
交際相手の男性にけがを負わせたとして傷害罪に問われた佐藤紗希被告に、大阪地裁が懲役3年、執行猶予5年、保護観察付きの判決を言い渡した。検察側は懲役6年を求刑していたが、裁判所は実刑相当としながらも、被害者側の意向や示談金の支払い、更生への姿勢を考慮した。
「愛情表現」と主張も同意の存在は認められず
日テレNEWS、ABCテレビなどの判決報道によると、佐藤紗希被告は2024年9月から2025年1月にかけて、大阪市北区の集合住宅で同居していた交際相手の男性に傷害を加えた罪に問われた。
起訴内容では、男性の左手薬指を斧で切断したほか、左乳頭をハサミで切断し、顔面を複数回殴ったとされる。被告側は一部について「同意があった」「愛情表現だった」と主張してきたが、大阪地裁は同意の存在を認めなかった。
判決は、行為について「残虐で相当悪質」と指摘した。そのうえで、被告と被害男性が相互に依存した関係にあり、被告が経済的、心理的、精神的に支配していたと認定した。
検察は懲役6年を求刑 判決は「実刑相当」としながら猶予
この事件で検察側は懲役6年を求刑していた。暴行の内容、後遺障害の重大性、関係性の中で支配が続いていた点を踏まえれば、実刑判決が出てもおかしくない事案だった。
それでも大阪地裁は、懲役3年、執行猶予5年、保護観察付きとした。
判決で考慮されたのは、佐藤被告が被害男性に謝罪し、300万円を支払ったこと、被害男性が執行猶予付き判決を望んでいたこと、更生に向けた姿勢が示されていることなどだった。判決は実刑相当としつつ、刑務所に収容せず、社会内での更生を選択した形だ。
ただし、執行猶予5年に保護観察が付くため、単なる「釈放」とは異なる。今後は保護観察官の指導監督を受け、暴力防止プログラムの受講も義務付けられる。遵守事項に反した場合、執行猶予が取り消され、懲役3年の刑が執行される可能性がある。
交際という名目での支配
被告と被害男性との関係は、被害男性が高校生だったころにSNSのDMで知り合ったことから始まったとされる。その後、遠距離交際を経て同棲に至った。公判では、被告が男性のスマートフォンや通帳、パスポートを管理し、外部との連絡を制限していたとする証言も出た。
また、被害男性に精神疾患を装わせて生活保護を受給させ、受給金を管理していたとされる点も報じられている。単発の暴行事件ではなく、生活、金銭、人間関係を含む支配の構図が問題となった。
裁判所は、こうした関係性の中で「暴力を受け入れることが愛情表現である」とする認知のゆがみが生じ、行為がエスカレートしたと判断した。
コスプレイヤーとしての顔と事件の落差
佐藤被告は、事件前からコスプレイヤーとしてSNSに写真を投稿していた。Instagramでは自撮りやコスプレ写真、スイーツなど、若い女性の日常らしい投稿が並んでいた。
判決後、ネット上では「普通のコスプレイヤーに見える人物が、なぜこのような事件を起こしたのか」という反応が相次いだ。2026年5月の大阪・日本橋ストリートフェスタでも、佐藤被告とされる人物の写真が拡散し、撮影マナー問題と重なって再び話題になった。
ただし、SNS上の人物像だけで事件の背景を読み切ることはできない。公判では、幼少期の虐待経験、心療内科への通院歴、自傷行為、夜職での経験なども語られた。これらは行為を正当化する事情ではないが、裁判所が更生可能性を判断する材料の一部となった。
指の無い元交際相手、控訴の有無は不明
判決は2026年6月19日に大阪地裁で言い渡された。刑事裁判では、判決に不服がある場合、被告側または検察側が控訴できる。控訴がなければ、判決は確定に向かう。
判決後、控訴の有無について新たな動きは明らかになっていないが、判決が確定すれば、佐藤被告は5年間の執行猶予期間に入り、保護観察と暴力防止プログラムの対象となる。



