
東京・台東区の吉原地区にある高級性風俗店「ルーブル」をめぐり、支配人や会社役員ら計5人が売春防止法違反容疑で逮捕された。TBS NEWS DIGなどによると、警視庁は同店が女性従業員に売春を行う場所を提供した疑いがあるとみて調べている。自分が刑事告発したと明かす自称元在籍嬢のXアカウントの話題性も重なり、吉原の有名店をめぐる摘発は急速に拡散した。
吉原「ルーブル」で5人逮捕、容疑は売春場所の提供
摘発されたのは、東京・吉原地区の高級ソープランド「ルーブル」関係者ら。支配人、会社役員、従業員ら計5人が逮捕された。逮捕容疑は売春防止法違反で、女性従業員に対し、売春を行う場所を提供した疑いが持たれている。
売春防止法は、売春そのものを禁じる一方で、実際に刑罰の対象となるのは勧誘、周旋、契約、場所提供、管理など、売春を成立させる周辺行為が中心となる。今回、警視庁が着目したとされるのは「場所を提供した」という点だ。
「ルーブル」は吉原でも知名度のある高級店として知られ、風俗情報サイトなどでも長く掲載されてきた。報道後、店舗情報の削除や公式サイトの表示変更をめぐる動きも確認され、店の営業継続をめぐって関心が集まっている。
約8年半で55億円売上か 高級店ビジネスの実態に波及
TBS NEWS DIGは、同店が約8年半で約55億円を売り上げた可能性があると報じた。単純計算では年商6億円規模となり、吉原の高級店が持つ集客力と収益性の大きさが浮かびあがる。
吉原は江戸期の遊郭以来の歴史を持つ地域で、現在も多数のソープランドが集まる国内有数の風俗街。建前上は「入浴サービス」として営業する店舗が多いが、性的サービスとの境界は常に法制度との緊張関係を抱えてきた。
告発を公表した「しま(元・琴音)」氏とは
事件をめぐっ大きな関心を集めたのが、元勤務女性の「しま(元・琴音)」氏である。同氏はXで、自身が「ルーブル」を売春防止法違反で刑事告発したと投稿。退店後、弁護士を伴って警察へ告発した経緯を説明している。
本人の投稿やnoteでは、在籍中の対応をめぐって店側に強い不満を持ったこと、長期間にわたり告発を進めていたことが語られている。感情の強い言葉も並び、Xでは「私怨」「復讐劇」「業界の慣行への一石」など、受け止め方が割れた。
ただし、本人が語る退店経緯や店側とのやり取りは、現時点では一方当事者の主張に過ぎない。
「しま(元・琴音)」氏自身の投稿から浮かぶ人物像
「しま(元・琴音)」氏が自ら語る生い立ちは極めて特殊だ。
同氏は日中ハーフで、父は中国の国務院官僚一族の出身、母は日本人の現地妻という非嫡出子として東京で生まれた。北京での裕福な生活と、日本帰国後の貧困、父からのDV体験、そして夜間中学校から通信制高校を経て國學院大學法学部を卒業。大学時代に相次ぐ家族の死と国際相続を経験し、遺産を活用して風俗業界から足を洗ったと主張している。
ルーブルでの告発動機は、宮下社長からの暴言・パワハラによる解雇に端を発する。熱を出していた際に罵声を浴びせられたことを「1年近く恨み」、売春防止法違反での刑事告発にまで発展させた。X上で「悪を成敗した気分」と公言し、内部暴露を示唆する姿は、感情の強さと戦略的な情報発信力を同時に感じさせる。警察対応が遅いと直接抗議して管轄を動かした行動力も、彼女の執念深さを物語る。
人物像として浮かび上がるのは、複雑な出自をバネにしつつ、恨みを法的手段に転換できる合理性と、SNSを巧みに活用する現代的な自己表現力といったところか。
一方で、自身も働いていた店舗を告発したことへの批判や、中国背景をめぐる憶測も渦巻いている。
宮下喜広容疑者ら逮捕、運営会社と系列店にも関心
報道では、会社役員の宮下喜広容疑者(55)を含む関係者らが逮捕されたとされる。「ルーブル」の運営会社としては有限会社岱宗の名前が挙がっており、系列店とされる「夕月」にも関心が向かっている。
「夕月」をめぐっては、2023年5月、女性従業員が客に刺殺される事件が発生した。加害者の男は後に懲役16年の判決を受けている。今回の摘発と同事件は直接同一の事件ではないが、同じ吉原の系列店とされる店舗名が再び報道に出たことで、過去の事件を振り返る声も多い。
風俗店をめぐる事件では、働く女性、店舗側、客、スカウト、情報サイトなど複数の関係者が絡む。表向きのサービス名と実際の営業内容、従業員の管理、トラブル発生時の対応が一体で扱われるため、摘発が入ると店舗単体を超えて業界全体へ波及する。
業界の「暗黙」にメスを入れた元従業員の告発に対し、失職する従業員などへの同情、業界への影響の大きさなどから批判的な声も少なくない。立つ鳥跡を濁しての復讐劇、売名成功で溜飲は下がるのか。



