27歳で亡くなった。日刊スポーツによると、玉木氏は同月9日、Xで高橋さんを追悼し、公認取り消し後もSNSなどで元気な様子を見て安心していたと記した。
ただ、遺族側の受け止めは異なる。文春報道を通じて、勲氏は国民民主党と玉木氏の対応に疑問を投げかけ続けている。
政治家の説明責任と故人の名誉がぶつかる問題
玉木氏は、故人の名誉を考えて詳細を公表してこなかったと説明している。その一方で、週刊文春への反論では、高橋さんの傷病手当とラウンジ勤務をめぐる事情に踏み込んだ。
勲氏は、その投稿によって高橋さん側に非があるように受け取られかねないと反発している。ここに、今回の第2弾の核心がある。
選挙候補者の公認取り消しは、政党にとって重大な判断である。まして、公認内定を受けた本人がその後亡くなり、遺族が党側の対応に不信感を抱いている以上、政治的な判断、プライバシー、故人の名誉、遺族への対応が複雑に絡み合う。
現時点で、玉木氏と勲氏の主張は平行線をたどっている。文春第2弾により、2024年2月の公認取り消しをめぐる問題は、再び国民民主党と玉木氏の対応をめぐる議論として広がっている。
※本記事では、自死の方法に関する詳細には触れていない。



